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リリース

超高層住宅用粘弾性制振ダンパーを開発

■粘弾性体を用いることにより、建物の風揺れ抑制などの居住性向上から地震に対する安全性確保に至るまで幅広くカバー

■住戸間のコンクリート造戸境壁下部にダンパーを設置することにより装置の鉄骨量を少なくし、低コストでコンパクトなダンパーを実現

三井住友建設株式会社(東京都新宿区荒木町13-4 社長 清 昇)は、今後さらに需要増加が見込まれる板状の超高層住宅をターゲットとした、制振ダンパー(減衰装置)を開発しました。今後、当社の手掛ける超高層住宅に積極的に活用、居住性と耐震安全性を兼ね備えた住宅を提案していきます。

【開発の背景】

住宅の高層化に伴い、耐震安全性だけでなく風揺れ制御など居住性を確保する必要性が高まり、地震や風に対する構造物の応答を低減する「制振ダンパー」を設置する建物が増えてきています。特に近年注目されている板状の超高層住宅では、風揺れ制御などの居住性向上から地震に対する安全性確保に至るまで幅広い領域での性能確保が要求され、これを実現するために低コストでかつ住戸プランに影響を与えないダンパーの開発が望まれていました。

今回開発した「超高層住宅用制振ダンパー」は、粘弾性体のせん断抵抗力を利用した減衰装置で、壁などの建物構造部材に設置してエネルギー吸収し、建物の耐震性を向上させます。(図-1)


【本開発の特徴】

・ダンパー取り付け部分をコンクリート造とすることで取り付け部の剛性を
 確保し、 風揺れ等で発生する微小振動に対しても減衰性能は低下しません。
 
・ダンパー取り付け部分をコンクリート造とすることで装置に使用する鉄骨量
  を抑え、低コストなダンパーを実現しています。 

・構造が単純であるため、メンテナンスフリーで高い信頼性を有しています。

・従来の粘弾性体に比べて温度依存性が少なく、減衰性能に優れています。

・劣化促進試験を実施し、粘弾性体の剛性や減衰性能に経年変化による
 劣化の影響が少ないことを確認しています。

従来の制震ダンパーでコストの低いものに極軟鋼を用いたダンパーがあります。極軟鋼を用いたダンパーは、地震などによる構造体の変形(層間変形角で1/1000以上)に伴って起こる鋼材の降伏現象によって地震エネルギーを吸収するため、風等による極小さな振動領域(層間変形角で0~1/3000)では極軟鋼が降伏せず、エネルギー吸収効果を発揮しません。
  一方、粘弾性体を用いたダンパーは微小な振動から大きな揺れまで効果を発揮するダンパーで、すでに鉄骨造の高層事務所ビル等で適用された例があります。しかし、粘弾性体を用いたダンパーをコンクリート系の超高層住宅で使用するには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。

・コンクリート系の固い骨組の中で性能を発揮すること。

・住戸プランに影響を与えないこと。

・低価格であること(住宅購入者に負担を与えないこと)。

今回開発した制振ダンパーは、粘弾性体を上階の梁から吊り下げたコンクリート製の戸境壁下部に設置します。戸境壁を利用するため、住戸プランに影響を与えずかつ取り付け部の剛性確保が容易となり、風による振動など極小さな振れにおいてもダンパー性能を低下させることがありません。また、取り付け部分をコンクリートとすることで装置の鉄骨量を抑え、コストの低いダンパーを提供できます。装置部分のみのコスト比較でも、オイルダンパー等従来の一般的な制振ダンパーに比較して70~50%程度に低減されています。


【開発の経緯・体制】

開発にあたっては、当社と早稲田大学理工学部曽田研究室・横浜ゴムの3社の共同開発体制で、材料開発・材料物性のモデル化・ダンパー性能の実証実験・ダンパーを用いた建物の設計法の検討を行ってきました。ダンパー性能の実証実験は、早稲田大学理工学総合研究センターの大型振動試験機で行われております(図-2)。また、用いた粘弾性体は、横浜ゴム製のスチレン系エラストマーで、従来の粘弾性体に比べて温度による物性の変化が少ないことが特徴です(図-3)。


【今後の展開】

当社は、今後さらなる需要が見込まれる板状の超高層住宅をターゲットとして、本ダンパーを積極的に活用し、居住性と耐震安全性を兼ね備えた競争力のある超高層住宅を提案し、受注の増大を図ります。


【粘性壁との相違】

当社は、旧住友建設時代から粘性体を用いた制振装置「粘性壁」を開発し、すでに数多くの適用実績があります。「粘性壁」は、主に事務所建築など高層の鉄骨造建物を対象とした高性能の制振装置ですが、今回開発した粘弾性体ダンパーは、主に超高層住宅等コンクリート系建物で戸境壁などコンクリート壁を利用できる平面計画がなされた場合に対して利用できる低コストな制振装置です。


【説明図】


■図-1 粘弾性ダンパーの原理





■図-2 性能確認実験
粘弾性体ダンパーの性能確認は、早稲田大学理工学総合研究センターの大型振動試験機で行われました。



■図-3 粘弾性体の材料試験結果

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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