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リリース

『石垣カルテ作成支援システム』を開発-文化財としての石垣の保存・整備を支援-

三井住友建設(株)(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐久也)は、貴重な文化財である城郭の石垣の保存・整備に資することを目的として、三次元レーザー計測 ※1) やデジタル写真計測※2) を実施し、これにより得た現状の石垣の形状データを石垣の様々な情報とともに「石垣カルテ」として記録、保存することが可能な「石垣カルテ作成支援システム」を開発しました。

【背 景】
近年、歴史遺産や歴史的景観の保護に対する市民の意識・要望が高まりを見せる中、文化庁により2005年6月に「史跡等整備のてびき」が策定され、史跡の保存、整備が進められています。これに関連して、歴史的構造物の一つである城郭の石垣についても、石垣の配置や積み方の手法、特徴、危険箇所など、現状の石垣の様々な情報を記録する「石垣カルテ」の作成が求められています。
「石垣カルテ作成支援システム」は、このようなニーズに応えるために、当社が既に開発、実用化している石垣の管理、調査、解析、修復までをサポートする「城郭石垣修復トータルシステム」の管理段階の部分に特化したシステムとして新たに開発したものです。

【システム概要】
「石垣カルテ作成支援システム」により作成できる石垣カルテは、(1)石垣カルテ帳票に加えて、三次元レーザー計測により取得した石垣表面の三次元形状データを解析処理することで作成される(2)鳥瞰図(図1参照)、(3)立面投影画像、(4)コンター図(図2参照)、(5)鉛直断面図(図3参照)、(6)水平断面図、およびデジタル写真計測により作成される(7)輪郭立面図(図4・5参照)から構成されます。この石垣カルテにより、孕みなどの危険箇所を検出することが可能な石垣の詳細な三次元形状と、個々の石の詳細な配置・形状を記録することができます。
石垣を修復する場合には、文化財としての価値を損なわないよう、孕みなどの異常箇所を健全な形状に戻す以外は極力元の石を元の場所へ積み直すことが要求されます。この石垣カルテを記録、保存することにより、石垣の修復が必要になった場合にも、文化財としての価値を損なうことなく復元することが可能となります。
従来の石垣カルテは二次元的な手書きのスケッチや写真程度の場合が多いようですが、本システムにより石垣の三次元的な形状を座標データとして記録、保存することが可能となりました。

(1)   石垣カルテ帳票-------石垣の構築や修理の記録、積み方や石材の特徴、抜け、割れ、孕みといった危険箇所等、現状の石垣に関する様々な情報を記録する帳票 (2)   鳥瞰図--------------任意の視点から見た画像(図1参照) (3)   立面投影画像--------個々の石の概略の配置・形状が把握できる立面に投影した画像 (4)   コンター図-----------石垣表面の凸凹(基準線からの水平距離)を色で表示した図(図2参照) (5)   鉛直断面図----------任意位置での鉛直断面形状(図3参照) (6)   水平断面図----------任意高さでの水平断面形状 (7)   輪郭立面図----------石の輪郭線を表記し、個々の石の詳細な配置・形状が把握できる立面図(図4・5参照)

【長期的維持・管理への発展】
本システムにより作成した石垣カルテに加えて、さらに定期的な三次元レーザー計測の実施により、石垣の変位の経時変化、経年的な劣化を把握することも可能です。従来のトータルステーションによる計測ではあらかじめ設定した特定の測点の動きのみの観測に限定されましたが、三次元レーザー計測を実施することで石垣面全体の動きを把握することができ、危険箇所の範囲の特定が可能となります。

【調査・解析への発展】
石垣カルテを通じて石垣の修復の要否を判定する必要が生じた場合には、当社が既に開発、実用化している「城郭石垣修復トータルシステム」を適用し、調査・解析段階に進むことも可能です。このシステムでは、石垣の内部構造を非破壊で探査することが可能な「レーダー探査」と、同じく非破壊で石垣背後の地盤の深度方向の硬さの分布を探査することが可能な「レイリー波探査」を実施し、得られたデータを基に個別要素法(DEM)により平常時や想定地震発生時の石垣の崩壊の危険度を定量的に判定します。

【まとめ・今後の展望】
当社では今後、全国各地で増えると予想される石垣カルテ作成業務を対象に、本システムを積極的に提案し、文化財の保護、継承に貢献したいと考えています。


※1) 三次元レーザー計測
三次元レーザー計測は、石垣の前面に設置したレーザースキャナから石垣面にレーザー光を照射しながら高速かつ細密に走査させることにより、石垣表面の三次元点データを非接触で迅速に取得する計測技術です(写真1参照)。レーザー光が石垣面とスキャナの間を往復する時間の計測値から距離を計算し、これとレーザー光の方向の計測値から三次元座標を計算します。
これにより得られたデータを独自の解析システムで処理することで、任意位置での断面図や石垣表面のコンター図を作成することができ、孕み等の石垣の異常箇所を迅速かつ視覚的に把握することが可能です。
三次元レーザー計測は、最大100m程度離れた位置からでも計測可能なため、石垣前面に堀がある場合でも計測可能です。

※2) デジタル写真計測
デジタル写真計測は、高解像度デジタルカメラで撮影(写真2参照)した石垣の画像データを、立面に投影したデータに変換することができる計測技術です。この画像データをもとに石垣の個々の石の詳細な配置・形状を把握できる輪郭立面図を作成することができます。
デジタル写真計測は最大30m程度離れた位置からでも計測可能であり、カメラだけで簡易に計測できます。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

添付図・写真

図A タンクへの設置状況

図1 鳥瞰図

 

図B フローティングネットの概要


図2 コンター図

 

図1 浮き屋根式
図3 鉛直断面図

 

輪郭立面図
図4 輪郭立面図

 

 

デジタル写真計測による輪郭立面画像と輪郭立面図の合成

図5 デジタル写真計測による輪郭立面画像と輪郭立面図の合成

 

レーザー計測状況

写真1 レーザー計測状況

 

デジタル写真計測撮影状況

写真2 デジタル写真計測撮影状況

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