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リリース

バーディウォール構法(横筋非定着型RC耐震壁構法)を開発― 壁板と柱の分割施工により短工期化を推進 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、物流施設向けの耐震部材として、壁の水平方向の鉄筋が柱に定着不要な鉄筋コンクリート(RC)造耐震壁構法「バーディウォール構法※1」を新たに開発いたしました。

多くの実績を有する当社のミック構法※2(三井住友建設式柱RC梁S混合構法)に、高い剛性・耐力を有するRC耐震壁を容易に組み込むことが可能となりました。これにより、耐震性の高さと施工スピードの速さを両立し、堅牢ながら経済性に優れた新たな構造の物流施設を提案していきます。

■ 経緯

建物の構造は、使用性・安全性などの基本性能はもとより、用途に応じて求められる種々の顧客ニーズを満足させるように決定されますが、物流施設では躯体コストを抑えて、規模に係わらず10~12ヶ月程度の工期で竣工させることが主要なニーズの一つになっています。このため、梁部材にはスパン(柱間隔)を大きくでき、施工性が簡便な鉄骨(S)を用い、柱部材は剛性が高く、低コストのRC造とする、柱RC梁S混合構法(ミック構法)を採用することが多くなっています。

ミック構法の工期面での特徴を最大限に生かすためには、柱・梁のみで構造躯体を構成する純ラーメン構造を採用することが一般的です。しかしその反面、純ラーメン構造は、床荷重が大きく、大スパンになるほど梁部材は圧延鋼材(ロール材)※3の仕様を超える高い断面性能が必要となり、コストが割高になるという問題があります。

これを解決するためには、スピーディな躯体施工を阻害することなく、かつ取付けが容易な耐震部材をラーメン架構に適宜配置し、梁断面のスリム化を図ることが必要となります。このような合理的な設計により、鉄骨量および鉄骨加工量は減少し、さらなる省資源化と経済性を達成させることができます。

以上の観点から、当社はミック構法に用いる耐震部材としてRC耐震壁に着目し、室蘭工業大学大学院くらし環境系領域の荒井康幸教授、溝口光男教授との共同研究により、壁横筋の柱への定着が不要なRC耐震壁構法「バーディウォール構法」を考案・開発し、このたび設計法を確立いたしました。

通常、RC耐震壁は、壁板の水平方向の鉄筋(横筋)を両側の柱に定着させる必要があります(図1参照)。施工計画上、壁板のみを後で施工する場合には、定着用の鉄筋を柱から突出させておくか、機械式継手を用いる必要があるため、物流施設のように階高が高く、スパンが大きい大型の壁の場合には、型枠・配筋に関わる手間(人工・時間)が膨大となっていました。したがって、これまではRC耐震壁の分離施工は行われず、RC耐震壁は両側の柱とともに配筋作業を行い、コンクリートを同時打設することが一般的であり、換言すると壁の施工スピードが建物全体の工期に大きく影響していました。

バーディウォール構法の採用により、壁板と柱との分割施工が容易に可能となるため、耐震性に優れた耐震壁を短工期で実現できるようになりました。

図1 バーディウォールの概要(一般の耐震壁との比較)
図1 バーディウォールの概要(一般の耐震壁との比較)

写真1 バーディウォール構法性能確認構造実験状況
写真1 バーディウォール構法性能確認構造実験状況

■ バーディウォール構法とは

バーディウォール構法は、壁板の両側の柱を先行打設し、壁板を後工程で簡便に施工するために、壁横筋の柱への定着を不要とした合理化耐震壁構法です。本構法の耐震壁は、横筋が定着された一般の耐震壁より耐力は若干低くなりますが、壁厚、壁の補強筋量、コンクリート強度を適宜設計することによって所定の耐力を確保させます。

本構法では、柱-壁板間の鉛直接合部はコッター※4でせん断力を伝達させます。したがって、柱型枠に予め凸状のコッター型枠を設け、柱側面に凹状のコッターを形成します。柱のコンクリート打設後は、梁鉄骨を架設し、床工事を進め、順次上階の柱・梁骨組を施工していくことができます。壁板の配筋工事、コンクリート工事は、適当な時期に任意に行うというものです。(図2(1)参照)

■ バーディウォール構法の特長

バーディウォール構法は、以下のような特長を有しています。

  1. 耐震壁工事を建築工事全体のクリティカルパス※5から外すことができるため、耐震性に優れたRC耐震壁を配した建物を短工期で実現します。
  2. RC耐震壁の合理的な配置により、低コストを実現します。
  3. 柱-壁板間に横筋の貫通が無いため、壁板部分の収縮ひび割れが緩和され、耐久性と美観に優れた建物を提供します。
  4. RC耐震壁のプレキャスト化が容易となるため、躯体のフルプレキャストによる超短工期施工も可能になります。(図2(2)参照)
■ 今後の展開


三井住友建設では、バーディウォール構法を高品質・短工期・低コストを実現する構造方式のひとつとして位置付け、ミック構法を採用する物流倉庫を中心に積極的な提案をしてまいります。また、RC耐震壁を造りやすいという、バーディウォール構法の特長を生かして、S造やSRC造の既存オフィスの耐震補強にも展開してまいります。

当社では、ますます高度化、多様化していく事業主のニーズにお応えできるよう、さらなる技術開発を進め、高品質・短工期・低コストを追求していく所存です。

※1 バーディウォール構法 :
RC WALL system without the anchor of horizontal reinforcing BARs for DIEt of 1-process
・一打少ない合理化壁構法
・室蘭工業大学大学院 荒井康幸教授、溝口光男教授との共同研究により開発

※2 ミック構法 :
Mitsui-sumitomo Integrated Composite System

※3 圧延鋼材 :
H形鋼などのJIS規格の圧延鋼材。一般にロール材とも言う。

※4 コッター :
向かい合う2つの部材面のせん断抵抗を確保するため、接合面を凹または凸形状に加工し、くさびのように作用させるもの。

※5 クリティカルパス :
各種の作業経路のうちで最も所要時間がかかり、工事全体の隘路となる経路

図2 バーディウォール構法施工例
図2  バーディウォール構法施工例

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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