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リリース

トンネル用低周波騒音低減装置レゾウォールサイレンサーを実用化 ~トンネル内空を共鳴機構に活用し、安定した低周波騒音低減効果を実現~

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2-1-6 社長 則久 芳行)は、トンネル用低周波騒音低減装置レゾウォールサイレンサー(RWS: Resonance Wall Silencer )を、茨城県発注の十国トンネル工事に、県の協力のもと導入・設置し、適用性ならびに騒音低減効果を確認しました。

レゾウォールサイレンサーは、スリットを有する吸音隔壁(レゾウォール)を延長20~30m程度、トンネル形状・寸法にあわせて設置し、トンネル断面方向に設置した妻隔壁とレゾウォールで囲まれたトンネル内空部分を共鳴空間として利用することで、スリットから吸収した低周波音を吸音吸収する装置です。防音扉では低減が困難な低周波騒音を10dB程度低減させることが可能です。

また、従来の共鳴管や共鳴箱による低周波低減装置に比べ、トンネル内空そのものを利用するため共鳴空間を大きく取ることが可能で、安定した騒音低減効果が発揮できます。三井住友建設では、今後、発破掘削のトンネル現場等にレゾウォールサイレンサーの導入を促進し、より高度な周辺環境の負荷低減を目指します。特許出願中。

レゾウォールサイレンサー全体鳥瞰概念図

レゾウォールサイレンサー全体鳥瞰概念図

■   技術開発の背景

低周波音は、建具等をがたつかせる「物的影響」、眠りを妨げる「睡眠影響」、圧迫感、振動感や頭痛等がもたらされる「心理的・生理的影響」など、社会生活に特異な影響を与える騒音です。また、野鳥生物や家畜等の産卵・営巣にも影響を及ぼすとされます。

低周波騒音の大きな特徴は,周期が長く、遮音壁などでも減衰せず、遠方までその影響を及ぼす点です。定常的な低周波騒音に対しては、近年、逆位相の音源と重ね合わることで、低周波騒音を打ち消すアクティブ型の対策が各種開発されました。しかしながら、発破などのように突発的に発生する低周波騒音に関しては、共鳴箱の設置等を除き、今日でも有効な対策があまりないのが現状です。

 

 ■ “レゾウォールサイレンサー(RWS: Resonance Wall Silencer)”とは

“レゾウォールサイレンサー(RWS)”は、トンネル進行方向に等間隔のスリットを有する吸音隔壁(レゾウォール)を組み立て、トンネル断面方向に設置した妻隔壁とレゾウォールで囲まれたトンネル内空部分を共鳴空間として利用して、スリットから吸収した低周波音を吸音吸収する装置です。

スリットに入った低周波音は、共鳴空間との急激な断面の抵抗によって、粘性摩擦が生じ、振動エネルギーの一部が熱に変換されて吸音効果をもたらします。つまり、スリット部分が吸音管、トンネル内空部分が共鳴空間の役割を果たします。

従来の吸音管や吸音箱では、低周波音を吸収する開口部が小さく、また、共鳴空間の確保が難しいことから、効果的な吸音吸収が困難でしたが、“レゾウォールサイレンサー(RWS)”は、開口部をスリットとし、共鳴空間としてトンネル内空そのものを活用することで、効果的で安定した低周波音低減を可能とします。

また、スリット幅の調整により低減目標とする中心周波数をチューニングすることが可能で、要求性能に合わせた低周波対策を実施することも可能です。

 

■  技術の特徴

(1) 低周波騒音低減効果

延長20m程度のレゾウォールのトンネル片側設置で5dB程度、両側設置で10dB以上低周波騒音を低減する効果が期待できます。

(2) 低減目標中心周波数のチューニングが可能

レゾウォールに設けられるスリット幅の調整により、目標とする周波数帯域を変化させることが
できます。

(3) 設置延長による騒音低減効果の増大

レゾウォールサイレンサー設置延長は、設置長さを長くすることにより、さらに大きな低周波騒音低減効果が得られます。

(4) トンネル形状・寸法に合わせた柔軟な設置が可能

トンネル形状・寸法、坑内状況などに柔軟に対応して、条件に適したレゾウォールサイレンサー規模を選定することができます。なお、レゾウォールの建て込み背面は、トンネル空間をそのまま使用するため、十分な大きさを有するトンネルの場合は、この空間を歩行者用通路として使用することも可能です。

 

■ 模型実験と実証実験

1/32モデルによる模型実験において、設置延長とスリット間隔、スリット幅などのパラメータと低減効果の関係ならびに、トンネル現場の状況を加味した両側配置、片側配置のケースについてデータの蓄積を行いました。

室内実験結果を基に、茨城県発注の十国トンネル工事では、延長20m、高さ5m、スリット間隔1,180mm、スリット幅150mmのレゾウォールをトンネル片側に設置しました。

設置前後の発破に伴う低周波音を測定したところ、室内音響実験と同等(5dB程度)の低周波騒音低減効果を確認いたしました。

室内実験においては、片側設置で5dB程度、同条件で両側に設置した場合は、2倍以上の10dB以上の低減効果が見られました。

今回の実証試験では、片側設置でしたが、両側設置の場合は、10dB以上の低周波騒音低減効果が期待できます。

実験室内における模型実験状況

実験室内における模型実験状況

十国トンネルに設置したレゾウォールサイレンサー(片側のみ設置)

十国トンネルに設置したレゾウォールサイレンサー(片側のみ設置)

 

 ■ 今後の展開

レゾウォールサイレンサーは、現地組立式の吸音隔壁(レゾウォール)により、トンネル内空部分をそのまま吸音空間として活用する低周波騒音低減装置です。

レゾウォールの設置は、2日程度で可能ですが、今後は、部材のプレキャスト化、モジュール化を進め、さらなる設置の簡便化と柔軟な変更を目指します。

十国トンネルで得られたデータの分析を通して、包括的な発破の低周波騒音抑制に取り組む予定です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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