橋ガール

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#16 光明池大橋

橋をつくり続ける会社の橋好き女子、その名も「橋ガール」! 「橋好き女子」が勝手に橋の魅力を紹介しちゃうプチプロジェクト。 『お橋見』のためなら日本全国、いや世界の果てまでいってきまーす!

次は、光明池北小学校前~、光明池北小学校前~。

「あっ、ここで降りなきゃ!」

( ブロロロ~ン・・・)

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「やっと着いた・・・。少し約束の時間に遅れたけど、こんな所に呼び出して何やろう?かわみ先輩、怒ってへんかったらいいけど・・・。」

「たきこ!遅いやん!待ってるんメッチャ暑かったで!」

「(あっ、やっぱり怒ってる…)かわみ先輩、こんな場所に呼び出して何なんですか?」

ようこそ!わが街、堺へ!!

「えっ!?ここってかわみ先輩の地元なんですか?」

「そうやで!今日はたきこに見せたい場所があるから呼んでん!」

「見せたい場所?ところで、何で怒ってるんですか?私が約束の時間に遅れたからですか?」

「ちゃう、ちゃうちゃう!! “橋ガール”のことで納得できひんねん!何で、海外も紹介されてるのに、大阪どころか関西の橋が全く紹介されてへんのよ!納得でけへん!」

「(さすが自称“なにわの橋ガール”凄い迫力やわ・・・)それが、先輩の地元とどういう関係があるんですか?」

「えっ!?わからんの?つまり、この堺にもめっちゃ魅力的な橋があるねん。もたもたせんと行くで!」

今回は、大阪からこの2人がレポートをしてくれます。

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橋の概要

名称
光明池大橋(愛称:あいあい橋)
位置
大阪府和泉市
橋長
157.6m ( アーチ支間 98.0m )
形式
中路式バランスドアーチ橋
架設工法
セントル架設
竣工年
1985年

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MAP

「ほら、お目当ての橋は、このあたりにあるから。少し歩くで!」

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「えっ?ここって公園の中ですよね・・・ここにあるんですか?」

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「トンネルを抜けるとそこは雪国だった・・・じゃなくて、ミニアーチを抜けるとそこは、アーチ橋だった?!!」

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「凄い?!!きれいに正面にアーチを描いて橋がかかってる!でも、ほかの橋ガールが紹介しているアーチ橋とちょっと形が違うような・・・。」

「さすがたきこ!ちゃんと見るべきとこ見てるやん。アーチ橋の形式は、歴代橋ガールが紹介している御岳橋外津橋の“上路式”とか、君津新橋なんかの“下路式”とかがあんねんけど、この橋はなぁ、まだ登場してない“中路式アーチ橋”ってやつやねん。

「へぇ~、そうなんですね。かわみ先輩、やっぱり詳しいですね。で、何でその“チューロシキ”っていうのを採用してるんですか?」

「うんうん、筋書き通りのいい質問やん~。そして、私はすかさず『えーっと、そ、それは・・・』と困ったりしてみるわけや・・・(笑)」

「なるほど、ここで例の人を呼んじゃうわけですね。って、本当にただ知らないだけなんじゃないですか?かわみ先輩~。」

「まぁまぁそこは置いといて。それではすでに準備もととのったようなので早速お呼びしようじゃないの!」

「せーのっ、ハッカセ~!!」

「まいど、おきに~!!」

「・・・・・。さすがにイントネーションがちょっとおかしいんですけど・・・。」

「で、ですよね。ま、それはさておき、今日はお呼びいただきありがとうございます。こちらの橋の特徴“中路式アーチ”が採用された理由ですよね。えー、それはですね・・・。」

「なになにぃ」

「まずこの橋は、宅地開発による住民の生活道路と散策路を兼ねて計画されたものなんです。それで新しい宅地のランドマークのようなものが求められました。」

「それで中路式アーチの登場ってことなんや~。でも、ランドマークで目立つ橋なら、他にも斜張橋とかありそうやけど。」

「もちろんそうですね。つまり理由はそれだけじゃないんです。橋の路面を池の水面より12mほど高くすること、それに施工中も含めてこのため池内に構造物を一切設けることができないことが決まっていたんです。池の中に橋脚や架設支柱を建てられないから、斜張橋にするとどうしても支間のバランスが悪くなってしまうといった理由もあったんですよ。」

「それでこんなアーチ形式が選ばれたって訳だ。」

「そうなんです!そこで『こんな』形式になるんですが、実はその理由はもうちょっと奥が深いんです。ほら、こちらのイラストを見てもらえますか?」

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「路面の高さが決まっているので、上路式にするアーチはすごく扁平なものになってしまいます(下の赤い線)。こうすると基礎にかかる力が大きくなって不経済になるんです。あまり地盤が良くないのでこれは避けたい。かといって下路式にすると路面の高さの決まりからすごく大きなアーチになってしまいます(上の赤い線)。きれいなアーチを描くには・・・」

中路式アーチの登場ってことなんですね。なるほど~。」

「ちなみに、このアーチ部分からたくさん出てる棒は何なんですか?」

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「『吊り材』といって、アーチから人が歩く部分の橋桁を吊っている部材ですよ。つまり、この吊り材によって橋桁の重さと上に載る人の重さがアーチに伝わって、アーチで支えられているというわけです。前の君津新橋でもありましたよね。」

「てっきり電柱ポールかと勘違いしてた。よく見たらみんなアーチとくっついてますもんね。」

「吊り材は歩道と車道の分離帯などとして取り付けられる場合が多いですが、この橋は歩道橋なので触れることが出来る場所にあって、間身近に見ることができるんですね。」

「このアーチがみんなを支えて頑張ってるんですね。しっかり踏んばってもらわなくちゃね。」

そうなんです。そこなんです!

「どこですか。」

「さきほど、このため池はあまり地盤が良くないと言ったじゃないですか。アーチの根元には角度に応じた水平方向の力が作用します。地盤が固ければ地盤でがっちり抑えられるのですが、ここではそうすると基礎がとても大きくなってしまいます。」

ってことは、アーチの根元はがっちり固定されてないんですか!?

「その通り。アーチの根元は水平方向に動くように支承がついています。でもそれだけではアーチがずるずると動いてつぶれてしまう。そこでアーチの後ろにこんな風にアーチの根元と、橋台のところと橋桁の端部を斜材という結ぶ部材でつないでいます。これでさっきの水平にかかる力を桁で負担してもらっているわけです。なので橋桁にはしっかりプレストレスをいれてアーチがつぶれないように補強しているんですよ!」

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「いろんなパーツが使われて力のバランスを取ってるんですね!この絵みてたら、なんか緊張してきました。」

おおおおお~!あれがその根元の部分かーっ!ってか、草ぼうぼうでよく見えへん・・・。でも、なんか浮いてる気がする。」

「あの下に例の支承があるわけです。」

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「でも、つくる時も池の中に柱たてられなかったらどうやって作ったんですか?」

「セントルという架設部材を使いました。御岳橋の時もでてきましたよね。そのセントル自体は張出し架設してます。この時はコンクリートアーチの重量が作用してもセントルがつぶれないようにセントルの端をPCケーブルでつないでいたんですよ」

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「たきこ、来て来て?!これ、見逃したらあかんやつでしょ!」

「あー、こ、これは、アレですね!先輩橋ガール達の言っていた、建設界のアカデミー賞“田中賞”の賞碑じゃないですか!!」

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「田中賞はご存知ですよね。この中路式アーチという構造は非常に珍しく、なかなか例がありません。様々な工夫で地盤への影響を小さくして橋を成り立たせていることが評価されて昭和60年度の田中賞作品賞を受賞したんですよ。それと、この橋は完成した後に『あいあい橋』と愛称が付けられて、地域住民に親しまれているんですよ。

「そういえば、散歩やランニングしたり、通勤通学途中に通ったりで、さっきから行き交う人が絶えないんよね~。下校途中にあいあい橋を・・・なんて、うわぁ~。」

「あっ、いまちょうど誰もいませんよ!最後にお二人でいつもの『アレ』をしてみてはどうでしょう。」

「はい!じぁ、せーの、チューロ・アーチィ!!」

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「キマりましたね!今日はおつかれさまでした。では、これにて・・・といいたいところですが、せっかくかわみさんの地元、堺まで呼んでいただいたのですから、もう少しこのあたりの魅力を紹介していただけませんか。」

「そうですよね!お腹も空いたことですし、かわみ先輩お薦めのご当地名物でも食べに連れてって下さいよ~」

「まかせときぃ!堺と言えば、」

「言えば?」

「1600年ほど前に今の堺市を中心に造営された大小様々な古墳でしょ~。これらは百舌鳥・古市古墳群と呼ばれ、世界文化遺産登録を目指してるんよ。さぁ、日本最大の前方後円墳の仁徳天皇陵を見て、地元で話題の『古墳カレー』を食べに行きましょう~。

 

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「大きいですね~。ってか、目の前に森があるって感じですね・・・。でも、ボランティアの方の説明を聞いて、色々と勉強になりました!」

「次は、『古墳カレー』!商標登録されてて、お皿と前方後円墳の型抜きはオーナーの手作りなんよ!」

 

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「立体的かつ丸みを帯びたフォルムといい、カレールーのお堀といい、めっちゃ分かりやすい!しかも美味しいやん♪」

「私の地元のお橋見と、ご当地グルメどうやった?たきこ!関西にはまだまだ紹介したい橋があるからね~。どんどん行くよ!」

「任せて下さい!その時は、ハカセ、宜しくお願いしまーす。」

かわみの絵日記

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2016年7月8日 行った場所:光明池大橋

 橋も人もバランスが大事!
 支え合っていきましょ~。

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―つづく