三井住友建設
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ニュースリリース
2001/09

コンクリートの非破壊圧縮強度推定法を開発

衝撃弾性波速度による圧縮強度推定法の有効性を確認
・構造体の強度がいつでも簡単に推定可能
・現場でのコンクリート強度管理に威力を発揮
・既存構造物の劣化診断への適用も可能
・サイトPCaにおける型枠脱型時の強度管理に適用
・脱型強度確認にテストピースが不要

三井建設株式会社(東京都中央区日本橋蛎殻町1-36-5, 社長: 清 昇)は、コンクリートの圧縮強度を衝撃振動による弾性波速度より推定するコンクリートの非破壊圧縮強度推定法を開発しました。この手法により、構造体の強度を必要に応じて直接的に推定することが可能となり、現場でのコンクリート強度管理や既存構造物の劣化診断などに威力を発揮するものと思われます。まず、現場でのプレキャストコンクリート製造(サイトPCa)工程における型枠脱型時の強度管理に適用する予定です。
従来、サイトPCaの型枠脱型時の強度確認は、工場で行う方法と同様に、PCa部材と同時に作成したテストピースの圧縮強度試験結果から推定されていましたが、今回開発した非破壊圧縮強度推定法によれば、プレキャスト部材そのものの強度を直接推定できるため、脱型強度確認のためのテストピースの作成は不要となり、その製作、脱型、圧縮強度試験、廃棄処分等に要する諸経費を省くことができます。

現在、一般的に用いられているコンクリートの非破壊試験器としては、硬度法を利用したシュミットハンマーがあります。シュミットハンマーは、最も簡便な試験器として広く普及していますが、ハンマーやコンクリートの特性が結果に大きく影響を与えるために、統一的な圧縮強度推定の換算式はなく、正しくはコンクリートごとの較正を行う必要があるので、実用上、信頼性の高い検査法とは云えませんでした。
一方、コンクリートの圧縮強度と弾性波速度の間には理論的な関係式は存在しませんが、弾性波速度には動弾性係数、密度、ポアソン比に依存する理論式が成り立ち、また動弾性係数と圧縮強度には実験的に依存関係が認められているので、これを組み合わせることにより、弾性波速度と圧縮強度の推定式を実験的に求めることが可能です。したがって、弾性波速度を容易に測定できれば、コンクリートの圧縮強度を非破壊で推定することが可能になります。

当社が開発した非破壊圧縮強度推定法は、弾性波速度測定システムと圧縮強度推定式からなっています。弾性波速度測定システムは、一対の加速度センサーを所定の間隔で取り付けた振動検知器をコンクリート表面に接触させ、その延長線上でハンマー等の打撃により発生させた衝撃粗密波の波頭を捉え、波の到達時間差とセンサー間隔から弾性波速度を算出するものです。そして、測定した速度値を圧縮強度推定式に代入すれば圧縮強度が算定されます。
すなわち、強度を測定したい部位に振動検出器を当て、その近傍をハンマーで軽く叩くと言う極めて簡便な方法で圧縮強度が推定できることが特徴です。また、センサー間隔は通常25〜30センチメートルとしていますが、テストピースなどのように特に短いものに対しては十数センチメートルの測定も可能です。このように、本システムは、衝撃弾性波を用いているにも拘わらず、比較的短い距離でも測定可能である点も大きな特徴です。したがって、コンクリートの実構造物においてもほとんどの部位で測定が可能であると言えます。
グラフに示す弾性波速度と圧縮強度の関係は、本測定システムで測定したコンクリートの弾性波速度と破壊的圧縮試験結果を用いてプロットしたものです。テストピースによるものを黒丸、弾性波速度を供試体で測定し、圧縮試験をそのコアで行ったものを白丸で表示していますが、これらの測定結果の近似式として、実線で示すような速度と強度の関係式が得られています。

以上のように、本手法の最大の特徴は、非破壊試験であるために、いつでも必要に応じて直接コンクリートの圧縮強度を推定できることです。この特徴を生かし、今回、建設現場の敷地内で製造するプレキャストコンクリート部材の型枠脱型時の強度管理に適用する予定です。
毎日製造されるPCa部材は、コンクリート打設後十数時間で型枠を脱型しますが、品質管理上、所定の強度を満たしていることを確認する必要があります。そのために、従来はPCa部材と同時にテストピースを作成し、部材と同じ条件で養生して型枠脱型の直前に圧縮試験機によりテストピースの強度試験を行っています。この結果からPCa部材の強度を推定し、所定の強度に達していることを確認して型枠を脱型しています。
本方法を用いてPCa部材の強度を直接推定すれば、テストピースの作成に要する作業、脱型、圧縮強度試験、壊したテストピースの廃棄処分等に要する諸経費を省くことができるばかりでなく、現場からの廃棄物を少なくするなどの利点があります。

サイトPCaや現場における早期型枠脱型時の強度管理には、若材齢コンクリートの強度特性が関与するものと予想されますので、今後実用化に向けて更に実験を重ねてデータを蓄積し、精度の向上を図る方針です。
最近、高耐久性・長寿命建物の必要性や性能規定化などが叫ばれていますが、これらを支える劣化診断、性能診断ツールとして、この強度推定法はますますその重要性を増していくものと考えています。

 
衝撃振動によるコンクリートの弾性波速度測定概要図
 

テストピースの測定風景


高強度コンクリート強度試験用供試体
 

【用語の説明】
◎弾性波速度
鉄やコンクリートのような弾性体の中を伝わる波動の速度を言います。波動には縦波(粗密波)、横波(せん断波)などの種類があり、地震の初期微動について解説されているように、縦波は横波より速い速度を持っています。衝撃弾性波速度とはハンマーの打撃などにより発生する衝撃的な波動の速度を言います。

◎テストピース
破壊的圧縮強度試験用に作成した円筒状のコンクリート試験体で、通常直径10cm、高さ20cmの寸法のものが用いられています。

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