特命!プロセス・ブランディング部

この物語は「限りなくリアルに近いフィクション」です。

#04 免震レトロにこだわりの技あり!!(前編)

2013年3月6日

2013年3月6日

プロセス・ブランディング部が発足して、はじめてのプロセス発掘会議。
記念すべき第一回目の話題は、我が社が独自に開発して実績を積んできた免震レトロフィット技術に関する「こだわりのプロセス」について。先日の夜の作戦会議で、幸運にも(?)指名をうけたナベさんが、この報告を担当することになっている。はじめて開かれる発掘会議での報告で、はたしてどんなものが報告・議論されるのか。「じゃぁ、はじめようか」のボスのかけ声で会議がスタートする。

「今日の報告は「免震レトロフィット」です。では、早速はじめたいと思います。」

「あのー、いきなりごめんなさい!
そもそも、『免震』ってところがピンときてないんですけど・・・(もちろん、レトロフィットってところもぜんぜんわかってないんですけど!)。 」

「そ、そうですよね、失礼しました。(って、いきなりそっからー!)
じゃぁ、はじめに「免震構造」について簡単に説明したほうがいいスかね。 」

「なるほど。最近はよく耳にするようになったからみんな知っているつもりで話しているけど、そこは大事なプロセスだよね。じゃ、ナベさん解説お願いできるかな?」

「了解です。では、(実は後で紹介しようと思っていたのですが・・・)まずこちらの図で説明させてもらいます。
これは建物が地震に耐える構造について、大きく3つのタイプを表現しています。 まず、左から「耐震構造」、このタイプは建物の柱や梁自体が地震に耐えるように頑丈に造られている構造です。一番ポピュラーなタイプで、図にあるように場合によって「すじかい」とか耐震壁なんかを追加して建物がゆがまないように強くしています。」
(図の柱補強は耐震改修工事の場合の例)

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「ふむふむ。」

「次に「制震構造」、これちょっとわかりにくいと思うんですが、建物の中に地震エネルギーを吸収する制震装置(減衰装置)を取り付けて建物全体の揺れを抑える構造です。揺れに対してブレーキをかけたように抵抗するイメージで、地震で大きく揺れては困る超高層ビルなどにこういった技術が採用されています。」

「なんかハイテクな感じ!で、残るは免震構造?」

「そう、3つ目が「免震構造」。これは建物と地面との間にゴムなどの特殊な装置を付けて地震の力を建物に直接伝えないようにした構造を言います。地面から切り離されて揺れそのものが抑えられるので、家具が倒れたりする心配が少なくなります。建物の高さや形なんかで適用条件が違っているんですけど、3つのタイプの中では免震構造が一番高い耐震性とされています。で、今日の話題は、すでにある建物を免震構造に改修するという話なんです。」

「えー、わざわざ免震構造に改修を?確かウチのマンションも免震構造じゃないはずだけど・・・、もしかして危ないってこと?」

「いえいえ、そう早まってはいけない。確かに免震構造であれば家具が倒れたりするリスクは一番低いんですが、耐震構造でも地震に対する安全性は確保されているといえます。」

「じゃあ、なぜ改修をする必要がある???」

「実はいまの「建築基準法」で定める耐震性能は1981年に改正された規定で、それ以前に建てられた建物は今の基準と比べて耐震性能が劣ってしまっている可能性があるんですね。最近かなり大きな地震が心配されていますが、その法改正以前に設計された建物については、耐震診断を行なった上で改修が必要とされる場合があるわけです。
もちろんいまの基準に合うように耐震構造や制震構造で改修するっていう選択肢もあるんですが、当社がこだわってきているのが「免震構造」による改修なんですね。」

「なるほど~。」

「よし!ヒメちゃんも多少(?)納得してくれたところで、そろそろ本題に入れるかな?」

「実はもうすでに本題に入っている感じなんですけど・・・、了解っス!
では、まずはこちらの写真をみて下さい。これなんだかわかりますか?実は免震装置を設置するために柱のコンクリートを抜き取った塊です。重さ1.2tonくらいあるんだそうですよ。」

切断した柱のコンクリート塊

切断した柱のコンクリート塊

「お~!」

「で、こちらのマンションが去年『住んだまま』でこんな柱の塊を切り出して免震レトロフィット構法で耐震改修したマンションです。
1階の玄関まわりとピロティ駐車場の改修前後の写真です。どこが変わっているかわかります、よね?」

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「なんだかごっつい『ロボットの関節』みたいなものがついてる~」

「ロボットの関節」みたいな免震装置設置部分

「ロボットの関節」みたいな免震装置設置部分

「そうそう、この関節部分に免震装置が入っててね、それから、、、」

「リーダー!わたしが報告してるんですけど・・・。
えー、この「ロボットの関節」部分の1階の柱すべてに免震装置が設置されています。
そして気にして欲しいところでもう一つ重要なパーツがあるんですがわかりますか? 」

「もしかして、この筒みたいなやつじゃない?」

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「正解!これは減衰装置と呼ばれるもので、地震の「揺れるエネルギーを吸収する」ようになっています。」

「さっきの『制震構造』の時にも同じような話があったような・・・」

「その通り!基本的には同じ原理のものだね!」

「この装置は横揺れする地震の大きな力を筒の中で回転運動に変えてエネルギーを吸収させるという特殊な構造のもので、独自に開発した高性能な減衰装置なんだそうですよ、って難しいかもしれませんがついてきて下さいね!
この装置を建物の奥行きと幅(タテとヨコ)の2方向の柱の間に設置することで、バランス良く効果が得られるようになります。今回のマンションの場合には、駐車場利用の邪魔にならない位置4箇所に取り付けられています。」

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「うーん、だんだんややこしくなってきた。」

「で、免震装置と減衰装置の二種類を併用する免震レトロフィットのことを当社オリジナルの「ハイブリット免震レトロフィット構法」ということで『Hy-Retro(ハイ・レトロ)』と名付けているんです!どうです?『ハイ・レトロ』ってカッコイイでしょ!」

「ハイ・レトロですか・・・、なんだか新しいんだか古いんだかわからないような名前。
あ、ごめんなさい!」

「まぁまぁ、名前はともかく、このマンションに採用された実績も含めて最近あちこちから注目されていると聞いてるんだけど。」

「そうなんです。実は、マンションで免震レトロフィットを実現した事例はまだあまり多くないようで、昨年はシンポジウムのパネラーとして発表する機会があったり、今年に入ってからも自治体主催の見学ツアーのコースに選ばれたりして、いろいろなところで取りあげてもらっているんだそうですよ。」

展示会でのパネル紹介

展示会でのパネル紹介

「それって、もしかしてうちの会社はこの分野では結構いけてるってこと?」

「そう言っちゃってもいいんじゃないですかぁ!
最近では行政によって大地震等の災害のときに緊急支援物資の輸送道路として指定された「緊急輸送道路」沿いにある建物を中心に、さきほどの古い基準で建てられた建物の耐震診断や改修が義務づけられる方向になっていて、建物オーナーやマンション管理組合の方々が耐震改修にとても興味を持ってらっしゃるとも聞いています。 」

「耐震性能が劣る可能性があるってなったら、やっぱり心配ですもんね~」

「場合によっては命に係る問題ですから。そこで、改修しようということになるわけでが、さきほどの説明の通り免震構造のほかにも壁やブレース・柱を補強する耐震構法や揺れの力を制御して抑える制震構法という選択肢もあるんですが、これらの方法だと補強工事をしなきゃならない範囲が各階に及ぶようになってしまうんですね。これに対して、免震構法、特に当社のハイ・レトロ構法を採用すると、ほとんどの工事が免震等の装置を設置する1フロアだけで済んで、『住んだまま』の状態で工事ができるようになるんです。」

「すごい!確かに工事期間中に住めなくなったり、バルコニーとかで工事が発生したりがないっていうのは魅力的かも。性能としてもハイグレードだし。」

「ちなみに、注目されるハイ・レトロ構法ですけど、実は当社としてはすでに2000年頃に都内で庁舎兼社宅の工事を実施していて、10年以上にわたって実績を積んでいる技術になります。最初のプロジェクトでは、1階部分の営業機能や3階以上の住居をそのままにして2階部分で免震装置を設置するハイ・レトロ構法が採用されたのですが、当時はそういった事例がなくて施工検討には相当の時間と労力を要したそうです。技術的な特徴はこちら(→)のページでも紹介している通りなんですけど、いろいろな工夫がつまっているんです。」

「ナルホド!そこで今回の『こだわりのプロセス』の話題になってくるわけね。」

「ようやく本題ってとこかな。どう、みんな付いてこれてる???」

「ひぇー、まだ本題じゃないんですか???
お手柔らかに、お願いしまーす。」

次回につづく