特命!プロセス・ブランディング部

この物語は「限りなくリアルに近いフィクション」です。

#09 作業所の一日に密着「ご安全に!」(教育編)

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2013 年10 月某日(前回のつづき)

東京オリンピック・パラリンピック開催で話題を集める晴海地区。ここで進められている超高層マンション工事の現場取材に訪れたプロセスブランディング(PB)部の女子二人。早朝から朝礼、ラジオ体操をなんとか終えて、いよいよ現場見学に!と喜んだところで、今度は「新規入場者教育」が行われている会議室に連れていかれました。この現場で初めて働く方には“必ず”受けてもらわなければならないプロセスということで、『現場はじめて女子』の二人はしっかり勉強してもらうことに。

作業所の方針ですが・・・・・・
 全員が一体となった現場運営を・・・・・・
 皆さんお一人お一人が主役です、
 全員でいい建物を安全に造りましょう!云々・・・」

現場担当者からの『安全教育』が続いてます・・・

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「うーん。現場の仕事って朝からほんと大変だわぁ~~~」

「ヒメちゃん、しっかり。まだ目的の現場もたどり着いていないのに・・・」

「わかってますけど・・・やらなきゃいけないことこんなに盛り沢山で、現場のみなさんは大丈夫なのかしら。」

「さすがにそこは心配いらないでしょ。さすがプロって感じよね。あの説明してる担当者の人だって、わかりやすく優しい口調でなめらかに、こんな私でも聞き入っちゃうわよ。ちなみに、いつもこんな雰囲気なんですか?」

「そうですね、ほぼ毎日こんな感じで行われてるんですよ。」

「えっ、毎日?!」

「そう、毎日なんです。」

「でも内容的には毎回同じなんですよね。ビデオとかでもっと効率的にやってもいいような気がしちゃいますけど。」

「やろうと思えばできますが、『現場の安全』に関してはそういう訳にはいかないんです。説明は、一人一人の顔を見ながら、説明を変えたり、伝え方を変えたりして、コミュニケーションを計りながら理解度をあげていきます。さっきこの現場の方針を読み上げてたと思うんですが、徹底事項や目指すところを気持ちでしっかり伝えないといけないんです。」

「さっき『仕事を1日おえて、無事に家族のもとに帰ること!』と言っていたのが印象的でした。安全は、自分や会社だけじゃなく、家族のためにも大切なことですもんね。そういわれると改めて気が引き締まる感じがします。」

「教育の中でも「安全」という言葉は何度も何度も言ってましたが、現場には危険がたくさん潜んでいることを認識してもらい、各自が危険の芽を摘みながら、みんなで一丸となって無事故無災害現場を創りあげなければならないと意識に植え付けるのも大切なことなんです。」

「あえて時間をとって徹底して確認する、これも『安全のプロセス』にとって大事な時間なんですね。」

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「さぁ、安全教育はこれで終わりですね。そうそう、終了した方のヘルメットにはこんなシールが貼られます。『新規入場者』ということで、10日後めでたく(?)このシールをはがす事ができるようになります。」

「車の初心者マークと同じね。こうやっておけば、周りの人たちも一緒になって気を付けられるって訳ですね。」

「そうです。それからこの現場では、入場する際にこうして「ピッ」っとやる。三井住友建設オリジナルのforman.net(フォアマン・ドットネット)というシステムで、いわゆる現場版入館カードなんですが、こうやって入退場される職人の方々の記録をカードで管理しています。このカード記録は、その方が当社の現場でどのくらい、どんな仕事で関わっているかがわかるようになっていて、安全管理のほか、作業品質の向上などにも役立てているんですよ。」

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「なるほどー、(機器のデザインはイマイチだけど・・・)見えないところで結構進んだことをやってるんですね。」

「さぁ、お疲れ様でした。安全についてはしっかり勉強してもらいましたから現場視察に繰り出しましょう!!」

「やった~!!」

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奥にあるマンションと同じ規模のものが2棟建設される現場は、大きな穴の底で基礎躯体工事が進行しています。

 ブォーンブォーン、カンカンカンカン、ピピー、ピピー

現場はいろんな音が引っ切り無しに鳴り響いていて、とにかく活気に溢れている感じです。「オフィスの中とは大違い・・・」と圧倒される二人。整然と並べられている資材の間を縫って、必要最低限の幅しかないであろう通路や階段を利用して工事エリアに向かいます。

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「うわ、狭っ!ここ降りるんですか???」

  ゴツン!

「ぎゃ!」

「ヒメちゃん、頭気を付けてね!」

「も、もう遅いです・・・こんな狭いところを、職人さんは、工具や資材とかを持って行き来してるんですよね。ホント尊敬しちゃいます。」

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「それにしてもすごい数!!同じようなクレーンが何台もある?」

「今日は・・・7台のクレーンが動いています。常時設置されている大型のクローラークレーンのほかに、日によっては「ラフタークレーン」と呼ばれる公道を走れる車両タイプのものを追加導入して、総出で作業にあたっています。」

「さっきから引っ切り無しに動いている感じですよね。」

「ぶつかったりしないのかしら・・・」

「現場では、このクレーンを交代で使うんですが、それぞれの役割は事前にかなり詳細に決められていんですよ。そういう段取りをするのがこの後行われる『職長会議』です。」

「あ、そろそろ生コン車が到着ですね。あちらのゲートに行ってみましょう。」

搬入ゲートに到着してまもなく生コン車と呼ばれる車が到着。どうやらあちこちで進んでいる作業はどれもが決められた時間に正確に行われているらしい。案内役のお二人も、各所の作業の進行をちゃんと把握していて移動に無駄がない。

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「こちらはコンクリートの打設作業をしているところです。この到着した車は生コン車と言って、「固まる前のコンクリート=生コン」を運んでくるトラックです。よくミキサー車とも言われてますが、生コンは運んでいる途中でも撹拌し続けてないと品質が悪くなってしまうので、タンク部分を回転させながら走っています。」

「よく見かける!」

「生コン車からコンクリートを受け取っているホースが付いた車がポンプ車と言って、打設場所までホースを使って圧送する機械です。この二つの作業車両の連携で奥のほうまでコンクリートを送りこみ、打設場所では、大勢の作業員が打設に関わる作業をしているんです。残念ながら今日はみなさんをそこまでは案内できないんですが・・・」

「ここからまだ見えないところでもたくさんの人や機械が動いて作業が進んでいるんですね。現場は奥が深いわぁ・・・」

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 納品書を提示して記録写真

「はーい、笑ってくださ~い、記念にパチリ!ハイチーズ!」

「ヒメちゃん、邪魔しちゃだめよ。ヒメちゃんが撮ってると、全く仕事の写真には見えなくなってる!

「ちなみに、現場も同じように納入された証明として『写真を撮って残す』というのは重要な仕事なんです。『生コン』と呼んでいるようにコンクリートは生もので鮮度が命なんです。だから生コン工場からの出荷時間と現場への納品時間が記載された伝票があって、これで生コンの品質を管理しているんです。材料の内容、日付、時間など、その記録が適正でなかったりすると、その生コンは現場では使えません。だから細心の注意を払うところで、ニッコリ笑った顔なんかが写ってたりしたら本当はダメなんですよ。」

「ですよね、ほら、ヒメちゃん!」

「はーい。じゃぁ、疲れてきたのでそろそろ・・・あっ、ネェさん、事件ですよ!あそこ!タイヤが地面から浮いてます!!あのトラック傾いてるんじゃないですかぁ?あぶな~い!!」

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「あっ、ホントだ!」

「あはは。よく気が付きましたね。でも、浮いていて大丈夫なんですよ。」

「そうなんですか???」

「それにはちゃーんと訳があって・・・ほら、車の横から張り出している足、『アウトリガー』って言うんですけど、あれできちんと車を支えているんです。重機といっても普通に公道を走るので、タイヤは普通のタイヤです。それだと荷物を吊ったりする時、不安定になって転倒の危険性があるんです。そこで、必ずアウトリガーを張出して、水平も確保しながら踏ん張りを効かせて作業しなくちゃならないんです。」

「工事車両の配置計画をするときには、アウトリガーも含めたスペースを確保しておくことも重要なんですよ。」

「なるほど。じゃ、これも安全には欠かせないポイントということなんですね。勉強になりました。」

「と、ヒメちゃんがうまくまとめてくれたところで、そろそろ職長会議の時間になりました。事務所のほうにもどりましょうか。」

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「うわぁー、それにしても働いている方々の後ろ姿って『かっこいい』ですよねぇ。背中バッテンのベルトに腰に付けた工具たち、それに真っ赤なヘルメット・・・『現場のデキる男』って感じがプンプンですね。」

「あの赤いヘルメットは、各工種の職長の証なんですよ。これから始まる職長会議に出席するために集まってきてくださってますね。まだちょっと時間あるので、インタビューとかお願いしてみましょうか?」

「えっ、直接お話ししていいんですか???」

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トビさんA「我々鳶は、現場が始まる前に作業員が工事を進めやすいよう仮設の設置や、台風が接近していれば、現場を養生したり、作業は多岐にわたるんだ。やりがい?やっぱり高層の建築の場合、鳶が一番最初に一番高いところに上がれるっていう特権かな。」

トビさんB「普段心がけていること?やっぱり体が資本の仕事。当たり前かもしれないが、早寝早起き、規則正しい生活を送る。体調が悪くては、安全に作業出来ないし、迷惑がかかるからね。」

鉄筋屋さん「悩み?そーだなー、最近の若い人は、なかなか長続きしなくてね、すぐに辞めちゃって、後継者が育たないのが悩みだね。」

強面の方々を前に最初はちょっと緊張ぎみの二人でしたが、とっても優しく「日焼けした顔」にしわを寄せて笑顔で話してもらって、すっかり打ち解けた感じの和やかな雰囲気、そんなインタビューから一転・・・

  11:00 職長会議

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「(超小声で)し、失礼しまーす」

主 任 「おい、そんな段取りで次の作業に入れんのかよ!」

「ひぇ~~~」

「す、すごい・・・」

「びっくりしちゃいますよね。でも、これも全ての作業が滞ることなく安全に進められるよう、みんなが真剣に検討しているからそうなっちゃうんじゃないかと。ちなみにあの主任、ああ見えて、普段は結構明るくて優しいんですよ。」

「こうやって聞いてると、全く想像できませんけど・・・」

「そんなギャップもステキだったりして。果たしてヒメちゃんの『気になる男子社員リスト』には登録されるのでしょうか?!」

「うーーーん、そのギャップ違う意味で気になりますけど、今回はひとまず保留ってことで!

  12:00 職長会議修了

「あ~、怖かった。それにしても、会議が終わったっていうのにみなさん結構話し込んでましたね。やっぱり現場の仕事って常に真剣勝負だって伝わってきました。」

「ホントお疲れ様でした。大変だったでしょう?お弁当を現場で用意しましたので、みんなでお昼にしましょう!」

「ありがとうございまーす!」

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「それではみなさん、いただきまーす」

「なんだかこういうお昼も楽しいですね」

「調味料やふりかけがこんなに充実してるって、現場ならではのお昼って感じですね」

「みんな旅行のお土産なんかで買ってくるみたいで、東京に居ながらにして全国津々浦々の『ごはんの友』が味わえるんですよ」

「お二人は、今日の見学はいかがでしたか?」

「現場の作業がいかに厳しいものか痛感しました。そして、何をするにも「安全」が付きまとい、現場は安全に始まり安全に終わるという印象でした。」

「そうよね、安全とか品質とか、ありとあらゆることに真剣にこだわってるというか。」

「まだまだ紹介したいところはたくさんあるんですが、今日のところはこのへんで。」

「はい、もう満足です。本当にありがとうございました。」

「今度はぜひ高層階になったところで、東京湾岸地区の眺望を見学に来てくださいね!」

「ぜひそうさせていただきます!今日は取材協力ありがとうございました!」

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帰り道・・・

「私、正直言うと、今日、作業着を着る事に抵抗があったんですよ。それで、お二人に、『作業着に抵抗ないですか?』と質問したら、『まったくないです』ときっぱり言われちゃいました。
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「その表れなんでしょうね。作業着+安全帯の姿が本当にキマってたもの。」

「はい!かっこよかったです。でも、耳にはかわいいピアスを着けてましたよね?」

「そうそう!そのギャップがチャーミングだよね。ちゃんと耳にピタっと密着するタイプのものを選んでるんですって。もちろんこれも現場作業の安全に配慮して。」

「私、目標出来ちゃいました。『これからはお二人を見習ってかっこいい、そして女性らしさを忘れない、そんな仕事をする!』ヒメちゃん初めての現場取材、お二人との出会いはとっても大きな収穫でした、マル。」

PB部初の現場取材レポート、なんとか完成してくれたなぁ。初めての試みでずいぶん苦労したみたいだけど。担当してくれたヒメちゃん、ネェさん、お疲れ様でした。お陰様で、外からはなかなか見えない現場のこだわりプロセスがレポートできたんじゃないかな。受け入れてくれた現場担当のお二人も、さすが女性らしくきめ細やかな対応で。そういえば、こんな女子だけの現場取材レポートって“業界初”なのでは!とりあえず、このページだけで自慢しておこう。※スミマセン、違ってたらこっそり誰か指摘してくださいm(_ _)m