特命!プロセス・ブランディング部

この物語は「限りなくリアルに近いフィクション」です。

#10 リカちゃん、現場でデビュー!?

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「リーダー、どうしたんですか、これ?」

「職場に趣味持ち込んで~、っていうかリーダーが “そこ” ってちょっと気味悪いですよ。」

「趣味なわけないでしょ!!実は・・・これお客さまからいただいた大事なもので云々・・・」

「ボス~、準備できました。」

「じゃ始めようか、みんな会議室に集合!」

「お、集合だってよ。実はね、ある現場で“おもしろいこと”やっててね。」

「えっ、なんですか?それ。また、取材行かせてもらえるんですか?」

「それが何かは会議室に行ってからのお楽しみ。実はそれにふさわしいメンバーに、すでに取材してもらってるんだよ。ほら、こちらのみなさんに・・・」

――それは数日前の出来事――

「いっただっきまーす!」

「すっかりあったかくなってきたわよね~」

「もう春だし、何かあたらしいこと始めたーい!」

「わたし、お花見とかに行きたーい!」

「そうよね、外でランチとかしたいよね。ところで、さっき怪しい人に声かけられたんけど。現場に出かけて取材するのを手伝ってくれないか、とかなんとかって。」

「あっ、それってもしかして!リーダーっていう人じゃない!?リカちゃん人形持っていなかった?

「そうそう、なんでもその『リカちゃん』に会いに原宿に行って欲しいんだって。ちゃんと上司の了解はとってくれるんだってよ。」

「えーなになに、おもしろそー、会社の外にでたーい! リカちゃん、かわいーし!」

「えみぃ、軽っ。いいのかなぁ。でも、ホントに行かせてもらえるんだったら、おもしろそうよね。じゃ、私たちでやらせてもらう?」

「やったー、外にでれるー!」

「よし、決まりね。今度会ったら返事しとくね!」

―― PBメンバーが集められた会議室 ――

「・・・という訳で、今日はこちらの三人から取材報告をしてもらうことにしたんだ。」

「こ、こんにちは・・・(恐る恐る)」

「ようこそ、PB部へ。今回は取材ご苦労様。そんなに怖がらなくていいよ。みんなすごいレポート書いてくれたんだからね。みんな、これ見てくれないかい?」

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「1、2、3、4・・・なになに、10ページってすごーい!」

「ですよね、いきなりこんな分厚いレポートってすっごいっすね。」

「みんな、ウカウカしてるとメンバー総入れ替えになっちゃうよ!と、冗談はさておき、早速はじめてもうらおうか。」

「ボス~、悪い冗談やめてください(泣)」

「じゃ、みんな自己紹介から。」

『まめこ』です。」

『えみい』です。」

『かおりん』です。私たち入社2年目の3人組です。」

PB_10_Licca_3pers現場取材にトライしてくれた、元気な入社2年目3人組 (仮名!?)

 

「今回は、竹下通りにあるコチラの現場の取材をさせていただきました。どうぞよろしくお願いします!」

 

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竹下通りからみた現場

「おー、元気でいいね。」

「はじめに、今回は貴重な体験をさせていただいて本当にありがとうございました!現場は知らないことばかりで大変でしたが、がんばって取材してきました。なんとかおもしろい報告ができればと・・・。」

「いきなりあいさつからすばらしいっス・・・でも、そんなに硬くならなくても。」

「そうそう。この場ではみんな感じたままを伝えてくれればいいからね。」

【仮囲いにリカちゃん】

「まずは・・・『リカちゃん』ですよね。」

「どうだった???」

「リーダー、やっぱり気になります?コレ!(笑)」

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「なんなんですか?これ、ウチの現場?チョーカワイーじゃないですか。」

「ね、おもしろいでしょ。この春に『HGS』としてアイドルデビューしたリカちゃん株式会社タカラトミーさん)のPRに、ウチの現場の仮囲いゲートを使っていただくことになってね。」

「現場にリカちゃんって、なんか異色の組み合わせよね。」

「わたしたちもそう思ったんですけど・・・でも、現地行ったらすぐに理由がわかりました。」

原宿ガールズスクール、略して『HGS』。あそこならピッタリ、間違いないっスよ。」

「なるほどー、そういうことね。で、周りの反応、どうなのかしら?印象どうだった?」

「それが、けっこうハデ・・・じゃなくてえーっと・・・」

「えみぃ~、ストレートすぎ~!」

「さすが原宿ファッションって感じでキラキラしていました。近頃のリアル女子はナチュラルメイクに黒髪が流行っていると思ってたので「ちょっと派手目で個性派」なリカちゃんにはびっくりでしたが、原宿アイドルのデビューですからね、これくらいのメイク、ありですよね!」

「キラカワでしたー!」

「現場のほうも、お陰ですっかり竹下通りに馴染んでました・・・」

「歩いてる女子たちも結構注目してましたよ!」

「工事現場に注目する女の子ってなかなかいないですけど、でも今回のように注目されて気付いたりしてもらえると、もっと親しみとか感心もってもらえるんじゃないかって思いましたね。」

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「まわりのお店がかなり『竹下通りっぽいお店』(当たり前か!)だから、普通の味気ない現場仕様では違和感あって目立っちゃうっスよね。そこにリカちゃんがいてくれると通りに馴染んでくれるっていうか。」

「まわりは落書きがひどいところがあるけど、いまのところはそういうのを防ぐのにも活躍していると聞くよ。ヘルメットおじさんがあやまってる看板ばかりじゃなくて、こういうのをもっと積極的にやるのもいいかもしれないね。」

【昼間は開かずの搬入ゲート】

「ところで、すごい人通りで『リカちゃんゲート』は閉めたままみたいだけど、現場作業の様子ってどうだったスか?」

「そこなんですが、この現場、日中は外からの搬出入が全くできないので、現場のみなさん、朝が勝負!って言って早朝から搬入作業やコンクリート工事や搬入作業をしてました。」

「そうか。朝ならさすがに人通りもないっスもんね。」

「と思って、私たちも原宿駅に朝早く集合したんですが・・・」

「が?」

「ですが、かなりの数のサラリーマン風な人たちが歩いてたんです!

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「へぇー、そうなんだ。あんなところにスーツ姿の人たちが???」

「そうなんです。通りを抜けた近くに会社があるみたいで。しかも11時以降は歩行者天国になってしまうので、他の店舗の搬出入トラックやごみ収集車も朝に集中するそうです。なので、到着していきなり、歩行者と車の誘導でみなさん大変そうにしているところに遭遇しました!」

「なるほど、それは日中では気づかない、いきなりの発見だね。」

「道幅も狭くて車同士がすれ違うのも大変そうで、制約が多くて大変な現場なんだと感じました。」

「後で聞いたんですが、どの車がいつごろどこに停車するかは現場で独自に聞き込み調査をして細かく調べてあるんだそうですよ。現場作業って、作るだけじゃなくてそうやって周囲の方々とのコミュニケーションや調整が重要なんだと知りました。」

「うーん、現場はどこでもそうなんだろうけど、『竹下通り』のココはさらに特別っスよね。」

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「ほかにも、事務所の中には近所のレストランのパーティー時間が貼られていましたから。そういうスケジュールにも配慮をしているんですね。」

「そうか。せっかくのパーティーの邪魔をしてはいけないからね。いろいろ気を使うことが盛りだくさんなんだね。」

「それだからなのでしょうが、事務所の中にはほかにも『所長方針』っていうのが目立つところに掲げられていて、何度も『緊張感を持って』っていう言葉を耳にしました。たくさんの方々の目に触れる場所なので、そういうところに気を使われているのがよくわかりましたね。」

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「ということは、ここはもとあった建物を解体する作業から始めていているけど、そのときには今以上に気を使ってたんじゃないかと・・・」

「そういえば、解体作業の際の分厚い“写真集”(工事記録集)があって見せていただきました。深夜早朝に大きな機械を入れて、日中は大勢の人通りのすぐとなりで解体作業だったんだ、と熱く話されてましたが、そういうことだったんですね。」

「解体方法については、本社の技術部の方とも検討を重ねて慎重に作業を進めたんだそうです。」

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【はじめて見る生コン工事】

「ところでみんなは初めての建設現場だったんだよね。どうだったかな?」

「コンクリート作業が特に印象に残っていますね。タンク部分がクルクル回る“生コン車”で運ばれてきたコンクリートを、大きなホースを使って流しこんでいく様子はまさに工事現場!という感じで見応えがありました!」

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「私もです!仕事で現場の請求書をチェックするので『コンクリート打設工事』という言葉は知っていたんですが・・・まったく想像とは違っていました!!!もっと滑らかな液体を機械で塗り固めていくイメージだったんです。でも、実際には何人もの人がいろんな道具を使って“重そうに”流しこんでいて、思った以上に人の手と時間がかかっていました。請求書を見ているだけではわからない大変さが見えて、なんだか感動しちゃいました!」

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「私はコンクリートは豪快に流しこむようなイメージだったんですが、思ったよりも繊細な作業だったことに驚きました!丁寧に扱わないとヒビが入ってしまうと聞いたんですが、その辺はお菓子のマカロンづくりみたいだなぁと思いました!」

「コンクリート工事がマカロンづくりとはね!なるほど、そこは我々オジサンたちには出てこない表現だね。今度どこかで使わせてもらうよ。」

「なるほど、マカロンづくり。料理をしてる人たちにはわかりやすい例えなのかな??」

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「そういえば、それに関して聞いていて気になったことがあって・・・。

「え、なに?」

「あのぉ・・・コンクリートはドロドロしたものをホースで流し込んでたんですが、みなさんコンクリートは「打つ」と言っていて不思議に感じました。なぜ『流す』ではなく『打つ』なのかなぁと・・・」

「あれ?そういえばそうね。もう慣れすぎちゃっててなんとも思わなかった・・・」

「なので、思い切って現場の方に電話で質問しちゃったんです。」

コンクリートは液体のように見えますが、実際には“セメントペースト”と“砂利”が混じったもので、ただ流すだけではそれらが分離してしまう可能性があり、固まったときに表面に砂利が出てきてしまったり、隙間ができてしまったりして欠陥になってしまいます。このような現象が起こらないよう“バイブレーター”という振動を与える道具を使い、セメントペーストと砂利が分離しないようにすると同時に、内部に含まれる空気の泡や余分な水分を浮かび上がらせ、密度の高いコンクリートをつくっていきます。バイブレーターがない時代は、コンクリートを棒で突ついたり型枠の外からたたいたりして振動をあたえていました。これがコンクリートに打撃を与えているところから、今でも“コンクリートを打つ”と言っているようです。
(※ 諸説あるともいわれているようですが、、、

「へぇ、そうだったのか。言われてみればそうだけど、気にしたことなかったっス。」

「現場の金田係員がすぐに教えてくれました。さすがですよね!」

「へぇー、金田くんが?(ってよく知らないけど・・・)やさしいのね~。にしても、すぐに答えてくれる彼もそうだけど、いきなり質問しちゃうかおりんの行動力もステキ!なるほど、よくわかりました!」

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【現場取材を通して】

「じゃ、今回プロセスブランディング部の現場取材を体験してもらったんだけど、そういう仕事を通して感じたこと、ひとことずつもらおうかな。」

「いつもとは違う視点で建設会社の仕事を見れてとても勉強になりました!ずっと机で仕事をしていると建設業界にいることを忘れてしまうこともありますが、私の携わっている仕事がちゃんと現場のものづくりにつながっていることを感じられて嬉しかったです。」

「わたしも、会社がこだわっている「プロセス」って何かを実際に見ることができた気がしました。完成したものを見るだけではわからない、関わる人と人との絆で築きあげていく現場のプロセスが重要なんだと感じました。」

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「私は、今回特にすごいと感じたことがひとつあるんです。それは、このリカちゃんのような楽しい企画が、この現場を見かけた担当の方の一通のメールからはじまって実現できたということです。普段、自分はやるべき仕事で一杯一杯で余裕なんて無いんですが、まわりにあるものを注意深く見ていると、まだまだ会社や自分にとってプラスになることがあるはずだって。そう思ったら思い切って行動に移してみることも必要なんだと感じました。」

「オオ!まめちゃん、いいこと気付いてくれた。当たり前に見えちゃってて気が付いてないことってきっとまだあるよね。」

「若いうちは、あっ、若くないみんなも、もっとアンテナはって貪欲にチャレンジしたらいいんじゃないかな!今回は、そのお陰で現場もハッピーになったし、こうやって取材したみんなにも勉強してもらう機会も持てた訳だしね。」

「私も、報告書を作るのは大変でしたが、皆さんと一緒に作業したりこうやって報告できたりしたのは貴重な経験でした。現場の方やPB部の皆さんには本当に感謝しています!」

「ありがとうございました!」

「それぞれに期待してた以上に収穫があったようだね。今回のPB部の発掘した宝は、これから活躍してくれそうな「元気な若い力」ということになるかな!じゃぁ、今日はそろそろお開きということで。」

「おつかれさまでした!」

それにしてもいいレポートが完成したんじゃないかなぁ。所長や現場のみなさんにはほんと感謝しないと。また鉄骨建て方の時期になったらぜひ来てほしいと早速連絡があったみたいだから、現場にとっても良かったのかな。今度は建物本体を作るプロセスだから、さらに建築らしいところを見て勉強してもらえるでしょう。そういえば、このところ現場をもっと取材してほしい、自分も取材したいっていう話も来ているらしい。PB部発足1年、そろそろ全国現場取材プロジェクトを本格始動しましょうか。