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特命!プロセス・ブランディング部

プロセス・ブランディング部とは
三井住友建設の「社内に埋もれた宝」=「プロセス」を発掘して、
世に出すために発足された部署である──。

*この物語は「限りなくリアルに近いフィクション」です。

#05 免震レトロにこだわりの技あり!!(後編)

プロセス・ブランディング部が発足して、はじめてのプロセス発掘会議。今回のテーマは、当社がオススメしているオリジナルの免震レトロフィット構法「ハイ・レトロ」。ナベさんからの報告にみんなが容赦なくつっこんで盛り上がっている。話はいよいよ当社ならではの「こだわりのプロセス」にせまる。

ネエさん
「ところで、さっき「当社オリジナルの・・・」って言ってたけど、実際のところ普通の免震レトロフィットとはどう違うわけ?」
ナベ
「そうですね。最も大きな特徴はさっき紹介した減衰装置のところでしょうかね。 一般的な免震構造では大きな地震が来たときの地面に対する建物の最大変形量、つまり地面との「ズレ幅」が数十センチにもなるんです。」
ヒメちゃん
「建物がそんなに動くなんて、全然安全じゃないのでは?」
リーダー
「そこは誤解し易いところなんだけど、地震の時の話だから実際に動いているのは地面のほうで、大きくずれているというのはその分建物側は地面の激しい揺れから逃れているということなのね。」
ナベ
「ですね。ただ、それの場合建物の周囲にはそれだけ動いてもいいスペースが必要になります。新築の場合にはあらかじめその分のクリアランス、つまり余裕のスペースを作れるんですが、既存の建物を改修する場合、敷地ギリギリに建っていて周囲にそんなスキ間が確保できない場合もあるんですね。そうすると残念ながら「免震化は難しい」という結論になってしまう。」
ヒメちゃん
「それは困りますね。ということはせっかくの技術なのに免震改修できる建物って少ないってこと?都心の建物なんかホント、ギリギリって感じだし。」
ハカセ
「そう!だからそこに工夫が生まれる!!!」
ナベ
「そういうことです。そこでこの減衰装置によるハイブリットの発想が登場するわけです。『制震構造』でも説明した通り、この減衰装置は地震のエネルギーを吸収してくれる装置です。高性能な減衰装置を設置することで、揺れたときのズレ幅を35センチ以下まで抑えることができるようにしたんです。必要な建物周囲のスペースが小さくできるから、免震改修ができる建物もずっと多くなるって訳です。」
免震改修(免震レトロフィット):2階部分を通常の構法で免震化したビル 一般の免震構造は補強工事の範囲が他の階まで及ぶ(図左) 一般の免震構造は地震時の揺れ幅、免震クリアランスを十分に確保する必要がある Hy-Retro(はいレトロ):2階部分をHy-Retro構法で免震化したビル(図右)
ヒメちゃん
「なるほど~。地震の揺れを建物に伝えない『免震』と建物と地面のズレを抑える『制震』のハイブリット!『ハイ・レトロ』がカッコよく思えるようになってきましたわ。」
ハカセ
「ちなみに、私の聞いたところでは、この揺れ幅を小さく抑えたというのは他にもメリットがあって、装置を据える柱を太く補強するが必要が無くなったり、設備配管やエレベーターを対応させる構造も比較的簡易にできたりする効果があって、コストや工期を抑えるのにも貢献してくれるんだそうです。」
ヒメちゃん
「でも、ズレ幅が少なくするってことは、せっかく免震構造にしたのに地震の影響を受けやすくしちゃうんじゃないですか?」
ナベ
「そう、そこがこの減衰装置のポイントで、ズレ幅は小さくなっても揺れる周期は同じままなので、上の部分はよりゆっくり小さく揺れるような感じになる。まったく揺れを感じないわけじゃないんだけど、家具が倒れたりするような危険が無くなるんですね。住んでいる方が言ってたそうですが、地震が来たときには船に乗っているような感じだったらしいですよ。」
ネエさん
「そういえばここのところ大きな地震が多かったですから、、、もう効果を実感されているんですね。」
ナベ
「と、ここまでは『ハイ・レトロ』の性能の特徴や効果についての話でしたが、そろそろ『この装置を設置するのにどんな風にしていくのか』その辺の話をしていこうかと。みなさん想像はしていると思うんですが、人が住んだままで施工するっていうのは、そう簡単な話ではないんですね。 この写真、さきほど話題のシマシマ関節部分のカバーを取りはずしてもらったところのものなんですが、中にこんな風に免震装置が設置されています。」
柱の中間高さに設置されている免震装置
ネエさん
「装置の姿はパンフレット写真なんかでよく見かけますけど、こうやって実際に柱の間に設置されているのを見るのはあまりなかったかも。この黒いところがゴムの部分で、柔らかくて地震の揺れが上の階に伝わらないようにしてるわけね!」
ナベ
「そうです。ですが、建物の重さはここでしっかり支えてなければならない。柱には1本あたり何百トンって建物の重さがかかっているんですが、その柱を切りとって免震装置を挿入する必要があるんですね。」
ヒメちゃん
「柱を切断?!そんなことして大丈夫なの?そんな時に地震なんかおきたら大変じゃない??」
ナベ
「そう、大変なんです。なので、工事のときには柱を切断して免震装置を据え付けていく作業を1本1本慎重にくりかえしていくんです。その際、柱1本とはいっても切りとってしまうとそこだけ弱くなってしまうので、同じ強さが保てるよう計画的に仮補強しながら施工していきます。また、上の階は住み続けたままということで、エレベーターや避難用の階段も常に使えるように建物への出入りを確保しながら施工していきます。とにかく住んでいる方の安全には気を使うのはもちろんですが、なるべく普段通りの生活を送って頂けるように配慮しながら慎重に進めていく仕事なんです。」
免震装置を設置しているところ
ネエさん
「常に細かい気遣いが必要な工事なのね。」
ナベ
「そうなんですね。 ところで、この巨大なゴムの免震装置を設置するにあたって、さらに気を使わなければならないことがあるんですが、なにか思いつきませんか?」
ヒメちゃん
「えー、なんだろう。もう、ぜんぜん想像もつかない!!!」
ナベ
「さっきちょっとヒントあったんですけどね。 この免震装置って揺れを伝えないゴムで出来ているですが、建物の重さがかかるとその重みで縮んでしまうんです。これって、建物全体が同じ量いっぺんに沈むなら問題ないんですが、柱一本ずつ慎重に施工していくこの工事では一箇所だけ沈んで建物がゆがんだり変なストレスがかかってしまう可能性があるわけです。」
ハカセ
「それは結構なストレスになりそうですね。建物がヘルニアみたいになっちゃうわけですからね。きっと悲鳴を上げていることでしょう。」
ナベ
「そこで、そうならないようにこんなものが使用されるんですよ。それはコチラ、「フラット・ジャッキ」!!!」(ジャーン)
フラット・ジャッキ
ヒメちゃん
「パエリア鍋みたい?」
ネエさん
「窯焼きピザ専用皿とか?」
ナベ
「そうそう、やっぱりピザはマルゲリータ・・・じゃなくて、「フラット・ジャッキ」ですって!この薄い円形のプレートの中が「ピタパン」のように空洞になってて、『グラウト』と言われる収縮しないで固まる特別な液体を入れて膨らまして使うんです。この円形プレートを、切断した柱と免震装置の隙間に挟みこんでから、」
①柱を補強する ②柱を切り出す ③免震装置を設置
ナベ
免震装置が建物の重さによって十分に縮んだ状態になるまでフラット・ジャッキを膨らませていくんです。そうすると、まわりの支えをはずしても上の柱がこれ以上下がってこないようになるんです。」
ナベ
「当社では、最初のプロジェクトからこの方法を採用していて、建物がゆがまないように監視する独自のシステムを導入しています。今では柱が沈みこんでしまう量を0.5mm以下に抑えて管理できるようになっているんだとか! 」
リーダー
「つまり、免震装置を入れる前の状態と変わらず設置できているってことだね。そのままの状態を維持させるって当然のことのようだけど、そのために結構難しい検討を重ねて安全で確実な工事を実現しているってことなんだろうな。 当たり前を当たり前に、か。」
ナベ
「そうですね。免震レトロフィットの話は聞いて知っているつもりではいましたが、実際に施工記録を見たりしてみると、改めて他社とは違ういろんな工夫があるんだということがわかりましたね。」
ヒメちゃん
「へぇ~、気が付かないところでそんなポイントがあったりするんですね。これを知っておくと、みんなにも自慢できちゃいますね!」
ナベ
「自分もプロセス・ブランディング部員としてこういうこだわりを発掘することで、なにか新しい商品開発のイメージが湧いてきそうな感じがしてきましたね。 ということで、今日の報告はこのへんでよろしいでしょうか?」
ボス
「よしっ、グッジョブ!ナベさん!!みんなどうだったかな?ほんというと、免震レトロについてはまだまだいろいろとネタはあるけど、今日はなかなかの内容だったんじゃない?」
リーダー
「そうですね。これでみんなも営業できる気がしてきたんじゃない? じゃあ、今日のところは解散! お疲れさま。次回ネタはまた例の作戦会議ということで、、、」
リーダー
耐震改修はかなり以前から話題にはなっているけど、実際にはコストや適用条件でなかなか実現できていないのが現状なんだなぁ。新築マンションで採用率も高くなった免震構造だけど、すでにある建物にはどうやったら使ってもらいやすくなるか悩ましいところ。
というところで、いろいろ工夫しながら開発してきたこの技術の「こだわり」を共有して、またさらなる開発チャンレンジが始まってくれることを期待しつつ、報告をしてくれたナベさんはとりあえず「おつかれさま」と。
特命!プロセスブランディング部
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