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特命!プロセス・ブランディング部

プロセス・ブランディング部とは
三井住友建設の「社内に埋もれた宝」=「プロセス」を発掘して、
世に出すために発足された部署である──。

*この物語は「限りなくリアルに近いフィクション」です。

#07 建設会社の風使い ~技術開発センター女子会編~

2013年8月某日
ヒメちゃん
「着いたわねー、流山おおたかの森駅。はじめてきたけど、駅前は随分にぎやかなところなんですね。」
ルナちゃん
「つくばエクスプレスって、なんかスピード感ありますよね。地下から地上に飛び出してくるところとか、なんかワクワクしちゃいました。」
ヒメちゃん
「どこまでもまっすぐな感じで早かったわよねー。今日の取材は、つくばエクスプレス並みの『スピード感』で頑張りましょうね。PB部と橋ガールの記念すべき初コラボ企画だから、っていうか、わたしの場合、初めての現場取材ですからね。百戦錬磨の橋ガール、頼りにしてるわよ!」
タノちゃん
「ヒメちゃん、安心してまかせなさい!私たち橋ガール、いつものように張り切っていかせてもらうわよー、ねぇ、ルナちゃん!
ところで、今日のテーマは『風』なんだよね。この辺は結構いい風吹いてるみたいけど、風の実験ってどうやるのかな?よくテレビでやってるでしょ、でっかい扇風機で『うわ~、飛ばされる~』とか。あんな感じの実験やってたら楽しそうだけど・・・ 」
ルナちゃん
「それはないかと・・・。」
タノちゃん
「とか言いつつ、ルナちゃんだって、今日はしっかりズボンはいててやる気満々じゃない~。ま、当然わたしはいつも通りなんだけど・・・あっ!いつもおしゃれなヒメちゃんも、今日はズボンスタイルじゃない。ってことは、誰が最後まで飛ばされずに耐えられるか競争できるってことね。あれ!?そう言えば、一番飛ばされそうなナベさんがいなくない??」
ルナちゃん
「あのぅ・・・昨日『話はちゃんと通してあるからヨロシク~』って言ってました。」
ヒメちゃん
「うわぁー、逃げた。もうそういうことならほっといて、わたしたち女子だけで楽しい取材にしましょう~!!」

と、プロセス・ブランディング部のヒメちゃんと橋ガールが流山の技術開発センターに取材にやって来たのには訳がある。話は数日前の夕方にさかのぼる・・・

佃島本社前
ヒメちゃん
「ルナちゃん、お疲れさま~」
ルナちゃん
「あ、ヒメさま!お疲れさまです~ いま帰りですか?」
ヒメちゃん
「うん、今日は天気もいいし、どっか遊びにいっちゃおうっかなぁと。」
あ、それはそうと、橋ガール、大人気だよね!最新のベトナム編!おもしろかったわよ~」
ルナちゃん
「ありがとうございます!!読んでいただいてるんですね。ホントにたくさんの人に応援してもらって・・・最近はちょっとプレッシャーなんですけどね、こうやって声かけて感想もらえたりするとうれしくて頑張れます!そうだ、今度ヒメさまも一緒に『お橋見』しましょうよ~」
ヒメちゃん
「えー、私なんかが行っていーの?それならぜひ行きた~い!どっか遠いところ行っておいしいモノガッツリたべて、ってね。そんなんじゃダメか。あれ?そう言えばルナちゃん、今日は一段とお洒落じゃない?」
ルナちゃん
「そうなんですよ~、今夜月島で「ワインパーティ」があって、タノセンパイと一緒に「婚活」にでも行っちゃおうかと。ヒメさまも、、、良ければどうですか?」
ヒメちゃん
「なんか楽しそうね!せっかくだから行っちゃおうかな~って、ヒマそうに見えた?」
ルナちゃん
「え、いやそういうわけじゃないんですけど・・・(っていうか、どっか遊びに、とか言ってましたけど・・・)」
タノちゃん
「ルナちゃん~、おまたせ~!あ、ヒメちゃんもいっしょなのっ・・・」

ビューーーッ!と強風

ルナちゃん
「きゃ~」
ヒメちゃん
「ぎゃー」
タノちゃん
「ぎょえー」
ヒメちゃん
「もう!せっかくお洒落しても、この風じゃ台無しよね!」
ルナちゃん
「ほんとですねー、この辺って時々ものすごく強い風が吹くんですよね!」
タノちゃん
「よく言う「ビル風」ってヤツなんだろうけど、特にこのあたりは強くなっちゃうみたいよ。そういえばこの辺の建物をつくってるのってウチの人たちでしょ。なにか対策って考えてないのかしら?こんなんじゃ、せっかく素敵な街になってもスカートはいておしゃれなんてできやしない!」

と、そこへプロセス・ブランディング部のボスとナベさんが通りかかる。

ボス
「今日はいー風吹いてるなぁ、海が呼んでるよねー、ナベ。
あれ? ヒメちゃん、タノちゃん、ルナちゃん、3人揃ってどうしたの??」
ヒメちゃん
「ボス~!いー風吹いてるとか言って喜んでる場合じゃないですよ!一体どうしてくれるんですか!!!
ボス
「おっと、なんかわかんないけど熱いじゃない。いいね、いいね~ 何か問題に気づいたらとことん追及してみる、"わからなければ、わかる人を探せ"ってことだね。ということで・・・、じゃ、ナベ、あとはよろしくっ!!」
ナベ
「え!? 自分っスか!?なんで!?」
ヒメちゃん
「ナ~べ~さ~ん~」
ナベ
「ヒィィ・・・」
さんにん
「かくかくしかじか」
ナベ
「なるほど、そういうことっスね。こんなに風が吹いちゃぁ、おしゃれも「婚活」もできやしないと。」
ヒメちゃん
「そうよそうよ!まったくどうしてくれるのよ!!」
ナベ
「まぁ、まずは落ち着いて・・・。確かに条件や場所によっては風が強くなったりすることもあるんだけど、実際に超高層建築物の設計をするときには、かなりマジメに風のことを考えていることも知っておいてほしいスよね。」
ルナちゃん
「そうなんですか?」
ナベ
「やっぱり風って自然現象だし色々と難しいんスけど、『風の専門家』っていう人たちがいてね、作ってしまう前にいろいろと検討してくるんス。」
タノちゃん
「え!? ウチにも『風の専門家』がいるんですか? 専門家っていうと・・・、『ハカセ』みたいな?」
ナベ
「ハカセかぁ、確かにいかにも専門家って感じ。でもウチの場合ちょっとタイプが違ってて、なんと若手の女子だったりするんスよ。まさに『風の谷のナントカ』みたいな!!」
ヒメちゃん
「えーーー、それってステキじゃないですか!ぜひお会いしたいー!」
ナベ
「そうそう、実は自分が関わっている仕事でちょうど高層建物まわりの風環境の検討をやってる案件があるんだけど・・・PB部の取材ってことで一緒に行っちゃいます??」
さんにん
「おねがしまーす!!!」

というわけで、一行がやってきたのは技術開発センターの風洞実験棟。

技術開発センター 風洞実験棟
ヒメちゃん
「こんにちはー、サクタさんですね。今日はよろしくお願いしまーす。」
さくたさん
ようこそ、技術開発センターへ!お待ちしてましたよー。ここに女性ばかりで来てくれるなんてなかなかないですから、今日はほんとに楽しみにしてたんです!じゃぁ、早速ですが風洞実験棟の中で風環境の実験をお見せしちゃいましょう!」
タノちゃん
「さぁ、いよいよでっかい扇風機に挑む時がーーー、今日はヒラヒラスカートじゃないから、負ける気がしないわ!かかってきなさーい!!!」
ヒメちゃん
「タ、タノちゃん、どうかしたの?最近、なにかあった・・・???」
ルナちゃん
「いいんです、気にしないで進めてください。センパイ、気合が入るといつもどこかのスイッチが入るみたいで・・・」
さくたさん
「えーと、進めていいですか?こちらが『風洞』といって、風を作る装置です。この風洞は『エッフェル型吹き出し式境界層風洞』といって、この左手奥に向かって全長が37.6mもあります」
タノちゃん
「あれっ???で~っかい扇風機は? 」
さくたさん
「残念ながらここからは見えないんです。風を作る大きな扇風機(正確には"送風機") の羽根は、直径は3.2mもあってこの風洞装置の一番奥にあるんです。」
さくたさん
「で、見ての通り、この風洞装置の中に風を送っていて、あそこに置いてある建物の模型で風環境の実験をしています。ちょうど今は都内某所のツインタワー計画の風の影響を検討しているところなんですよ。」
ルナちゃん
「あれ? 実験模型は計画してる建物だけじゃなくて、周辺の街並みも細かく再現してしているんですね。ちなみに、その先風が来る方向には四角いブロックみたいなものがたくさん並んでいる。あれは何ですか?」
さくたさん
「風は、周辺の建物の影響を受けながら吹くので、それも再現しないと正確な実験ができないんです。建物が密集する市街地なのか、それとも比較的建物が少ない海岸地域や田園地域なのか、周囲の環境によっても風の吹き方が変わるので、このブロックの並び方を変えることでその地域に合った風をつくってるんです。ちなみに専門的には、周辺の地表面の状況によって「地表面粗度区分」の区分けがされています。ここの図にある通り、より地表面の障害物が多くなる右の絵ほど、地上付近の風速が弱められます。」
地表面の状況と風速の高さ方向の分布
ヒメちゃん
「へぇ~。いろんな環境を作って風の実験を行うスグレモノなんですね。」
タノちゃん
「それにしてもこの模型、周辺まで細かく作られててほんとスゴイですね~。」
さくたさん
「そうですよね。より良い実験とするためのエンジニアとしての「こ・だ・わ・り」かな。ナイショだけど、これひとつ作るのに、ウン百万円とか掛かっちゃうのよ~。」
さんにん
「ひょえ~。そんなに~!?」
さくたさん
「ちょっとビックリでしょ?でも、そうやって大きな費用を掛けてでも、きちんと考えなければならないことなんですよ。もちろん、みなさんの「婚活」のためにも!ですよね。」
ルナちゃん
「え、どっからその話を・・・あっ、ナベさん!まったく余計なことだけはちゃんと伝えてー。それはそうと、もしかして模型のところって動くような仕掛けになっていません?」
さくたさん
「そう、その通り!!(ハカセ風)実は、この模型の部分は回転する、いわゆる「ターンテーブル式」になってるんです。装置の風は決まった方向にしか吹かないから、このターンテーブルをまわすことで色々な方向からの風に対して検討ができるようになっています。今回の場合は、模型の中に設置された120箇所の風速センサーで風速データを測定して、そのデータで計画地周辺の風環境を評価しているんです。風環境は風の強さだけじゃなくその頻度も考慮して評価するので、計画地の近くの観測所で実際に測定された過去の風のデータも使って評価するんですよ。」
さくたさん
「・・・と、説明はこの辺にして、実際に風洞を動かしてみましょうか!建物の様子をみててくださいね。」
タノちゃん
「よ~し、いよいよ!みんなー、手すりにつかまって~、って、あれ? 音はするけど・・・これって風吹いちゃってます??」
さくたさん
「もうMAXで吹いちゃってますよぉ。でも風って目に見えないから、実験風景はものすごく地味なんですよね・・・で~もっ!!模型の上にこの『小さな旗』を建てると、全体の風の流れを視覚的に捉えることができちゃうんです!!」
ルナちゃん
「ホントだ!
って、やっぱり地味な気が・・・。しかも、模型を少しずつ廻しなからデータを取って・・・ってなんだか気が遠くなるような作業ですね。」
さくたさん
「そうなんです。でも、周りの建物よりも高い建物が建つと、風の流れは変化して場所によっては強くなることもあるわけで、その地域のみなさんは日当たりと同じくらいに心配されてるんですよね。だから、こうした地道な実験や検証に基づいたデータを示すことによって、そういう心配のタネをできるだけ取り除けたらと思ってるんです。そう考えると、この『地味』な作業もしっかりやらなくちゃって頑張れるんですよ!!
ヒメちゃん
「さすがプロ意識が高いな~。なんだか頼もしいですね。でも、こうやって検討しても、ビル風ってやっぱり防げないんですかー?オフィス街なんかは、かなりの風になっちゃいますよね。」
さくたさん
「そうですね。なんとかしなきゃいけないんですけどね。でも、全く対策がないわけじゃないので、こうした結果から計画的にできることをご紹介しましょうね。じゃあ、まずビル風のの原理を簡単に説明しておきましょう。建物に当たった風が地表面に向かって吹く『吹き降ろし』や、建物の横を抜ける『剥離流』と呼ばれる風の流れによって、建物の周りでは風が強くなるんですが、特に周辺の建物よりも高い建物が建つ場合は、吹き降ろしの風が強くなる傾向があります。
で、その強くなるだろう風をどうするかというと、最もポピュラーなのが、図のように、建物の足元に防風植栽を植えたりすることで、風を抑える対策を行なう方法です。
その他にも、建物の形、特に角の部分の風が強くなってしまう傾向があるので、建物の角を取ってしまう対策方法なんかもあったりします。
で、ここでやってるような実験をこまかく繰り返していくことで、防風植栽をどこにどう植えていけば最も効果的な対策となるのかなんかが分かってくるようになるわけですね。」
ヒメちゃん
「へぇ~。建物の周囲に大きな樹木が並んでいたり、角がへこんでたりするのってデザインの話だけじゃなんですね~。」
ヒメちゃん
「なるほど。気づかないところでいろんな工夫があったんですね。なんだか風に対するこだわりが伝わってきます・・・。」
さくたさん
「そう言ってくれると何だかうれしいわ・・・はい!それじゃあ、固い話はこの位にして、実際に風洞の中に入ってみます?」
さんにん
「ハイッ!是非!」
タノちゃん
「ねぇねぇ、ルナちゃん、こんなこともあろうかと、こんなものを・・・」

(ゴソゴソ・・・なぜか、バッグからソフビ人形登場)

ルナちゃん
「な、なんですかセンパイ。こんな神聖な場所に!」
さくたさん
「わ~、なになに、え、それおもしろそう!!!そういえば、この実験施設でそんなことやろうなんて人たち今までいなかったわよねー、さすが橋ガール!!」
ルナちゃん
「えー、ホントにいいんですか?サクタさん。(なんか、研究者っていいながら意外にセンパイみたいにノリよかったりして・・・そういえば、ハカセもそういうところあったっけ)」
さくたさん
「さぁ、風いきますよー!」
タノちゃん
「Max でお願いしまーす」
一同
「あ~! キ○ィちゃんがぁ・・・飛べ~!!負けるな、セブン!! 故郷の星まで飛んで行け~!!○○星人、腕太すぎ!!バランス悪ぅ~!!」
ルナちゃん
「やった~!!やっぱり私の怪獣がイチバンーーー!!ってセンパイ、私たちまた本題からズレちゃってるんじゃないですか。結局おしゃれしてビル風を少しでも避ける「コツ」はどうしたらいいんでしたっけ?」
さくたさん
「ゴメンナサイ、私まで思わずテンション上がっちいましたね。そうですねぇ、風って常に変化する自然現象だからその時によって違うんだけど・・・建物があって防風樹木があって、みたいな場所があったら、その外側を歩くようにするのがベストかな。
タノちゃん
「そう!それ!今日一番の情報です!やっと出た!」
さくたさん
「そうですよね。やっぱりヒラヒラスカートを気にせず履きたいですもんね。ジ・ョ・シですからね!」
タノちゃん
「ですよね~。ちなみに、サクタさんのネイル、さすがじゃないですか!この指先まで行き届いた女子感、カワイすぎですぅ。」
ヒメちゃん
「本当だー。また作業着とのギャップもいいですよね。サクタさんって、男性に混じってバリバリ働いている強そうな女性技術者のイメージを完全に覆してくれたって感じ。こういうきめ細やかさが、風データの収集、解析にも通じてるっていうことなんでしょうね。橋ガール風に言うと、『当社の高層建物づくりの風対策は、ネイルのようなきめ細やかさにあり』って感じでどう?あー、今日はとってもいい取材ができたわー」

~ 風洞実験棟の扉の影から中を覗く怪しいおじさんが二人・・・ ~

リーダー
「うん、うん。女子だけでいい感じに盛り上がってくれたね。」
ナベ
「でしょう? だから、一緒に来なかったんスよ~」
リーダー
「いや、ナベさんは単純にあの3人、いや4人が怖かっただけでしょ。」
ナベ
「ハ、ハイ。お察しの通りで。」
リーダー
次回ネタ、何しよう・・・と言ってるうちに、また事件はヒメちゃんのまわりで起きていた!なるほど、女子目線での風対策って、ちょっと面白い切り口の取材になったんじゃないだろうか。まさか神聖な実験施設でヒーローや怪獣の人形を風で吹き飛ばそうなんて、いままで誰か考えただろうか・・・橋ガールとの自主コラボっていうのも想定外のおもしろさ。ボスも、適当にまかせちゃって気になっていたようだけど、報告を聞いてずいぶん満足げだったなぁ。まぁ、メンバー選定には狂いはなかったからね。ウチはマンションをたくさん作ってる会社だから、こういう形で女子目線のくらしに役立つ技術開発が進んでくれるといいんじゃないかなぁ。
特命!プロセスブランディング部
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