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フィナンシャルレビュー

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2020年度の業績総括

2020年度の受注環境については、公共事業投資は堅調に推移しましたが、民間設備投資には慎重な状況が見られ、個別建設受注高は3,164億円(前年度比220億円減少)となりました。連結売上高は、建築大型工事の多くが施工の初期段階であったこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響などにより海外現地法人の売上高が減少したことから、4,216億円(前年度比508億円減少)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は87億円(前年度比68億円減少)となりました。

「中期経営計画2019-2021」(以下、本中計)の最終年度となる2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、本中計における業績目標の達成が厳しい状況ですが、引き続き、将来を見据えた企業競争力の強化と企業価値の創造に取り組んでいきます。

建設受注高(個別)
こちらの表は横にスクロールしてご覧いただけます。
2019年度
実績
2020年度
実績
2021年度
予想
中期経営計画
目標
売上高 4,724億円 4,216億円 4,320億円 5,000億円
営業利益率 5.2% 3.7% 4.3% 6%以上
ROE 16.7% 8.8% 9.5%程度 12%以上
自己資本比率 27.1% 27.2% 27%程度 30%以上
総還元性向 30.8% 43.8% 31.2% 30%以上

財務体質の改善と資本効率の向上

2020年度末の自己資本は1,024億円(自己資本比率27.2%)と財務体質の改善を進めています。2020年度のROEは8.8%と前年度から低下しましたが、引き続き、利益率の向上と資産効率の改善に取り組んでいきます。政策保有株式については、個別銘柄ごとに検証を行い、保有の意義が薄れた株式は、売却により縮減する方針としています。2020年度は、関係会社保有の2銘柄(34百万円)の売却を実施しました。

2020年度の営業キャッシュ・フローは、工事代金回収が進んだことなどにより167億円の資金増加となりました。

自己資本/自己資本利益率
親会社株主に帰属する当期純利益/ROE

「2030年の将来像」の実現に向けた投資

本中計では、当社グループの持続的な成長に向け、投資を加速する期間と位置付け、3年間で500億円(累計)の投資計画を掲げています。2020年度は、M&Aによる三井住友建設鉄構エンジニアリングとドーピー建設工業の子会社化、水上太陽光発電所運営事業などへの投資を行い、累計投資金額は約240億円となりました。建設周辺事業や再生可能エネルギーを中心とした新規事業の拡大を目指し、必要な投資については積極的に実施することで、競争力のある新たな事業を創出していきます。

なお、当社グループでは、投資を実行するにあたり、事業投資審査委員会などにおいて、投資規模や事業戦略との整合性、リターンとリスクなどの総合的な評価を実施した後、取締役会において審査するプロセスにより、投資リスクをマネジメントしています。また、投資後も関係部署においてモニタリングを実施することにより、きめ細かなフォローアップを実行しています。

資金調達

資金調達においては、シンジケートローンなどの金融機関借入を主軸としつつ、資金枠としてコミットメントライン契約を締結するなど、機動的かつ安定的に必要資金を調達しています。また、資金調達の多様化への対応として、第1回無担保社債を発行しました。2020年度末のD/Eレシオは0.6倍、純有利子負債はマイナスとなり、引き続き、財務の健全性を維持していきます。

株主還元方針

株主還元方針は、財務体質の一層の改善を図りつつ、本中計に掲げた総還元性向(連結)30%以上を目標に、自己株式取得を含めた利益還元を実施することとしています。2020年度は、1株当たり年18円の配当(配当性向(連結)32.5%)を実施し、自己株式取得10億円を含めた総還元性向(連結)は43.8%となりました。今後も「2030年の将来像」の実現に向けた成長投資や変化する事業環境に対応できる財務体質の健全性を維持しつつ、株主還元の拡充を目指していきます。また、株主や機関投資家の皆さまとの対話を一層充実させ、当社グループへの理解と信頼を深めていただけるよう努めていきます。

配当性向/総還元性向
※ 株式併合5:1考慮

持続的な成長に向けて

2021年度、当社グループは本中計の最終年度を迎えます。テーマとして掲げた「変革の加速」の実現に向け、基本方針である「建設生産プロセスの変革」「海外事業の強化」「事業領域の拡大」の取り組みを目に見える形で実践していきます。

また、目指すべき「2030年の将来像」として掲げる『新しい価値で「ひと」と「まち」をささえてつなぐグローバル建設企業』に向け、サステナビリティへの取り組みを推進し、グローバルな観点から社会課題の解決と当社グループの持続的な成長を目指していきます。

当社グループは、引き続き収益力向上と資本効率の向上により、財務体質の健全性維持と株主還元の拡充、そして持続的な成長を実現するための成長投資への適切な資本配分を行い、企業価値の向上に取り組んでいきます。

また、社会課題や環境課題を解決するためESG経営を推進し、経済価値のみではなく非財務の価値にも十分に目を向け、持続可能な社会の実現と当社の持続的な成長の両立を目指していきます。