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人材(=人財)・ダイバーシティ

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若手建設技能労働者の確保・育成【マテリアリティ⑧】

週休二日(4週8閉所)の推進

当社では、働き方改革の一つとして、作業所での休日の確保に取り組んでいます。作業所の自主的な時短への取り組みを促進させるための時短方針書の作成、作業所の業務負担を軽減するためのITツールの導入・活用、書類の削減・Web化および業務分担の見直しなどを実施し、効果的な施策から全店に展開しています。2020年度は、「4週6閉所以上」を推進し、新規着工作業所における目標を100%として、実施率(継続工事を含む)は83.6%となりました。2021年度からは「週休二日(4週8閉所)の推進」を掲げ、新規着工作業所における目標を100%として取り組みを強化していきます。

■新規着工作業所の休日

2020年度の目標 2020年度の実績 2021年度の目標
4週6閉所以上の推進
実施率100%
実施率83.6%
(継続工事を含む)
週休二日(4週8閉所)の推進
実施率100%

協力会社への支援

当社は、建設技能労働者の高齢化や若者の減少による担い手不足に対応するため、当社の協力会社で組織された真栄会と共に若手建設技能労働者の確保・育成に取り組んでいます。

ダイバーシティの推進 【マテリアリティ⑨】

多様な人材が活躍できる企業風土の確立へ

ダイバーシティ体制図

建設業における最大の財産は「人材(=人財)」です。当社グループに関わるすべての人が喜びを感じ、意欲を持って働くことができる環境・風土をつくり出すことが企業価値の向上に繋がります。

当社は経営理念のひとつに「社員活力の尊重」を掲げており、2014年12月、多様な人材が活躍できる企業風土づくりを実現することを目的として「ダイバーシティ推進委員会」を設立しました。本委員会は、経営トップの強いコミットメントの下、女性、外国人、シニア、障がい者等の雇用環境の改善や制度の新設・改定などについて諮問する機関であり、委員長である代表取締役執行役員副社長(管理本部管掌)と各本部の本部長で構成されています。

また、女性の意見を的確に施策に反映させるため、下部組織として女性活躍推進部会を設けました(2015年1月)。人事部長を部会長、メンバーは各本部の管理部長と、作業所勤務や育児経験のある者を含めた女性委員から構成されています。多様な人材の存在が、これまでの建設業にはなかった視点をもたらし、各種改善や新たな技術・事業の創出に貢献してくれるものと考えています。

女性の活躍推進

女性活躍推進は、持続可能性の観点に鑑み企業の成長の原動力であり、その実現は喫緊の経営課題であると認識しています。これまでの建設業界のイメージを払拭し女性が積極的にこの業界へ進出できるよう、作業所のトイレ・更衣室の整備や機械・IT機器を活用した省力化といったハード面と、ワークライフバランスの実現や両立支援制度の整備・使いやすさといったソフト面との双方から取り組んでいます。これにより、女性はもとよりすべての社員が働きやすく能力を発揮できる職場を目指しています。

研修を通じて、女性社員のスキルアップや管理職を中心とした社員の意識改革を促しています。また、エンゲージメントサーベイの結果を参考に女性社員のモチベーション向上につながる施策を展開しており、女性管理職候補を早期に育成し、女性の役職登用を積極的に行っていきます。

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画

計画期間:2019年4月1日~2022年3月31日(3年間)

目標 1

採用者に占める女性総合職比率を20%以上、中途採用で10%以上とする。

⽬標 2

女性管理職比率を2.5%以上とする。

⽬標 3

2021年度の毎月の非管理職総合社員平均の時間外・休日労働時間45時間未満にする。

採用・教育・登用

採用については、多様な人材が活躍できる組織を目指し、性別・国籍を問わず採用を実施しています。2020年は、女性25人、外国人4人を含む計130人の定期採用を行いました。採用者に占める女性比率を全体で20%以上にすることを目標に、職種ごとに目標を掲げ(土木職15%、建築職20%、事務職40%)、女性リクルーターを増員して、法定以上の両立支援制度を整備して長く働ける環境であるなど、当社の魅力を女子学生にアピールしています。

定期採用(女性社員)

女性の活躍を推進するためには、女性社員のみならず、管理職をはじめとする社員の意識改革が必要であり、そうした企業風土を醸成するため、各種研修を行っています。今後も創意工夫をこらし、必要に応じた教育を実施していきます。

  • 管理職のためのダイバーシティ研修(都度テーマを変えて実施しています)
  • 女性部下をもつマネージャーのための研修
  • 女性リーダー候補者のためのキャリア研修
  • 一般職のためのキャリア研修 など

2016~2018年度において、女性管理職は12人から25人へと増員となり、社員区分変更制度により一般職女性社員16人が総合職へ登用されました。2019~2022年度を計画期間とした女性活躍推進法に基づく行動計画においては、女性管理職比率を2.5%以上とすることを目標とし、2019年度の1.96%から2020年度には2.2%となりました。引き続き、一般職から総合職への登用も積極的に行っていきます。また、2021年4月には女性2名が部長職へ初めて登用されました。今後も計画的に経営幹部として女性を登用していきます。

TOPIC 1

女性特有の健康課題に注力

女性のライフステージに合わせた女性特有の健康課題への支援や、社員が自身の健康について考える機会を積極的に提供していくことで、疾病予防につなげています。

  • 「女性の健康相談窓口」の設置
  • レディースドック・レディースがん検診費用補助の実施希望者に対し、女性に多い隠れ貧血検査(フェリチン・TIBC)を会社負担で実施
  • 「女性とホルモン」に関する管理職・女性社員向け教育の実施

ネットワーク

女性活躍推進部会の取り組みの一環として、女性技術者や女性総合社員の意見交換会を開催しました。このような取り組みを横断的、継続的に行うことで、コミュニケーションの促進と女性自身のキャリアを見つめる機会につなげています。

女性活躍推進部会の女性委員と有志の女性社員による「作業着と安全帯を考える会」において、機能的でデザイン性にも優れた作業着について検討を重ね、作業着改定の提案をしました。この提案を踏まえ、2018年から新しい作業着に改定されました。

近年、女性総合社員の採用数が増えていく中で、結婚・出産というライフイベントを控えた女性社員から、今後の働き方について不安の声が聞かれるようになりました。そこで2020年度より、女性社員を対象にしたワークキャリア、ライフキャリアについての相談窓口を設けました。総合職のみならず一般職や契約社員の女性社員からも相談を受け付けております。また、役員が支店・作業所等を訪問した際に女性社員との懇談の場を設け、ライフイベントや将来のキャリア形成に関する要望等を聴くこともあり、 このような機会が女性社員のキャリア形成の一助となっているとともに、ワークライフバランスの実現に向けた職場環境づくりにも寄与しています。

TOPIC 2

けんせつ小町

「けんせつ小町」とは、建設業で活躍する女性の愛称です。
日本建設業連合会(日建連)は建設業における女性の活躍をアピールするため、女性が中心となって活動している「けんせつ小町工事チーム」を、登録・紹介する取り組みを行っています。当社が登録した「けんせつ小町工事チーム」をご紹介します。

日建連では会員企業の取り組みを顕彰することによって、担い手の確保、ダイバーシティの推進、建設業のイメージアップに資することを目的として、「けんせつ小町活躍推進表彰」を行っています。第5回目となる2019年には当社から5件応募し、うち1件が特別賞を受賞しました。(受賞式は2020年11月)

現場環境整備

日建連の「『けんせつ小町』が働きやすい現場環境整備マニュアル」を基本に、「三井住友建設 女性技術者・技能者 配属現場環境整備マニュアル」を制定し、現場環境の整備を進めてきました。2020年度からは、改めて、「女性が快適に利用できるトイレ・更衣室」を確実に設置するよう推進しています。2021年度末に設置率100%を目標にしています。

2020年度、女性技術者活躍推進環境整備に関するアンケートを女性技術者(土木・建築)に実施しました。作業所長と女性技術者の思い、感じ方に一部相違があり、特にトイレ、更衣室(休憩所)の設置などについて、女性目線での多くの意見を参考に、目隠しの設置など検討した内容を各作業所へ展開しました。特に女性用だけではなく、男性用の施設・設備についても改善の意見が出されたことは、これまで吸い上げられていなかった貴重な意見となりました。

コロナ禍で中断していた意見交換会の再開により、女性のためだけではなく作業所全体の環境改善を継続的に実施していくことで、真の環境整備を目指していきます。

目隠しシート〈設置前〉
目隠しシート〈設置前〉
目隠しシート〈設置後〉
目隠しシート〈設置後〉
休憩所
休憩所

多様な人材の雇用促進

定年退職後の社員の再雇用については、再雇用率90%を目標としています。また、モチベーション高く活躍してもらうため、短日・短時間勤務の導入、賃金水準の向上や働き方に見合った賃金体系の再構築等、諸制度を見直すなどして、定年退職後も長きにわたり働き続けられるような仕組みづくりを進めています。

人材の多様化を推し進めるために、新卒採用において計画的に外国人留学生を採用しています。新入社員研修では英語版の社内研修資料を作成し、また、職場環境に馴染みやすいように、海外勤務経験者がいる職場への配置を行うなどの配慮を行っています。

外国籍社員同士の交流と、自国以外で働く悩みの解消を目的に、2017年1月に外国籍社員の意見交換会を実施しました。母国語でない言語であるために生じる業務上の問題などに対し、ベテラン社員が若手社員に対処法を伝授し、あるいは会社側へ対応方法の提案をするなど、よい機会となりました。2018年10月には外国籍社員とその家族のための相談窓口を設置し、不安や悩みなどの相談を受け付けています。また、日本で働く外国籍社員や入社が内定した外国人留学生に対する支援として、ビジネス日本語研修を実施しています。

定期採用 外国人採用人数

(人) 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
男性 4 4 3 4
女性 1 1 1 0
合計 5 5 4 4

TOPIC 3

「どこみなフォン」の開発

異なる言語の参加者がいるグループが多数混在するようなコミュニティ(例えば建設現場の作業所のような環境)において、“どこでもみんなでトーク”が可能になるコミュニケーションツール、一斉同報機能付き音声通話自動翻訳機「どこみなフォン/DokoMinaPhone」を開発しました。急速に進むグローバル化の中で、世界の建設現場において言葉の壁を無くし、多様な国・言語の人材が活躍でき、安心・安全に働くことができるダイバーシティの実現を目指します。今後は建設現場への導入に求められる機能として、言語数の拡充のほか、作業時の安全性に配慮したハンズフリーな操作機能の追加や建設作業特有の専門用語や言い回しへの対応、さらには翻訳音声の特徴により耳で発話者の識別が可能になる機能などの開発に取り組むことにより、世界各地で活躍する建設作業員に欠かせないコミュニケーションツールとなることを目指します。

「どこみなフォン」を使用した会話の様子
「どこみなフォン」を使用した会話の様子
アプリ利用時の画面(イメージ)
アプリ利用時の画面(イメージ)

障がい者の雇用については、法定雇用率達成に向けて、職域の拡大や働きやすい環境整備、雇用率の低い部署を中心に障がい者人材を紹介するなどの働きかけを行い、積極的に採用を行っています。その結果、2021年は法定雇用率2.3%を上回る見込みです。また当社ではノーマライゼーションの観点から、個人のキャリアに基づいて配属し、必要な配慮・支援を行っています。

障がい者雇用率

(%) 2017年 2018年 2019年 2020年
当社 1.96 2.07 2.06 2.06
全国平均 1.97 2.05 2.11 2.15
法定雇用率 2.0 2.2 2.2 2.2

ワークライフバランスの推進 【マテリアリティ⑩】

労働環境や条件の改善のための時短施策や、社員の多様な価値観やライフスタイルを尊重し、風通しの良い職場風土づくりを進めています。

育児休業取得の促進

当社では従来から男性社員の育児休業取得を促進しており、「育児休業期間の10日間を有給にする」「特別な事情がある場合は3歳まで育児休業の延長を可能とする」など、法定を超えた取り扱いを設けていましたが、取得率は10%前後で推移していました。2020年度は、男性社員の上長への働きかけを積極的に行うとともに「いかなる場合でも2回目の取得を可とする」との取り扱いを新設したところ、取得率76.6%と飛躍的に向上しました。

また、所定外労働の免除、子の看護休暇についての対象年齢の拡大を行い、さらに利用しやすい制度としました。所定外労働の免除については、現行対象年齢を、「3歳に達するまで」から「小学校に入学するまで」、子の看護休暇については、「小学校3年生が終了するまで」から「小学校6年生が終了するまで」に拡大するなど、当社独自の育児と仕事との両立支援を図りました。

次世代法に基づく行動計画

男性の育児休業取得100%を目指すことになり、目標を変更するため2021年4月から改訂しました(3月中に出産する子の同月育休取得の困難さに鑑み、行動計画では80%を目標としています)。

次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画

計画期間:2021年4月1日~2023年3月31日(2年間)

目標 1

計画期間内に、育児休業の取得率を次の水準以上にする。男性社員:計画期間中に80%以上取得すること。

⽬標 2

社員(管理監督者除く)の1年間における月平均の時間外・休日労働時間数を60時間未満とする。

⽬標 3

全社員の年次有給休暇の平均取得率を50%以上とする。

主な制度

  • 新・時短プログラム
  • ノー残業デー(水曜日)
  • 工期終了時の作業所異動休暇の付与
  • ライフスタイル、ライフイベントに応じた多様な勤務形態・制度
  • ジョブリターン制度
  • 勤務地変更支援制度
  • 配偶者出産休暇
  • 両立支援ハンドブックの配布
  • サテライトオフィス勤務制度の導入
  • 在宅勤務制度
子育て・介護 両立支援ハンドブック

妊娠中と出産後の柔軟な働き方が、「建設業における母性健康管理ガイドブック」(一般財団法人 女性労働協会) に紹介されました。

仕事と家庭の両立支援策:妊娠・出産・育児に関する諸制度

健康経営の推進

当社では、高年齢者雇用安定法の改正に伴い、近年、定年退職後再雇用される社員が増加しています。一般的に、年齢が上がるにつれ生活習慣病など病気にかかるリスクが高まりますが、一方で、年齢が上がっても、各自が健康づくりに積極的に取り組むことで、健康の保持・増進は可能といわれています。

そのため、当社は、当社の保険者である全国土木建築国民健康保険組合(以下、土健保)が主催するヘルスアップチャレンジに積極的に参加しています。最近発表された土健保の事業所別健康度ランキング(2018年度・大規模法人91社)では、総合ランキングが26位(前年30位)に上昇しました。しかしながら、上記の社員の高年齢化の影響もあり、血圧の有所見率(20.9%→22.3%)や血糖値の有所見率(14.5%→16.2%)が前年から上昇するなど、当社が解決すべき健康課題も明らかになってきています。

このように、当社が「健康経営®」※1を推進する背景・目的は、社員の高年齢化に伴うリスクの低減や、高ストレス社会を反映してメンタル不調を発症するリスクの低減が挙げられます。こうした不調者が増加することは、会社にとって業務効率や生産性の低下につながることから、社員の健康増進は会社の重要な経営課題となっています。

  • ※1「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標

健康経営推進体制

健康経営推進体制
  • ※22019年度より外部コンサルタント会社(SOMPOヘルスサポート)を活用し、当社における健康経営のコンセプトの明確化および全店保健師ネットワーク作りなど、産業保健体制を強化

健康経営の取り組み

当社では、「中期経営計画2019―2021」において、「11. 基盤戦略」のESG経営の取り組みとして「S:快適で働きやすい職場環境の実現(働き方改革、ダイバーシティ推進、健康経営)」を掲げています。最終年度である2021年度には「ホワイト500の取得」を目標に掲げ、以下のとおり「健康経営」の取り組みを強力に推進していきます。

土健保とのコラボヘルスでは、2019年度に健康管理システムを導入し、健康診断結果データの共同利用を開始しました。また、新型コロナウイルス禍、社員の運動不足の解消や社員間のコミュニケーションの活性化をはかるため、土健保の健康増進イベント「みんなで歩活」への積極的な参加を促すとともに当該イベントに合わせて当社独自イベントを開催し、社員の健康増進意識の向上に取り組んでいます(2020秋「みんなで歩活」では、経営トップを始め、経営会議メンバーを含む全役職員の4人に1人が参加しました)。

長時間労働による健康障害の防止とメンタルヘルス対策では、健康リスクが高い社員を見逃さないため、産業医による面接指導や健康相談等の確実な実施に加え、メンタルヘルス不調者への適切な対応ができるよう、2020年11月から本店に精神科産業医を新たに設置し、産業保健体制の強化を行いました。

健康経営課題の評価・改善では、健康診断結果データを活用し、外部コンサルタント会社に社員の健康状態および生活習慣病リスクに関する分析を委託し、社員の健康課題の可視化を行いました。現在、当該結果に基づく、健康診断項目の各改善目標を設定し(例:Ⅲ度高血圧未治療者0人)、社員の健康づくりの施策を実施することで、健康経営に係るPDCAサイクルを強力に推進するべく、取り組みを行っています。

健康経営戦略マップ

健康経営戦略マップ

取り組みの成果例(受動喫煙防止対策)

建設業は、一般に比べて喫煙率が高いといわれており、受動喫煙を防止するためにも、また喫煙者の健康を考えるうえでも、喫煙率を低下させることが重要と考えます。当社では、2018年度に「受動喫煙防止ハンドブック」を作成し、受動喫煙の防止に注力しています。その一環として、受動喫煙を確実に減らすことができる施策として、禁煙外来受診費用補助制度を制定し、喫煙者の禁煙に取り組んでいます。この取り組みの効果もあり、2019年度は、喫煙率が2016年度の31.9%から29.8%に減少しました。