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[ 事業戦略 ]

土木事業部門

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土木事業部門

土木事業部門

事業の特長と強み

土木事業は、まちのくらしに欠かせない橋やトンネル、鉄道、上下水道など社会基盤を支える土木構造物の新設や維持管理に最適な設計・施工技術を提供します。
PC(プレストレストコンクリート)橋分野では業界屈指の設計・施工実績を誇り、新たな構造形式やプレキャスト化による工期短縮・省力化施工などの技術開発を推進し、高品質で耐久性に優れ、維持管理がしやすい橋を提供しています。また、トンネル、ダム、都市土木、河川、土地造成からエネルギー施設に至るまで幅広い分野において、豊富な実績に裏付けられた技術とノウハウで社会基盤の整備に取り組んでいます。さらにはPC床版取替、トンネル補修などといった高速道路の大規模更新事業のシェアも拡大しています。

機会とリスク、対応策としての中期経営計画における基本方針

〈機会〉

  • 新興国におけるインフラ整備市場の拡大
  • 国土強靱化に向けた防災・減災事業の増大
  • 老朽化インフラの増加に伴う維持・更新市場の拡大
  • カーボンニュートラル政策推進に伴う、再生可能エネルギー市場の拡大

〈リスク〉

  • 時間外労働削減への対応
  • 社員中間層の人材不足
  • インフラ新設市場の縮小
  • コロナ禍で変化する新規民間顧客与信
  • コロナ禍による海外工事の停滞

〈対応策としての中期経営計画における基本方針〉

  1. 生産性向上への取り組み強化、働き方改革の実現
  2. 人材の早期育成と海外シフトの加速
  3. 国内シェアの確保と国際競争力の強化
  4. ストック市場での優位性確立
  5. グループ一体となった総合力向上、新規・建設周辺事業への取り組み

事業環境の認識

土木事業に関して、国内建設市場では「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」といった政策効果を背景に、老朽化した高速道路の大規模更新、高速道路の4車線・6車線化、防潮堤・河川堤防等の発注拡大により、公共事業投資はやや上向きに推移することが見込まれます。また、海外ではODAなどの大型土木事業が見込まれており、これまで通り成長市場と捉えています。その反面、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見えない状況であることから、国内民間設備投資を中心に不確定要素があり、状況を見極め対応していく必要があります。また、全世界的に2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速することから、再生可能エネルギー事業の需要拡大が見込まれます。水素やアンモニア貯蔵の技術動向にも注目し、今後の成長が期待できる市場と認識しています。

2020年度の成果と主な取り組み

中期経営計画の2年目となった2020年度は、コロナ禍の影響を鑑み、国内1,000億円、海外200億円の1,200億円という目標を掲げてスタートしました。受注高は、国内1,092億円、海外214億円、合計1,306億円となり、目標の1,200億円を過達することができました。完成工事高も、国内の豊富な手持ち工事が順調に進捗したことで1,100億円の目標に対して1,281億円と大幅に過達となりました。工事利益に関しては、132億円となりました。

国内土木市場では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、一部の案件で発注延期や、入札申請手続き期間の延長等がありましたが、大きな影響はうけず、高速道路各社を中心とした大規模更新プロジェクト、国土交通省発注のトンネル工事、下部工事をはじめ、中央新幹線大型橋梁工事、トンネル覆工補強工事など、幅広く受注できました。また、再生可能エネルギー関連分野(太陽光発電・バイオマス発電)にも、引き続き取り組んでいます。

技術開発

技術開発については、リアルタイム鉄筋出来形自動検測システム「ラクカメラ™」、遠隔検査システム「遠検™」、またトンネル工事におけるSMC-Tunnelingシリーズ「自動 de 覆工」などの開発技術を現場に適用し、省人化や生産性向上に向けた取り組みに注力しました。また、PCa床版架設機の開発などをリリースするなど、大規模更新事業に対する技術開発にも重点的に取り組みました。

技術戦略

2021年度の方針

国内公共事業は例年並みの発注が想定されており、海外においてもODA大型案件が予定されています。一方、民間案件については、新型コロナウイルス感染症の影響により、減少することが見込まれます。このような市場環境の中、コロナ収束まで、当社では社員のみならず、現場で働く協力会社作業員とその家族ならびに関係者の命と暮らしを守ることを最優先し、感染防止対策として厳しいルールを定め、それを全員で守ることにより現場を止めることなく生産活動を継続していきます。2021年度は、未来に向けた「変化への対応」として、以下の2点に重点を置き、取り組んでいきます。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組み

1点目は、「ICT活用の高度化による業務効率化」です。BIM/CIM推進グループを新設し、国土交通省BIM/CIM活用工事への対応強化、3D活用による設計生産性向上を図ります。入札時、技術提案で求められる生産性向上に応えられるさらなる技術の創出および開発に注力し、現場での実装、効果に対する成果にこだわって、競争優位性を強化していきます。具体的には、能登川工場で「ロボタラス」によるPC床版製作や床版の自動設計システム(SMC-Slab)の高度化に取り組んでいきます。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の取り組み

2点目は、「サプライチェーン全体におけるCO2排出量削減施策の実施」です。Scopeを拡大し、CO2排出量の計算早期確立やCO2プライシングによるコスト比較に取り組み、優位な環境配慮技術の早期開発を目指します。さらには、現場でのRE100化を推進し、グリーン電力調達や現場事務所での自家発電設備の導入検討によりCO2排出量の削減を図ります。また、土木事業として、再生可能エネルギー分野(陸上や洋上風力・太陽光・バイオマス・小水力・地熱など)の営業強化と顧客拡大を推進し、SXに貢献します。

競争優位性強化に向けた取り組み

床版取替工事の省力化や安全性向上を実現する機械開発
~床版架設機の開発と将来像~

土木本部機電部 清水さん
土木本部機電部
清水さん

橋梁の床版取替工事において、通常のクレーンによる施工ができない特殊な条件下でも、効率的な施工を可能にする床版架設機械を開発しました。これを東名高速道路(裾野IC~沼津IC間)床版取替工事における、高圧線直下の施工で初めて適用し、以下の効果を得ることができました。

  • 最大機械高さ8mで施工可能。(高圧線離隔までは約12m)
  • 既設床版撤去から新設床版架設までの一連の作業を遠隔で操作でき、安全性が向上。
  • 作業休止時の機械高さを4.5mまで低くすることで、近接する供用線への影響を低減。

今後、特殊条件下にかかわらず、通常のクレーン以上の施工スピードを目指し、床版取替工事のメイン機となるよう改良を進め、将来的には自動化施工を見据えたさらなる生産性向上に向けて、機械開発を継続していきます。

東名高速道路(裾野IC~沼津IC間)床版取替工事
東名高速道路(裾野IC~沼津IC間)
床版取替工事