健康経営の推進について

健康経営のさらに先に向けて ~ ウェルビーイング経営の推進 ~

当社ではこれまで、定年退職後再雇用される社員の増加に伴い、社員の高年齢化による健康リスクの低減を目的とした取り組みや、高ストレス社会を反映したメンタルヘルス対策を進めるなど、社員が健康で長く働ける職場実現に向けて「健康経営®」(※1) を推進してまいりました。

今後は、こうした健康経営の取り組みをさらに強化するとともに、2023年1月にD&Iポリシーを制定し、ダイバーシティ&インクルージョンの実現を通じて、社員の幸福度を高め、会社の成長につなげるべく、ウェルビーイング経営の推進に取り組んでいます。

ウェルビーイング経営では、心身が健康で病気にならないだけではなく、全ての社員が「やりがい」・「働きやすさ」・「成長」を実感できる職場環境を実現し、「多様な価値観とスキルの活用」・「社員パフォーマンスの最大化」により、企業の成長を目指してまいります。

(※1) 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営に関する理念等(抜粋)

経営理念 【社員活力の尊重】

社員の個性と能力が遺憾なく発揮でき、働き甲斐のある、開かれた闊達な会社を創ります。

企業行動憲章 【働き方の改革、職場環境の充実】

従業員等の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現するとともに、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備します。

会社方針 【D&Iポリシー】
【D&Iを実践するための3つの指針】

2. 多様な人材が活躍できる職場づくり
社員一人ひとりのライフステージや価値観などに応じた働き方ができ、社員間に思いやりと信頼感、協力関係が生まれ、心理的安全性の確保された職場づくりに取り組みます。

1. 当社の健康課題

外部コンサルタント会社(※2) に委託して行った2024年度の健康診断結果(2025年7月現在の健康管理システム登録データ)に基づく「健康データ分析レポート」によると、これまでの取り組みの成果により、喫煙、睡眠、活動量など多くの生活習慣の改善が見られた一方で、朝食の欠食や遅い夕食、毎日の飲酒頻度、飲酒量など生活習慣の悪化が見られました。また、生活習慣病リスク保有率については、全般的には良好でしたが、男性では40歳以上の血圧及び血糖の高リスク者が増加していること、社員全体では肥満リスクが高まっていることなど、当社が今後取り組むべき健康課題が明らかになりました。

(※2) 2019年度より外部コンサルタント会社(SOMPOヘルスサポート)を活用し、当社における健康経営の推進施策の分析、および健康経営度のフィードバック分析など、産業保健体制を強化。

2. 健康経営推進体制

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3. 健康経営の取り組み

これまでの生活習慣病やメンタルヘルス不調の予防・改善だけでなく、社員の仕事への働きがいやエンゲージメントの向上により、社員の幸福と会社の成長につなげるべく、ダイバーシティ&インクルージョンの実現のための他の施策と一体的に健康経営の強化を図っています。

また、当社の保険者である全国土木建築国民健康保険組合 (以下、土健保)との連携による「コラボヘルス」を推進しており、2019年度には健康管理システムを導入し、土健保との健康診断結果データの共同利用を行っています。

さらに、土健保の「ヘルスアップチャレンジ」に参加し「健康事業所宣言」を行い、社員が心身ともに元気に働ける事業所を目指し健康づくりに向けた取り組みを実施しています。

[1] コミュニケーションの活性化

社員の運動不足の解消(※3) や社員間のコミュニケーションの活性化を図るため、土健保の健康増進イベント「みんなで歩活」への積極的な参加を促し、社員の健康増進意識の向上に取り組んでいます。今春実施された土健保のウォーキングイベント2025春「みんなで歩活」では、1,103名・161チームが参加し(※4)、土健保参加全263事業所中で参加人数第2位となりました。今秋の「どけぽんウォーク2025秋」(イベント名称変更)では、参加メンバーがより楽しく、コミュニケーションを活性化できるよう多くの参加を呼びかけるなど取り組みを強化してまいります。

[2] メンタルヘルス・労働環境の改善

長時間労働による健康障害の防止対策として、健康管理システムの「長時間労働者の疲労蓄積度チェックリスト」機能を利用し、当該対象者からの確実なチェックリストの回収につなげるとともに、産業医および保健師(以下、産業医等)による面接記録や健康診断結果及び、事後措置の結果並びに後述するストレスチェック等のデータを一元化し、産業医等の面接指導や健康相談等の効率化を図っています。

メンタヘルス対策としては、本社に精神科産業医を設置するとともに、2023年度からはストレスチェック(※5) 及び、労働機能障害評価プログラムWFun(Work Functioning Impairment Scale)(※6) を同時に実施し、その結果について、SOMPOヘルスサポートによる集団分析を行い、本店の各本部及び各支店に対する集団分析結果のフィードバックを行っています。特にストレスチェックの「総合健康リスク」及び「いきいき職場環境総合評価」並びに「ワークエンゲージメント」の値を参考に、健康問題が顕在化又はハラスメントが発生している可能性がある部署については、職場環境の改善につながる施策の実施を要請しています。
また、ストレスチェックによる高ストレス者に対しては、本店保健師による個別フォローを実施し、セルフケアが主体的に行えるよう支援しています。

2024年度に実施したWFunの職場診断結果(10~11月調査)(※6) については、中等度以上の比率は2023年度の19.7%から18.1%に下がり、問題なしの比率は2023年度48.2%から49.8%に上がり、組織の総合判定は「B」で、2023年度と同様でしたが、プレゼンティーイズムの若干の改善が見られました。現在、2025年度に総合判定「A」(中等度以上の比率17%以下(2021年並み)及び問題なしの比率50%以上)を目標に掲げ、2024年度より追加した体調や健康に関する質問項目により、プレゼンティーイズム悪化の原因を探り、WFun高度(重度)の該当者に対しては、本店保健師による個別フォローを実施し、早期改善につながるよう対応を行っています。

[3] 健康課題解決に向けた取り組み

健康診断の数値改善に向けた取り組みでは、2021年度から本支店管理部と連携し、健康診断で要再検査・要精密検査・要治療と判定された社員に対する受診勧奨および治療状況の報告を徹底する取り組みを行っています。2024年度からは、上記対象者のうち健康リスクが特に高い社員を産業医が「要受診管理者」として判定し、その対象者については、受診完了まで保健師がフォローする取り組みを行っています。

また、これらの取り組みの成果を高めるためには、社員の健康リテラシーの向上及びセルフケアが必要不可欠と考えています。社員の健康増進に資する健康リテラシー教育や衛生委員会における産業医・保健師講話に加え、社内SNS等を使って、最新の健康情報を発信するなど社員の健康意識の向上に取り組んでいます。

その他、試験的な取り組みとして、本社オフィスにおいて、内階段への消費カロリー表示するなど、社員自らが健康を意識し行動できる職場環境づくりを進めています。

(※3) 運動習慣の状況(健康データ分析レポートより)

 2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
(1) 運動習慣なし 78.3% 76.9% 74.2% 72.3% 69.6%
(2) 歩行習慣なし 59.2% 57.2% 54.2% 50.2% 44.6%

注:(1) 1回30分以上軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施しているかの質問で「いいえ」と回答した人。

  (2) 日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施しているかの質問で「いいえ」と回答した人。

(※4)ウォーキングイベント「みんなで歩活」参加状況(土健保データより)

 2022秋2023春2023秋2024春2024秋2025春
参加人数 1,695人 1,658人 1,469人 1,385人 1,304人 1,103人
参加率 51.0% 48.9% 42.7% 41.8% 38.7% 33.0%

(※5) ストレスチェック結果(SOMPOヘルスサポート分析データより)

 2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
受検者数 2,964人 3,045人 3,739人 3,914人 3,620人
受検率 93.4% 97.8% 99.6% 99.4% 99.0%
総合健康リスク(全国平均 : 100) 93 91 91 88 87
ワークエンゲージメント(全国平均 : 2.5) 2.7 2.6 2.6 2.6 2.6
職場の一体感(全国平均 : 2.7) 2.8 2.8 2.8 2.8 2.8

注 : ワークエンゲージメント : ワークエンゲージメント2項目(「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」、「自分の仕事に誇りを感じる」)の平均

(※6) WFunによるストレスチェック結果(SOMPOヘルスサポート分析データより)

労働機能評価の分布 総合判定
2023年度
受検者 3,914人
受検率 99.4%
2024年度
受検者 3,620人
受検率 99.0%
A判定:(1)~(3)のすべてを満たす
B判定:(1)~(3)のうち2つを満たす
C判定:(1)~(3)のうち1つを満たす
D判定:(1)~(3)の全てに該当しない
(1) 問題なしの比率が50%以上
48.2%
B
49.8%
B
(2) 中等度以上の比率が20%以下
19.7%

18.1%
(3) 高度の比率が10%以下
4.9%

4.9%

4. 健康経営戦略マップ

健康経営戦略マップ
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5. 取り組みの成果例(特定保健指導)

2024年度より本店保健師による特定保健指導を全国規模で拡大、強化した結果、指導実施数(※7)の増加がみられました。

今後も、生活習慣病の発症を防ぐために、社員一人ひとりが生活習慣を見直し、改善に向けた行動を実践できるよう取り組んでまいります。また、社員が健康に関するセルフケアが主体的に行えるよう更なる強化を進めてまいります。

(※7) 一般健康診断受診率、特定健診受診率、特定保健指導実施率(土健保データより)

2020年度2021年度2022年度2023年度
(1) 一般健康診断受診率 100% 100% 100% 100%
(2) 特定健診受診率 96.5% 98.2% 98.6% 98.7%
(3) 特定保健指導実施率 10.4% 13.9% 26.7% 30.9%
(58人) (68人) (124人) (135人)

(※8) 高血圧・高血糖・肥満等に関する取り組み状況(健康データ分析レポートより)

高リスク保有者2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
血圧[収縮期血圧≧160 or 拡張期血圧≧100] 5.0% 3.7% 3.7% 3.9% 4.3%
血糖[空腹時血糖≧126 or 空腹時血糖なしHbA1c≧6.5] 4.5% 5.8% 5.3% .9% 4.6%
肥満[BMI≧30] 6.1% 6.2% 6.0% 5.9% 6.4%
肝機能[AST≧51 or ALT≧51 or γ-GT≧101] 14.0% 14.2% 12.6% 13.0% 11.9%
脂質[LDLコレステロール≧180 or 中性脂肪≧500] 4.2% 4.7% 3.8% 2.9% 3.3%

(※9) 生活習慣病リスク保有数の割合(健康データ分析レポートより)

 2021年度2022年度2023年度2024年度
0個 20.9% 23.5% 25.5% 23.5%
1個 25.8% 26.6% 26.5% 25.7%
2個 25.1% 24.0% 24.2% 25.5%
3個 20.4% 18.9% 17.0% 17.7%
4個 7.8% 7.0% 6.8% 7.6%