健康経営の推進について

健康経営のさらに先に向けて ~ ウェルビーイング経営の推進 ~

当社ではこれまで、近年の定年退職後再雇用される社員の増加に伴う社員の高年齢化による健康リスクの低減や、高ストレス社会を反映してメンタル不調を発症するリスクを低減し、社員が健康で長く働ける職場実現に向けて「健康経営®」(※1) を推進してまいりました。

昨年度からスタートした「中期経営計画2022-2024」では、これをさらに先に進め、ダイバーシティ&インクルージョンの実現を通じて、社員の幸福度の向上を会社の成長につなげるべく、ウェルビーイング経営の推進(基本方針-3「人材(=人財)基盤の強化」参照)の取り組みを開始しました。

これまでの健康経営の取り組みを強化する一方、ダイバーシティ&インクルージョンの実現のための他の施策と一体的に取り組むことにより、心身が健康で病気にならないだけではなく、全ての社員が「やりがい」・「働きやすさ」・「成長」を実感できる職場を実現し、「多様な価値観とスキルの活用」・「社員パフォーマンスの最大化」により、企業の成長を目指してまいります。

(※1) 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営に関する理念等(抜粋)

経営理念

【社員活力の尊重】

社員の個性と能力が遺憾なく発揮でき、働き甲斐のある、開かれた闊達な会社を創ります。

企業行動憲章 【働き方の改革、職場環境の充実】
社員等の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現するとともに、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備します。
会社方針

サステナビリティ基本方針
2. すべての事業において人権を尊重し、ダイバーシティ&インクルージョンの実現を目指します。

中期経営計画
2022-2024

基本方針-3 人材(=人財)基盤の強化

[1] ダイバーシティ&インクルージョンの実現
 ●働き方の変革
 ●働きがいの向上・ウェルビーイング経営の推進

[2] エンゲージメントの向上
ワークエンゲージメント指標(※) 2024年度目標 4.0以上(5点満点の平均)

※「組織診断サーベイ」におけるワークエンゲージメントに関する指標

1. 当社の健康課題

2023年度に外部コンサルタント会社(※2) に委託して行った2022年度の健康診断結果(2023年7月現在の健康管理システム登録データ)に基づく「健康データ分析レポート」によると、これまでの取り組みの成果により、飲酒、喫煙、活動量、食生活(早食い)など多くの生活習慣の改善が見られた一方で、30歳以下の朝食の欠食や遅い夕食、睡眠などの生活習慣の悪化が見られました。また、生活習慣病リスク保有率については、全般的には良好でしたが、男性では40歳以上の肥満・血圧・血糖リスク、女性では40歳以上の血圧・脂質リスクが高まっているなど、当社が今後取り組むべき健康課題が明らかになりました。

(※2) 2019年度より外部コンサルタント会社(SOMPOヘルスサポート)を活用し、当社における健康経営のコンセプトの明確化、および全店保健師ネットワーク作りなど、産業保健体制を強化。

2. 健康経営推進体制

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3. 健康経営の取り組み

当社では、昨年度からスタートした「中期経営計画2022-2024」において、ダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けて、これまでの健康経営をさらに先に進め、ウェルビーイング経営の推進に取り組んでいます。

これまでの生活習慣病やメンタルヘルス不調の予防・改善だけでなく、社員の仕事への働きがいの向上や社員のエンゲージメントの向上により、社員の幸福と会社の成長につなげるべく、ダイバーシティ&インクルージョンの実現のための他の施策と一体的に健康経営の強化を図ってまいります。

コミュニケーションの活性化

当社の保険者である全国土木建築国民健康保険組合(以下、土健保)とのコラボヘルスでは、2019年度に健康管理システムを導入し、健康診断結果データの共同利用を開始しました。また、社員の運動不足の解消(※3) や社員間のコミュニケーションの活性化をはかるため、土健保の健康増進イベント「みんなで歩活」への積極的な参加を促し、社員の健康増進意識の向上に取り組んでいます。今春実施された土健保のウォーキングイベント2023春「みんなで歩活」では、1,658名・258チームが参加し(※4)、土健保参加全260事業所中参加人数で、第2位となりました。今秋の2023秋「みんなで歩活」では、参加メンバーがより楽しく、コミュニケーションを活性化できるよう取り組みを強化してまいります。

メンタルヘルス・労働環境の改善

長時間労働による健康障害の防止とメンタルヘルス対策では、健康リスクが高い社員を見逃さないための対策の強化に取り組んでいます。

長時間労働による健康障害の防止対策では、2019年度に導入した健康管理システムにより長時間労働チェックリストをシステム化し、当該対象者からの確実なチェックリストの回収につなげるとともに、産業医および保健師(以下、産業医等)面談記録や健康診断結果及び後述するストレスチェック等のデータの一元管理を実現し、産業医等による面接指導や健康相談等の効率化を図りました。

また、メンタヘルス対策では、2015年12月より義務化されたストレスチェックに加え(当社では2013年度から実施、2022年度受検率99.6%・総合健康リスク91[全国平均: 100、目標:90未満])、2020年8月に労働機能障害評価プログラムWFun(Work Functioning Impairment Scale)を導入し、健康診断やストレスチェック等では把握しきれていなかった健康課題を把握するとともに、メンタルヘルス不調者への対応強化として、2020年11月から本社に精神科産業医を新たに設置し、産業保健体制の強化を行いました。

一方で、2022年度に実施した WFunの結果(8~9月調査)では、職場診断結果は良好(※5)でしたが、中等度以上の比率が2021年度の17.4%から2022年度は19.7%に上昇し、新型コロナウイルス禍の長期化の影響と見られるプレゼンティーイズムの悪化が見られました。現在、2023年度に中等度以上の比率17%以下(2021年並み)の達成を目標に掲げ、この新しい環境下での悪化の原因を探り、心と身体の健康を守るための取り組み強化を進めており、2022年9月から本社に保健師を1名増員し、産業保健スタッフの更なる充実を図りました。

健康課題解決に向けた取り組み

健康診断の数値改善に向けた取り組みでは、2021年度から本支店管理部と連携し、職制による健康診断の事後措置における再検査・精密検査・治療等の受診勧奨および治療状況の報告を徹底する取り組みを開始するとともに、前述の「健康データ分析レポート」に基づき、生活習慣病の高リスク保有者(※6)に対し、産業保健スタッフによる健康指導を強化するなど、社員が健康で安心・安全に長く働ける職場環境づくりにより一層力をいれて取り組んでいます。

また、これらの取り組みの成果を高めるためには、社員の健康リテラシーの向上が不可欠と考えています。2022年度においては、従前より実施している社員の健康増進に資する健康リテラシー教育や衛生委員会における産業医・保健師講話に加え、2022年10月から、住友グルーブの住友病院にご協力いただき、社内のイントラネット上に動画による健康講話(初回は「ガン予防」)の配信を開始しました。

その他、試験的な取り組みとして、本社オフィスにおいて、内階段への消費カロリー表示や事務センターの執務室内にぶら下がり健康器を設置するなど、社員自らが健康を意識し行動できる職場環境づくりを進めており、今後、利用者の反応を確認しながら、全店展開を検討していきたいと考えています。

(※3) 運動習慣の状況

 2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
(1) 運動習慣なし 79.8% 79.3% 78.3% 76.9% 74.2%
(2) 歩行習慣なし 56.5% 55.7% 59.2% 57.2% 54.2%

注:(1) 1回30分以上軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施しているかの質問で「いいえ」と回答した人。

  (2) 日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施しているかの質問で「いいえ」と回答した人。

(※4)「みんなで歩活」参加状況

 2021秋2022春2022秋2023春
参加人数 1,325人 1,407人 1,695人 1,658人
参加率 40.0% 41.6% 51.0% 48.9%

(※5) WFunによる職場診断結果(2022年8月~9月、回答率 99.2%)

 2022年度 A判定:(1)~(3)のすべてを満たす
B判定:(1)~(3)のうち2つを満たす
C判定:(1)~(3)のうち1つを満たす
D判定:(1)~(3)の全てに該当しない
(1) 問題なしの比率が50%以上 A
(2) 中等度以上の比率が20%以下
(3) 高度の比率が10%以下

(※6) 高血圧・高血糖・BMIに関する取り組み状況(健康データ分析レポートより)

高リスク保有者2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
血圧[収縮期血圧≧160 or 拡張期血圧≧100] 3.1% 4.0% 5.0% 3.7% 3.7%
血糖[空腹時血糖≧126 or 空腹時血糖なしHbA1c≧6.5] 5.4% 5.2% 4.5% 5.8% 5.3%
BMI[BMI≧30] 5.6% 5.5% 6.1% 6.2% 6.0%

4. 健康経営戦略マップ

健康経営戦略マップ
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5. 取り組みの成果例 (受動喫煙防止対策)

建設業は、一般に比べて喫煙率が高いと言われており、受動喫煙を防止するためにも、また喫煙者の健康を考えるうえでも、喫煙率を低下させることが重要と考えています。

当社では、2018年度に「受動喫煙防止ハンドブック」を作成し、受動喫煙の防止に注力しており、その一環として、受動喫煙を確実に減らすことができる施策として、禁煙外来受診費用補助制度を制定し、喫煙者の禁煙に取り組んでいます。

また、本社オフィスにおいて、2020年4月1日より健康増進法における受動喫煙防止対策の全面施行に併せて2階から6階に設置されている喫煙室のうち、5階の喫煙室を閉鎖。また、2021年10月から毎月2回禁煙推進デー(11日と22日)を設定するとともに、2021年11月17日から2階喫煙室を閉鎖するなど、対策を強化しました。

この取り組みの効果もあり、2022年度は、喫煙率が2021年度の26.6%から25.9%(前年度比△0.7%)に減少しました(2024年度目標:25%未満)。