#43 嵐山橋
― オフィスにて ―
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- 「お疲れ様です!いまスーパーの前を通ったら焼き芋のいい匂いがしました~!」
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- 「わ~すっかり秋ですね~!!紅葉シーズンがいよいよ来ますね!」
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- 「あれ、なゆさん、何を見てるんですか?」
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- 「嵐山橋(あらしやまばし)が土木遺産に認定されたというニュースです!いま、採用活動で、「PC(プレストレスト・コンクリート)の原点と言えば嵐山橋!」ってよく学生に伝えてるんですよね。でも現地に行ったことがないので、ずっと見てみたいな~と思っていて...」
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- 「お!嵐山橋と言えば相模湖ですよ!急に寒くなったから紅葉も綺麗かもしれないですね!ハカセ誘って一緒に行ってみましょうよ!」
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- 「紅葉シーズンのお橋見、最高ですね!レッツゴー!」
~ 今回の橋ガールは ~
― お橋見当日 神奈川県・相模湖駅にて ―
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- 「お待たせしました~!」
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- 「天気も良くて紅葉狩り日和ですね!」
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- 「本当に晴れてよかったです~!あっハカセ!」

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- 「おはようございます。わっ、日差しがまぶしいですね!迷わず来れましたか?」
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- 「はい!紅葉シーズンの休日とあって、電車内は登山客がいっぱいで混んでました!なんだかこれから登山の気分です!(笑)」
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- 「ぜひそうしたいところですが、私たちはバスでお橋見です!さあ、行ってみましょう」
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- 「あ、ちょうどバスが来てますよ!乗りましょう!」


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- 「あっという間につきましたね。橋の名前の"あらしやまばし"がそのままバス停名になっていますね」
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- 「本当だ!噂の嵐山橋、どんな橋なんだろう~ワクワク!」
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- 「そろそろ約束の時間だ。あっ、いましたね」
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- 「???」
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- 「おーい、こみやさーん!」

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- 「こんにちは、ハカセ。今日は遠くまでありがとうございます。お待ちしていましたよ」
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- 「ハカセ、こちらの方は?」
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- 「今日のお橋見のために来ていただいたスペシャルゲスト!ここ、相模原市の市役所にお勤めのこみやさんです。今日は、地元ならではの視点で、嵐山橋の見どころを案内していただきます!」
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- 「それは嬉しいです。はじめまして!今日はよろしくお願いします」

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- 「ようこそ嵐山橋へ!」
橋の概要
- 名称
- 嵐山橋
- 位置
- 神奈川県相模原市緑区若柳
- 構造形式
- PC3径間連続有ヒンジラーメン橋
- 橋長
- 75.0m
- 架設工法
- 張出し架設(ディビダーク)工法
- 竣工年
- 1959年

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- 「この嵐山橋は、2025年9月に公益社団法人土木学会が選奨する「土木遺産」に認定されたんです!」
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- 「はい、そのニュースを見て実際に橋を見にきちゃいました!でも一見、普通の橋ですが...どこがスゴイのでしょう?」

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- 「実はこの橋、1959年に完成した国内で初めて張出し架設(ディビダーク)工法で建設されたPC(プレストレスト・コンクリート)橋で、その後のPC長大橋の礎となった歴史的な橋なんですよ。ね、ハカセ!」
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- 「はい!当時、日本が本格的な戦後復興に歩みだす中、別子建設(現:三井住友建設)の社長であった齋藤 武幸さんが、本工法の特許を有するディビダーク社(所在:ドイツ)に熱烈な想いをぶつけて日本に輸入したといった経緯があります。嵐山橋へ張出し架設工法を適用したことが日本の高度経済成長を支えたと言っても過言ではなく、わが国の土木技術史における記念すべき第一歩となる橋梁です」
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- 「そんなスゴイ橋だったなんて知りませんでした!でも、なんでわざわざドイツから?」
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- 「1952年、齋藤社長は日本と同じ敗戦国であるにも関わらず飛躍的な復興を果たしていたドイツを視察し、ライン川でコンクリート橋の架設現場に偶然遭遇したのがきっかけでした。当時「ヴォルム橋」と呼ばれていたその橋は、コンクリート橋として世界最長規模を誇り、建設中の橋を地面から支える仮設部材なしに施工していた様子をみた齋藤社長は驚愕したそうです」

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- 「本当に偶然の出会いだったんですね!」
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- 「そうなんです。齋藤社長はすぐにミュンヘンのディビダーク社に飛び込んで技術導入をお願いしたんですが、最初は難色を示されました。でも齋藤社長は諦めず、何度も何度もドイツに通ったんです」
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- 「すごい執念ですね」
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- 「そして1958年、張出し架設工法には欠かせないPC鋼棒(高張力鋼)の製造に住友電気工業が成功したことを契機に、ディビダーク工法の技術移転が認められ、嵐山橋が着工。ドイツからは技術者と職長が来日し、現場近くのホテルに泊まり込み、3か月にわたって熱心な技術指導を行ったそうです」


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- 「まさに国際プロジェクトだったんですね。日本初の"張出し架設工法"がここから始まったって、胸が熱くなる...!」
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- 「"かながわの橋100選"にも選ばれていて、地域で親しまれ、神奈川県の誇る橋梁の一つとなんですよ」
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- 「地元から愛されているなんてすごく嬉しいですね。ところで、橋の上からの景色も素敵ですね。湖の上にはスワンボートもありますね」
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- 「そうなんです!相模湖と言えばスワンボートも名物の一つで、湖上から嵐山橋を眺めるのもまた格別なんですよ」
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- 「わあ、湖から橋を見上げるなんて、橋ガール的にはたまらないシチュエーションですね!」


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- 「相模湖公園に到着しました!ここから見る嵐山橋も絶景ですよ」
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- 「本当ですね!紅葉と映えてステキ!ベストシーズンですね」
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- 「この公園に、嵐山橋の記念碑が建つんですよね!」
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- 「はい、そうなんです。相模湖と嵐山橋がよく見渡せるこの場所に、記念碑が建てられます。相模原市長も出席する記念式典が2026年2月1日に行われるんですよ」
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- 「わあ、それは素晴らしいですね!土木遺産認定を記念してですか?」
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- 「そうです。地域の宝として、これからも多くの方に嵐山橋の価値を知ってもらいたいという想いが込められています」
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- 「記念式典の際には、私もまた見に来させていただきますよ」
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- 「せっかくですから、ここで恒例の橋ガールポーズやりましょう」
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- 「いいですね、さあ並んで!はい、ポーズ」

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- 「ありがとうございます!嵐山橋と紅葉をバックに、素敵な写真が撮れました!」
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- 「では、スワンボートからも橋を眺めてみましょう!受付はあちらです」


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- 「レトロで可愛らしいですね。足漕ぎボートなんて久しぶりです。4人で漕げるんですね!」
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- 「みんなで頑張って漕ぎましょう!いち、に!いち、に!」
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- 「お!意外と早いですよ!5分で着いちゃいました(笑)」
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- 「でも足はパンパンですね(笑)」

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- 「湖からお橋見ができるなんてすごいですね。この角度から見ると、張出し架設の構造がよく分かります!」
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- 「湖面に映る嵐山橋...まさに技術と美の融合ですね。1959年の技術者たちの挑戦が、こんなに美しい橋を生み出したのですね」
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- 「近くに来れたからいい写真いっぱい撮れましたね!こんなにいいお橋見スポットがあったなんて!」
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- 「では、また、乗り場まで頑張って漕いで帰りますか~!」
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- 「もうふらふらです~。でも、最高のお橋見体験でした!」
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- 「そうそう、相模湖では「足こぎスワン世界大会 IN SAGAMIKO」も開催してるんですよ~皆さん、ぜひ参加してみてはどうですか?!」
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- 「・・・検討します(笑)」

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- 「こみやさん、今日はありがとうございました!また記念式典でお会いしましょう」
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- 「はい!わたしも皆さんと一緒に相模湖を満喫できた1日でした。嵐山橋の魅力を伝えられて嬉しかったです」
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- 「嵐山橋も相模湖の魅力もどっちも堪能できました!こみやさん、ありがとうございました!」
― 後日、再び相模湖を訪れるハカセ ー

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- 「こみやさん、お久しぶりです」
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- 「お待たせしました。いよいよ嵐山橋の記念碑のお披露目の日ですね」
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- 「おお、たくさんの方が集まっていますね」
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- 「はい、相模原市長をはじめ、地域の皆さんにお集まりいただきました」
― 除幕の瞬間 ―
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- 「それでは、土木遺産認定を記念して...」
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- 「おおー!」

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- 「素晴らしい記念碑ですね。嵐山橋の歴史と技術的価値がしっかりと刻まれています」
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- 「これで多くの方に、嵐山橋の価値を知っていただけると思います」
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- 「ふあさんとなゆさんにも見せてあげたいですね。きっと喜ぶと思います」
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- 「ぜひまた皆さんでいらしてください。スワンボート世界大会の時期に!(笑)」
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- 「それは...(笑)」
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- 「冗談はさておき、こうして橋の価値を伝え続けていくことが大切ですからね。今回の土木遺産認定をきっかけに、嵐山橋をもっと多くの方に知ってもらえるよう頑張りたいと思います。ぜひまた会いましょう!」
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- 「こちらこそ、よろしくお願いします。日本初のディビダーク工法から始まった技術革新が、こうして後世に伝えられていく。とても感慨深いものがありますね」

2025年11月24日
行った場所:嵐山橋
4人で漕いだスワンボートは
最高の思い出!
(あれっ、ハカセってウサギ?)
―つづく
