マテリアリティ

「2030年の将来像」と重要課題(マテリアリティ)

少子高齢化による国内建設需要の縮小や、建設技能労働者不足の深刻化、デジタル化の急速な進展、気候変動の進行による自然災害の増加に加え、新型コロナウイルスの感染拡大など、社会課題が深刻化し、社会は急速に変化しています。

こうした事業環境の変化に対し、当社グループの強みを活かして、社員一人ひとりが未来志向を持って行動し、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を遂げるため、目指す「2030年の将来像」を、『新しい価値で「ひと」と「まち」をささえてつなぐグローバル建設企業』として、2018年度に設定しました。

「2030年の将来像」についてはこちら

そのうえで、当社グループが目指す「2030年の将来像」の実現に向け、社会課題やステークホルダーからの要請などを踏まえ、将来像からのバックキャスティング(振り返り)を通じて、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を2020年度に特定しました。 
今後は、マテリアリティに基づき、「2030年の将来像」の実現に向け、取り組みを進めていきます。なお、マテリアリティについては、社会や事業環境の変化などを踏まえ、必要に応じて見直しを行っていきます。

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マテリアリティ特定のプロセス

STEP1. 課題の整理

持続可能な開発目標(SDGs)、社会的責任に関するガイドライン(ISO26000)、SASBスタンダードといった国際的な行動規範や枠組、ガイドライン、サステナビリティ評価機関の評価項目、建設業界が抱える課題、リスク・機会の認識等を踏まえ、2030年までに予想される社会課題や社会変化に関するキーワードを洗い出しました。

そのうえで、当社の経営理念や「2030年の将来像」等を踏まえ、マテリアリティの候補を選定しました。

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STEP2. 重要度の評価

選定したマテリアリティ候補は、「自社における重要度」、「ステークホルダーにおける重要度」の2軸で評価しました。「自社における重要度」については、部門長等を対象にしたアンケート調査を行って評価し、「ステークホルダーにおける重要度」については、ESGに関する外部有識者からのご意見を踏まえ、評価しました。

有識者からの主なコメント

明治大学

経営学部 特任教授

関 正雄 様
  • 2030年に達成したいビジョン『新しい価値で「ひと」と「まち」をささえてつなぐグローバル建設企業』の実現に向けて、現在のみならず、将来的に重要性が更に増していく事柄や、グローバルな内容にも取り組んでいくことが期待される。
  • 脱炭素は特に重要な課題である。脱炭素社会への移行によるさまざまな社会的影響も考慮して、取り組みを進めることが期待される。
  • 人権について、企業の責任が強く問われる時代となっている。人権リスクを、PDCAサイクルを通じてどのようにミニマイズしていくかがポイントであり、安易な形づくりに終わらせずに実効的な取り組みとなるよう、じっくりと進めていくことが期待される。

法政大学

キャリアデザイン学部 教授
坂爪 洋美 様

  • 建設業のみならず、さまざまな業種において、若手の人材育成、早期離職が問題となっている。最近の若手は、自分の成長が見たい、成長段階のどこにあるのかが見たいという欲求がある。キャリア形成を含めた若手人材の育成や、ダイバーシティ、ワークライフバランス等に取り組んでいくことが期待される。
  • マテリアリティについて、KPIを定めて取り組みを進めていくことが望ましい。有給取得率や時間外残業時間比率、育児休業取得率等がKPIとして一般的であるが、KPIの設定を通じて、ダイバーシティやワークライフバランス等の取り組みについて、総合的に評価できるようにしていくことが望ましい。

CDPジャパン

シニアマネージャー
榎堀 都 様

シニアマネージャー
成田 恭子 様

  • 脱炭素については、これから5年、10年が重要と言われている。脱炭素への貢献に向けて、自社やバリューチェーン全体の排出量を的確に把握するのが第一歩となる。そのうえで、SBT(Science Based Targets、科学と整合した目標設定)を踏まえた目標設定が期待される。
  • サプライチェーン管理においては、スコープ3排出量の把握や、水に関しては使用だけではなく排水・汚染も含めた流域や水源への影響の把握、サステナブルな建築(サステナブルな資材調達=上流や、省エネ建築の提供=下流)といった観点が重要である。全てを一度にカバーするのは難しいが、徐々に理解を深めて対応を検討いただくことが望まれる。
  • 三井住友建設では海外事業の強化を挙げている。海外事業というと、従来は地政学的リスクやソブリンリスクが重視されていたが、最近は現地での人権問題や現地社会への働きかけが、サステナビリティの観点から非常に重要と考えられている。そのため、そうした観点を意識していくことが望まれる。
*順不同、有識者の所属・役職などは、意見交換当時のもの

STEP3. マテリアリティの特定

重要度を評価しまとめたマテリアリティについては、取締役会での決議を経て、当社のマテリアリティとして特定しました。一方、「企業経営の基盤」に関する項目や「建設事業者としての使命」に関する項目は、当社の「事業活動の前提となる重要課題」として別途位置付けました。2022年には「中期経営計画2022-2024」の策定に伴い、一部を見直しました。

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STEP4. KPIの設定

特定したマテリアリティについてKPIを設定し、具体的な目標値および目標年度を設定しました。今後は、KPIをPDCAサイクルにのせ、課題解決に向けた活動に取り組んでいきます。2022年には「中期経営計画2022-2024」の策定に伴い、一部を見直しました。

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2021年度に設定したマテリアリティに対する実績は以下の通りです。

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