『ソイルレイヤー工法』の新しい品質保証システムを開発

―最終処分場遮水層の品質を原位置にて迅速に測定可能―

三井住友建設株式会社(本社:東京都新宿区 社長:宮田 博之)は、現地発生土を用いて処分場の遮水層を構築するソイルレイヤー工法の新しい品質保証システムを開発しました。管理型最終処分場工事での実証試験によってシステムの実用性と信頼性を確認し、この成果を先の第6回環境地盤工学シンポジウムにおいて発表しました。

【背 景】

近年、全国的に最終処分場の残余量が逼迫し、処分場の確保が急務となっています。新たな処分場の建設にあたっては、計画段階から周辺住民に対して十分な説明を行い、合意を形成しながら設計を行っていくことが非常に重要となっています。
最終処分場の安全性に関して最も重要なことは廃棄物を通過した雨水(浸出水)が遮水シートの破損などによって地下に浸透することを防ぐことです。 ソイルレイヤー工法* は、遮水シートの下に、現地発生土を利用して製造した土質遮水層(ベントナイト混合土)を施工して複合構造を構築する工法です。本構造は、シートと土質遮水層という異種材料が組み合わされていることから安全性の高い構造として注目されています。ベントナイト混合土の施工では、原位置における難透水性とその均一性の確保が重要であり、そのため、施工時の品質管理を如何に信頼性の高いものにするかが技術上の大きな課題となっていました。
三井住友建設では、施工後のベントナイト混合土の均一性を面的に評価し、更に混合土の遮水性能を現地にて測定するシステムを開発、このたび九州地方の管理型最終処分場にて実証試験を行い、システムの実用性と信頼性を確認しました。

【ソイルレイヤー工法における品質保証システムの概要】

『ソイルレイヤー工法』は、最終処分場の遮水シートの下に、現地発生土とベントナイトを混合して製造した難透水性の遮水材料を施工する工法です。異種材料が組み合わされていることから安全性が高く、また、万一シートが破損した場合でも浸出液の場外への浸透を抑制して、その間にシート破損箇所の修復を行える機能を保持していますが、土質遮水層(ベントナイト混合土)の品質管理に関して、以下のような技術上の課題がありました。

  • 所定の透水係数を得るためには、施工後に混合土中のベントナイトの均一性が確保されている必要がありますが、原位置に適用できる簡便な測定法がありませんでした。
  • 遮水性の評価に関しては、施工後にブロックサンプリングを行って室内透水試験を実施するため、結果が得られるまでに長時間を要し(1週間以上)、試験数量も限られるため、施工管理への迅速なフィードバックならびに面的な管理が困難となっていました。

以上の2つの技術課題である、迅速な均一性と遮水性の確認に対して、今回、ベントナイトの電気的な性質の一つである誘電率を代用特性として測定し、評価する手法を開発するとともに(特許出願中)、短時間(数時間)で測定可能な簡易型の現場透水試験を開発しました。これによりきめ細かな品質管理を行い、品質にバラツキのある現地発生土を利用した工事においても信頼性の高い遮水層を構築するシステムが可能となりました。
この結果は先に札幌市で開催された、第6回環境地盤工学シンポジウム((社)地盤工学会主催、5月19日、20日)において発表を行いました。

【特 長】

この品質保証システムに関して、九州地方の管理型最終処分場工事で実証試験を行い、実工事における実用性と信頼性を確認しました。本システムの特長として以下が挙げられます。

★誘電率によるベントナイト量の測定は簡便で短時間(1点に対して数秒)で多くの測定ができるため、施工箇所の均一性を面的に管理することが可能。

★簡易型の現場透水試験は数時間で結果が得られるため、試験結果を日々の施工にフィードバックすることが可能。

*ソイルレイヤー工法:上記の複合構造に対する当社の命名

【今後の展開】

今後は、ソイルレイヤー工法を採用した最終処分場への本技術の適用実績を積み重ね、いっそうの信頼性向上に努める他、最終処分場以外の環境分野への適用も図りたいと考えています

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。


実証試験の状況

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