強風時の扉の開けにくさを緩和する玄関扉

― 「差圧解消ドア」を開発 ―

三井住友建設株式会社(新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐久也)と日本フネン株式会社(徳島県吉野川市川島町三ツ島新田179-1 社長 久米徳男)は、高層マンションなどで風が強い日にみられる、扉が重く開けにくい現象を緩和するマンション用玄関扉ユニット「差圧解消ドア」を共同で開発しました。

■背 景

風が強い日には住戸内外の圧力差が大きくなり、玄関扉に強い力が加わります。このとき、玄関扉を開ける際に「扉が重くて開けにくい」という現象が生じる場合があります。このような現象は高層マンションなどの風の影響を強く受ける建物で顕著ですが、風が非常に強いときには一般の中低層マンションでも起きる現象です。このような現象を緩和させ、より快適な居住空間を提供することを目的として「差圧解消ドア」を開発しました。

■「差圧解消ドア」の仕組み

玄関扉の圧力差を緩和するためには、玄関扉付近にパスダクトを設置する方法がありますが、設備上の制約や意匠上の配慮から設置が困難な場合がありました。

今回開発した「差圧解消ドア」は、袖パネルに住戸内外の圧力差を緩和させる機構が組み込まれています。強風時に袖パネルに設けた開閉プレートを開くと、袖パネル内部を空気が通り抜け住戸内外の圧力差が緩和される仕組みです。開閉プレートは室外からでも室内からでも簡単に操作できます。

■「差圧解消ドア」の特徴

(1)圧力差の低減

差圧緩和の効果は住戸位置や住戸の気密性によって異なりますが、今回の開発により圧力差を最大で1/2まで低減することができるようになりました。

(2)高い扉性能

玄関扉には一定の防火性能が要求されますが、差圧緩和の通気部にも同様の性能が求められ、防火性能の確保が課題となります。「差圧解消ドア」は玄関扉と差圧緩和装置を一体化した玄関扉ユニットとして、特定防火設備としての性能を確保しています。同時に、気密性能はA-2、遮音性能はT-2、断熱性能はH-3、と従来から求められる玄関扉の各種性能を高いグレードで保持しています。
(各種性能については、末尾記載の備考を参照してください。)

(3)意匠性

差圧緩和機構は袖パネルに組み込んでいるため、玄関扉のデザインには全く影響しません。扉デザインの選択は従来と同様の自由度を確保しました。また、開閉プレートは表札台と一体化することで、目立たなくすることも可能です。このような配慮によって住戸の「顔」ともいえる玄関扉周りの意匠性を確保しています。

(4)冷暖房負荷への配慮

差圧緩和のために常に玄関扉付近で空気の通り抜けをさせると冷暖房負荷を増加させます。開発した「差圧解消ドア」は、玄関扉を開閉させるときだけ圧力差を緩和させ、それ以外は開閉プレートを閉めて空気の通り抜けをさせません。そのため、冷暖房負荷への影響はほとんどありません。

(5)施工性

新開発の玄関扉は圧力差を緩和する機能を扉ユニットと一体化させているため、玄関扉に加わる圧力差を緩和させるための対策工事は別途必要としません。

■今後の展開

「差圧解消ドア」は、今後三井住友建設の得意分野である超高層マンションをはじめとする集合住宅の設計施工物件に積極的に提案してまいります。

三井住友建設では「三井住友建設ブランド」の確立を目指し、「住宅高品質・高機能化委員会」を設立し様々な活動を推進しています。このたび開発した玄関扉もその活動成果の一つです。今後も新しい社会ニーズに応える様々な開発を進めていく方針です。

※「差圧解消ドア」は三井住友建設株式会社と日本フネン株式会社が共同で特許を出願中です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

写真-2 モールボルティング工法で補修された坑内
図-1 差圧解消ドア姿図
写真-2 モールボルティング工法で補修された坑内
図-2 差圧緩和の概要図
写真-3 モールグラウト工法施工状況
写真-1 差圧解消ドア
写真-4 モールアラミドシート修復工法施工状況
写真-2 開閉プレート(外側)

【備考:玄関扉の各種性能】

■防火性

防火性は建築物の火災に対する安全性を示す性能であり、防火設備、特定防火設備の2種類あります。特定防火設備のほうが防火性能は高く、遮炎時間は防火設備で20分、特定防火設備で60分です。

■断熱性

断熱性は熱が伝わるのを抑える性能です。熱貫流抵抗(R値)を基準とした等級です。H-1、H-2、H-3、H-4、H-5の5等級あり、H-5が最も断熱性が高くなります。

■気密性

気密性は空気の漏れにくさを表す性能です。面積1m2、1時間でどの程度の空気が隙間からもれるかを基準とした等級です。A-1、A-2、A-3、A-4の4等級あり、A-4が最も気密性が高くなります。

■遮音性

遮音性は室外から室内へ侵入する音、室内から室外へ漏れる音を遮る性能を示す性能です。T-1、T-2、T-3、T-4の4等級ありT-4が最も遮音性能が高くなります。

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