集合住宅の高品質化による三井住友建設ブランド確立への取り組み

― 「住宅高品質・高機能化委員会」の成果と今後の展開 ―

■概 要

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、集合住宅分野における「三井住友建設ブランド」の確立を目指して、昨年より「住宅高品質・高機能化委員会」を設置し、集合住宅の設計・施工プロセス全般にわたる取組みを展開してまいりました。
このうち高機能化については、先進的な5つの次世代住宅コンセプトモデルを開発し、順次提案を開始しています。(2009年8月31日 NEWS RELEASE参照)

一方、高品質化に向けての活動では、数多くの集合住宅の設計・施工実績をもとに、施工プロセスにおける支援技術、ツールおよび体制を整備・充実させることによって、さらなる高品質の確保に取り組んでいます。

■高品質化の取り組み

高品質の住宅提供を目的として、委員会の下に「高品質化ワーキング」を設け、設計・施工・アフターサービスの3つの段階に対して高品質化を確保するため、具体的な活動を行う3つのワーキング(以下、WG)を組織(施工品質向上WG、性能品質向上WG、サービス品質向上WG)し成果をあげています。

1.施工品質向上WG

本店及び首都圏現業支店のメンバーにより構成された施工品質向上WGでは、基本に立ち返り、"現場に役立つツールと体制"を基本コンセプトに、以下の具体策を策定・展開し、着実に成果が現れています。

[1] 施工品質リスク予防型管理表

施工品質リスク予防型管理表は、施工品質に関わる不具合について、発生頻度と影響度から8工種17項目の施工品質リスクを特定したもので、工種ごとの施工計画を立てる前にどのようなリスクがあるのかを認識するためのツールとして作成、展開しています。

[2] 不具合予防事例シート

施工中の品質不具合について、工種ごとに分類整理し、全支店どこからでも"見える化"システムを構築しました。

施工計画段階での活用により問題点を認識し、計画に対策を盛り込むことによって施工品質の向上を図ることを目的としています。新たに開発した検索システムでは、162のシートを瞬時にかつ容易に検索可能となっています。

基準階平面図の例
不具合予防事例シート

[3] 施工管理計画書

主要8工種を含む19工種について、工事着手前に発注者および設計上の品質要求事項を明確に記載した施工管理計画書を作成し、それに基づいた施工要領書の作成を専門工事業者へ指示することにより、要求品質の確保を図っています。さらに、施工時にはこの施工管理計画書と連動する「作業所検査チェックシート」を全社で展開しています。

[4] 特定管理工種と第三者検査機関

当社の施工品質の管理における大きな特色として、特定管理工種と第三者検査機関の導入があげられます。重大な品質トラブルにつながる可能性がある杭工事、鉄筋工事、鉄筋機械式継手工事、およびタイル工事の4工種を「特定管理工種」に指定し、QSI(Quality Safety Inspector :当社の品質安全検査員)による検査を行い、品質管理を強化しています。

またその中で、外壁タイル工事、鉄筋機械式継ぎ手工事については、第三者検査機関の検査を導入し、施工初期段階で所定の施工要領、施工品質が確保されているかを確認しています。検査実施により、専門工事業者ならびに社員の品質確保に対する認識を高める等の有効性が確認されており、全社での導入を強力に推進しています。

基準階平面図の例
QSI (Quality Safety Inspector :当社の品質安全検査員)による検査

[5] 配筋ミエルシート(鉄筋工事)

鉄筋工事の配筋間違いを防ぐには、専門工事業者の自主全数検査と当社の工程内検査が確実に実施されることにより、指摘された事項が是正され、その結果が記録として残されていることを基本としています。これを確実に実施するため、従来使われていた表の空欄にレ点を付けていく方式の配筋チェックシートの見直しを行い、パソコン上で構造図から直接切り出した部材リストとチェック項目一覧を組み合わせたチェックシートを作成するシステムを新たに開発しました。このシステムで作成したチェックシート(「配筋ミエルシート」と命名)を使用して配筋検査を行うことで確実な検査と充実した記録を、従来より効率的に実現することを目的としています。現在、複数現場で試行し、問題点を改善し、全社への展開を目指しています。

基準階平面図の例
配筋ミエルシート

2.性能品質向上WG

当社品質に対する信頼性を高めるため、当社の豊富な集合住宅の実績に基づくノウハウの蓄積を、「知識の見える化」というコンセプトでマニュアルや標準などにまとめ、計画性能の高度化、標準化を図っています。「三井住友建設 集合住宅設計標準」、「New SMDM(集合住宅)」、「建築技術マニュアル(集合住宅編)」等の策定を完了し、設計施工物件への適用を開始しています。

※ SMDM : Sumitomo Mitsui Detail Manual

3.サービス品質向上WG

エンドユーザーニーズを的確に把握し、業務プロセスに反映することが不可欠というコンセプトで、CS(顧客満足)機能の強化に取り組んでいます。マニュアル整備、教育の拡充、アフターサービスレベルの標準化を図り、CS体制を再構築しました。
また、「品質整備手帳」を整備しエンドユーザーへ配付することにより、品質保持体制が双方向になり、CS機能強化の一端として成果をあげています。

インテリアイメージ
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■今後の展開

当社は、1年間の委員会活動を経て、住宅の高品質化・高機能化に向けた技術提案・具体的な手法・施策・ツールを数多く考案・実施してきました。本年度の高品質化ワーキングの活動では、これらの有効性を検証しつつ継続的な改善を行うとともに、さらに新たな施策についても検討、展開してまいります。本支店一体となって高品質なプロセスを積み重ね、三井住友建設ブランドの確立に注力することにより、これからも社会に貢献してまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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