集合住宅の高機能化コンセプトモデルの提案と展開
三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、集合住宅分野における「三井住友建設ブランド」の確立を目指し,昨年度より「住宅高品質・高機能化委員会」を組織して、集合住宅の設計・施工プロセス全般にわたる取り組みを展開してまいりました。1年間にわたる委員会活動により得られた集合住宅の高機能化商品として5つのユニークなコンセプトモデルを企画提案してまいります。
■経 過
集合住宅の品質に対する社会的な不安を払拭し「三井住友建設ブランド」を確立することを目的に設置された「住宅高品質・高機能化委員会」ですが、委員会設置後、集合住宅を取り巻く環境は世界的な景気悪化による消費者マインドの冷え込みやデベロッパーの破綻等、未曾有の厳しい状況となりました。当社は、このような状況に対しても積極的に対峙し課題解決に向けて取り組みを強化してまいりました。委員会ではこれまでの既成概念に囚われることなく抜本的な構造改革を目指し、30のワーキングチームに200名を超える社員が参加する正に全社的な取り組みになりました。
委員会の下に、「高品質化追求ワーキング」と「高機能化追求ワーキング」を設けて1年間にわたる活動を行い、「高品質化」では設計から施工、カスタマサポートにわたる全般的なプロセスで品質向上の施策を全店的に展開しています。「高機能化」では次世代集合住宅として5つのコンセプトモデルを構築し、提案活動を展開してまいります。
■高機能化の取り組み
集合住宅建設のリーディングカンパニーとして、品質の確保および向上はもちろんのこと、次世代に向けた高機能な住宅の開発にも積極的に取り組みました。「環境」、「安心・安全」、「健康」という社会動向やユーザーニーズを分析し、それぞれにユニークな特徴を持つ5つの次世代住宅のコンセプトモデルを開発し、デベロッパー、エンドユーザーに対して提案してまいります。
開発提案するコンセプトモデルは次の5つです。
- 次世代タワー型超高層マンション「LEAF TOWER」
- 環境共創マンション「E-Comfort」
- 健康マンション「VigofuL」
- 免震壁式マンション「W Cubes」
- 超長寿命マンション「SUSTY200」
次世代タワー型超高層マンション「LEAF TOWER」と環境共創マンション「E-Comfort」は、2008年中にデベロッパーやエンドユーザーに向けた提案を行い、多くの共感を頂いています。今後は、次のような特徴を持つ健康マンション、免震壁式マンション、超長寿命マンションのプロトタイプモデルについても提案活動を順次行ってまいります。
高機能化の取り組み
■健康マンション"VigofuL"の特徴
誰でもがそこに住むことで自然に元気の出るマンションを目指しました。開放感あふれる戸建感覚の住まい方を、安全性の高い集合住宅として実現するプロトタイプモデルを提案します。
基本住戸ユニットとして、L型平面プランを持つ60m2・75m2・100m2の3パターンを組み合わせることにより、開口面が広く開放的で、外部環境とも一体化できる室内空間を実現します。この基本ユニットを組み合わせることにより、多様化する家族形態にマッチした住戸プランを実現します。
開放感: 光や風や眺望という外部と一体化した住まい
基本ユニットを組み合わせることによって、80%の外壁率を実現。外部環境と一体となった開放感を生み出します。
安心感: コミュニティがセキュリティを高めるという新発想
建物のハード的なセキュリティ向上だけでなく、居住者間のコミュニティが安全性向上にも貢献できるとの考えから、ベンチのあるグリーンコリドー(緑の回廊)など多彩なコミュニティスペースを確保します。またマンション内でのコミュニティの健全性が住まわれる方の精神的な健康に寄与するものと考え貸し菜園などのコミュニティを形成するさまざまな装置を取り込むことを目指します。
素材感: 自然素材を活用し、温かみや手ざわり感を大切にした住まい
無垢のフローリングや炭化コルクの断熱材など、健康に住まい続けられる自然素材を多く用い、手触り感の良い心地よい空間を実現します。
■免震壁式マンション"W Cubes"の特徴
高い快適性・居住性・安全性とともに、プランやデザインの自由度・可変性を高めた居住空間の実現を目指して、次世代型免震壁式マンションのプロトタイプモデルを提案します。
住戸ユニットとして 3層 2住戸を構成単位とし、上下階とも、日照、採光、眺望に優れ多彩なプラン展開と可変性を実現する1.5層のリビング空間を確保しました。 また、 1.5層の段差を構造体として活用し、シンプルで外壁面に柱や梁のない新しいタイプの壁式構造を開発。さらに地震力を低減し、従来の壁式構造では難しかった中高層化を実現するため、免震構造を採用しました。これらの技術で可能となったマンションのプロトタイプを、これまでにないゆとりと豊かさを提案できる立体的な居住空間として"W Cubes"と名づけました。
1.5層のZ型上下階段差を構造体として機能させ、 3層ごとのメガフレームとしてユニットを構成することで、建築計画と構造計画を融合させたまったく新しい「Zセクションフレーム構造」を開発しました。これにより、従来の壁式構造で外壁面に必要だった桁行方向のラーメン構造を解消。住戸いっぱいの開口部と、自由なファサードデザインが可能になりました。
高い剛性を有する「Zセクションフレーム構造」と免震構造を組み合わせることで、基本となる住棟平面形を板状とすることが可能になりました。従来の壁式構造の課題であった桁行方向と梁間方向の剛性を住棟配置によりバランスさせる必要がなくなり、多様な敷地形状に対して、より柔軟な住棟配置による計画の可能性を実現しました。
■超長寿命マンション"SUSTY200"の特徴
「いいものをつくって、きちんと手入れをして、長く大切に使う」ストック型社会にふさわしい、世代を超えて循環利用される"社会資産としての住宅"を目指し、"SUSTY200(サスティ200)"を提案します。
"SUSTY200"は、変わらないものは堅牢に、変わるものは柔軟に構成されたスケルトンインフィルの考え方を基本にし、スケルトンの計画的な維持管理、ライフスタイルに合わせた設備・内装の更新を繰り返し、数世代にわたり住み継がれるロングライフ住宅のプロトタイプです。
また、防災・防犯機能の強化などの"生活バックアップ機能"、タウンマネジメントや様々な生活支援システムによる"コミュニティの活性化プログラム"、エイジングを意識した素材や可変外装システム、建物の屋上・壁面緑化の採用による"時間とともに成熟する街並み" 、施工管理プラットフォームなどのデータベースによる"住宅履歴情報の蓄積など、超長寿命をサポートするソフト面での提案が特徴です。
■今後の展開
1年間の委員会活動を経て、住宅の高品質化高機能化に向けた技術提案・具体的な手法・施策・ツールが数多く考案・実施されました。本年度は、これらの成果をさらに掘り下げ、具体化を目指した開発に取り組み、住宅分野におけるこれまでの実績と優位性に加え、更なる三井住友建設ブランドの確立に向けて努力してまいります。本委員会活動の成果に実効性を持たせ継続的に取り組むことにより、住宅の高品質化高機能化という観点から社会に貢献してまいります。
<お問い合わせ先>
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