急速設計システム「ShukuGen(しゅくげん)」を開発-マンション設計期間を半減
― 中高層板状マンションを最短5ヶ月で設計完了 ―
■ 概要
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2-1-6 社長 則久 芳行)は、第3次中期経営計画における業務プロセス変革の施策のひとつとして、画期的な急速設計システム「ShukuGen(しゅくげん)※1」を開発、このたび運用を開始しました。
「ShukuGen」は、弊社設計施工の15階200戸程度までの板状マンションを主なターゲットとした設計システムで、これまで設計着手から確認済証交付まで8~11ヶ月程度かかっていた設計期間を、最短で5~6ヶ月にするものです。
本システムをご採用いただいたマンション開発事業者様には、
- 所有敷地の金利や租税の節減(総工期短縮)
- 開発事業計画(売上計上年度等)の計画的な実行
- 事業企画時に入念な検討・工夫の時間的余地が作れる
といったメリットを事業計画に応じて使い分けていただけます。
※1 商標登録出願中
「ShukuGen」導入による設計期間短縮イメージ
「ShukuGen」業務の流れ
■「ShukuGen」開発の背景
従来、マンション設計は一品生産が基本となるため、案件ごとに一から検討する必要がありました。しかし近年の社会情勢の変化の中で、マンション開発全体スケジュールの短縮が求められるようになってきました。そこで弊社では、これまでの約25万戸を超える施工実績によって培われたノウハウを最大限に活用し、「従来と変わらぬ人的リソース」で「設計品質を落とさず」に「大幅な設計期間の短縮」を可能にする急速設計システム「ShukuGen」を開発いたしました。
開発に当たりましては、約100工程からなる従来の設計業務プロセスを、約500工程に細分化して徹底的に分析することで、期間短縮における課題を抽出しました。その課題に対する方策を盛り込んだ最適な設計業務プロセスを再構築することで、大幅な効率化を実現しました。
設計業務プロセス分析フローチャート(部分)
■「ShukuGen」の構成
急速設計システム「ShukuGen」は以下の方策によって構成されています。
- 設計業務プロセスの整流化
設計着手時にお客様との間で適切な仕様確定時期を設定し、それに基づく工程管理を行なうことで仮検討、手戻りを削減します。 - 設計検討ナレッジの整備
情報、知識、検討プロセスの一元管理、標準化を行ないナレッジとして整備しました。 - マンション設計データベースの構築
弊社がこれまで設計施工したマンション案件の詳細情報をデータベース化し、随時活用できる環境を整えました。 - 設計図書記載情報及び作成手法の合理化
各設計図書に対する役割を一から検討し、最適な情報量や作成手法を定義しました。 - クロスファンクショナル活動
社内ワーキング活動等により情報の新規取得や共有化を行ない、設計技術者のスキル向上や設計品質の維持向上を図ります。
これらの方策は既に実案件で試験運用を実施しており、不具合の修正も完了し効果についても検証済みです。これら方策を実行することにより、従来に比べて4割以上の設計工数を削減します。
方策実行による工数削減効果
■ 副次的な効果
「ShukuGen」の導入は弊社にとっても大きなメリットをもたらします。ひとつは設計短工期化により受注機会が増加することです。そして設計技術者の増員無しに設計期間の短縮が可能なため、生産性が大幅に向上します。
また設計検討ナレッジに搭載された設計品質チェック機能には、コストや性能要件に関するアラートとともに設計根拠も表示されるため、業務を通じての設計者のスキル向上やノウハウ取得、いわゆるOJTの実践にもつながるため、更なる設計品質の向上が期待できます。
「ShukuGen」導入により作業効率が高まった分は、より創造性の高い業務に時間を割けるようになり、より良いマンションづくりに注力することが可能になります。
■ 今後の展開
「ShukuGen」は、弊社設計施工案件の6割以上を占める規模のマンションに適用できる設計システムです。採用実績によりノウハウが蓄積されシステムにフィードバックされることで、更なる進化も期待できます。
これからもマンション開発事業者様の事業計画に合わせて、より効率的で最適な提案を続けてまいります。
<お問い合わせ先>
リリースに記載している情報は発表時のものです。