非常時に船舶・電気自動車の電力を建物へ利用する電源供給システムを開発

―実建物にて電気自動車からの電力供給によるエレベーター稼働実証を実施―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1 番6 号 社長 新井 英雄)は、国立大学法人東京海洋大学との共同で、災害などによる大規模停電時における動力電源の供給を、船舶や電気自動車から合理的かつ経済的に供給することを可能にする電源供給システム「陸・海電力コネクティングシステム」を開発しました。
そしてこの度、電気自動車を積極的に導入している横須賀市の協力を得て、実建物(※)にて試験導入し、電気自動車のバッテリーによるエレベーターの稼働実証試験を実施しました。

(※)横須賀市役所久里浜行政センター

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陸・海電力コネクティングシステム イメージ図

 

■ 開発の背景

災害発生に伴って生じる大規模な停電時には、建物機能の維持に加えて利用者や入居者の安全確保が求められます。特に、停電によるエレベーターの停止は、中高層階からの移動が極めて困難となるため、社会的な問題となっています。しかし、建物に設置された非常用発電機は防災設備への電源供給を主体としており、保安電源用として発電機を整備している建物は多くありません。また、小規模な建築物では、非常用発電機自体が設けられておらず、停電時には全ての電気設備が停止します。
また、非常用発電機に頼らない緊急時の電源供給として、電気自動車のバッテリーによる電力供給を行う取り組みが近年進められていますが、供給できる電源は電灯単相3 線式200V/100Vであり、動力三相200V の電源供給はできません。このため、多くの建物で求められているエレベーターの稼働ができず、課題となっています。

 

■ システムの概要

本システムは、船舶から得られる電源を電気自動車により内陸部へ輸送する手段を提供するものであり、非常用(保安用)電源を持たない建物に対して合理的かつ経済的に電力を供給することができます。
また、電気自動車バッテリーから供給させる電灯電源を動力電源に変換する「交流電源安定装置」を備えており、停電時においてもエレベーターを稼働させることができます。

 

■ エレベーターでの稼働実証試験

2017 年6 月10 日に、横須賀市役所久里浜行政センターにて、電気自動車のバッテリー(6kW)によるエレベーター(3F/3.5kW)の稼働実証試験を実施し、稼働中の消費電力のデータを取得しました。
試験では、エレベーター積載量を適切にコントロールすることにより、大型電動機の始動電流を抑制し、省エネルギーで稼働させることを確認しました。また、これらにより稼働回数を増やすこともできました。

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エレベーター稼働実証実験 イメージ図

 

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エレベーター稼働実証実験の様子

横須賀市役所久里浜行政センター

 

■ 今後の展開

今回のエレベーター稼働実証実験によって得た稼働中の消費電力のデータや今後予定している都内の高層賃貸住宅(6 階以上)でのエレベーター稼働実証実験により、ノウハウの蓄積を行って、省エネルギーでの効率的な稼働による可能な電動機容量や稼働回数など実用化に向けた検討を進めてまいります。また、非常時等に電気自動車や船舶を確保する運用体制や、船舶電源から電気自動車への電力供給を含む電源供給サービスの検討を進めてまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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