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事業概況

事業環境の認識と2022年度の取り組み

為替変動、物価上昇とともに、一部進出国のカントリーリスクが顕在化し、当社の海外事業環境を不安定化する要因が生じています。一方、コロナ規制は世界的に緩和され、国境を越えた人やものの往来が回復しODA、日系・外資系民間投資が、当社の進出国、特にインド、フィリピン、グアムで非常に活発になっています。

海外事業規模を維持し、中期経営計画に沿った着実な成長を進めるため、リスクの評価を合理的に実施していきます。既に取り組みを始めている多様な外国籍社員・現地スタッフの採用・教育・受け入れを加速することで、目に見える形で施工体制と施工管理能力を強化していきます。また、中期的目標として、事業領域をタンザニアなどアフリカ地域へも展開していきます。

海外のコロナ規制は日本に先立ち緩和され、2022年度の海外受注高は1,300億円(本邦+現法)を超え、前年度比で大きく増加しています。その中でも警戒を怠ることなく、緊張感を持って海外駐在員の安全確保を目指していきます。

事業の特徴と強み

当社は、国内部門が築いた技術力を背景に、海外工事で優良な実績を積み重ね、発注者や現地JVパートナー、協力会社の信頼を獲得してきました。土木においては、親会社直轄の施工部隊が案件ごとに現地で施工体制を組み、継続して大型橋梁、道路、鉄道・地下鉄などの交通インフラを開発途上国に建設し、国際協力と社会貢献を果たしています。建築においては、7カ国で設立済の子会社、現地法人が、日本を代表する製造、運輸企業による工場や倉庫、事務所の建設計画をフォローし、多くの優良な日系企業の現地進出をお手伝いしています。また、当社が積み重ねた現地での建築実績をご覧になった新たなお客さまに、お声がけいただき営業の幅が広がりつつあります。

2023年度の方針

当社の成長ドライブである海外事業部門のゆるやかな拡大を実現するため、まずは営業、工事でそれぞれ目標とされた今年度計画予算の達成を総力を挙げて目指します。当社が海外分野で目指す安全・究極品質および企業統治方針である「グローバルアイデンティティ」と、各拠点、現場が自立して持続的に成長していくための「ローカライゼーション」とを融和させ、激しく変化する海外事業環境に適切に、また機敏に対応します。計画的に採用する日本人社員、外国籍社員の教育と会社への帰属意識の強化に努めます。BIMやさまざまなツールを作業所単位で継続して取り入れ、生産性向上、働き方改革を目指します。

また、海外組織における外国人との共存、相互理解と国際的価値観の共有実績を、国内部門にもフィードバックし、D&I活動を積極的に実施していきます。

Antara Koh社(2022年3月に買収)が独自に保有していた市場、技術を共有し、同社と協働して獲得した複数の工事が進行中です。今後も買収のシナジー効果を高めるべく、協働案件に取り組み事業領域を着実に拡大していきます。

リスクと機会

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2022年度の主な海外主要プロジェクト

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工事名 南北通勤鉄道事業(マロロスーツツバン)CP02工区
所在地 フィリピン共和国
発注者 フィリピン共和国運輸省(DOTr)
工期 2019年7月~施工中
概要 高架橋 延長 14㎞
高架駅舎 3駅
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工事名 ゲレザニ道路拡幅計画(Phase1&2)
所在地 タンザニア連合共和国
発注者 タンザニア道路公社
竣工 2023年1月
概要 跨線橋(合成床版橋) 1橋
橋梁附帯工 1式
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工事名 Neste Singapore Expansion Project
所在地 シンガポール共和国
発注者 施主 Neste Singapore Pte Ltd
元請EPC Technip Energies
竣工 2022年12月
概要 持続可能な航空燃料製造プラントに係る土建工事、敷地面積252,000m²
建屋10棟、プラント配管基礎等の土建構造物、緑地・植樹

Topics

海外大型案件の受注

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工事名称 マニラ首都圏地下鉄事業(フェーズ1)CP103工区
発注者 フィリピン共和国 運輸省
設計 オリエンタルコンサルタンツグローバルJV
竣工 三井住友建設株式会社
契約金額 約657億円(日本円換算)
工事期間 着工から290週(約66.7カ月)
工事概要 工事延長約6.5kmの土木・建築、設備一式工事
2つの駅舎工事(アノナス駅253m、キャンプアギナルド駅277m)を含み、4つの各駅舎間を結ぶ上下線シールド
トンネル区間総延長11.97km、内径6.1m

当社初の現地法人社長紹介

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リチャード ベルガラ(Richard Balingit Vergara)
SMCCオーバーシーズシンガポール社長

私はエンジニアとして1994年に当社シンガポール事務所で勤務を開始しました。以来、メーカー・ 石油化学・製薬関連の工場・プラント案件を専門にさまざまなプロジェクトで実績を積み重ね てきました。2022年4月、SMCCオーバーシーズシンガポール社の社長を拝命しました。多角化、 設計・施工案件のさらなる獲得、次世代リーダーの育成、デジタル化の推進、持続可能性の原則 の維持などの戦略を通じて、売り上げを2008年から2014年の水準(1億シンガポールドル)に まで再び引き上げるべく日々尽力しています。