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事業概況

2023年度の実績と中長期方針

国内市場では防災・減災、国土強靭化関連工事、インフラの更新工事などの発注が堅調であり、当社国内土木事業の受注高は順調に推移し、継続的に優良な手持ち工事を確保しています。また、複数の大型工事が順調に進捗したことなどから、売上高、利益については共に過去最高であった前期をさらに上回る結果となりました。2024年度の受注戦略においては、総合評価方式入札における技術提案で好成績を維持し、生産性、利益率の高い案件の受注を目指します。また、技術開発、DX推進を継続するとともに、本支店連携による作業所支援により現場の負荷を軽減します。

事業の特徴と強み

橋梁やトンネル、河川改修、土地造成、上下水道施設など社会基盤を支える土木構造物の新設や維持・更新に際し、豊富な実績をもとに最適な設計・施工技術を提供します。PC(プレストレストコンクリート)橋梁分野では業界屈指の設計・施工実績を誇り、新たな構造形式やPCa(プレキャスト)化による工期短縮・省力化施工などの技術開発を推進し、高品質で耐久性に優れ、維持管理がしやすい橋梁を提供しています。国内では大規模更新(床版取替など)や新設トンネルなどに注力し海外では地下鉄や高速鉄道などの大型工事の実績を着実に重ね、優位性を確立しています。

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成長市場の技術力強化とデジタル化の推進

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クイックreインバート工法(メッセルシールド機使用)

今後の需要が見込まれるリニューアル工事への対応として、トンネルインバートの急速補強工法「クイックreインバート工法」を開発し、今般、供用中の高速道路に初適用しました。本工法は従来の土留め工法を必要としないことから、最も危険を伴う供用車線に近接した土留め杭打ち作業が解消でき、車線規制を伴うインバート補強工事の安全性向上と大幅な工程短縮が可能となります。

また、現場管理の省力化と生産性の向上のため、トンネル坑内に通信環境を整備し、大型サイネージを用いた安全注意喚起や、Webカメラを用いた監視体制の強化のほか、働き方改革への対応として、自社開発のロックボルト出来形検測システムを導入しています。

新たな成長領域への挑戦

当社は、BWIdeol社(フランス)が日本国内で実施した浮体式洋上風力発電の大規模商用ファームの事業性評価に参加し、コンクリート製浮体基礎の建造において、市場の期待に応える経済性および工期の実現が可能である旨を確認しました。また、燃焼時にCO₂を排出しない燃料として期待されるアンモニアの貯蔵タンクの建設などの分野においても参画に向けた検討、技術開発などを進めています。

新たな担い手となる若手人材の育成

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新入社員教育:実技合宿

土木事業部門においては、35~45歳の人員が少ない一方若手が多い構成であることから、若手の早期育成が喫緊の課題となっています。2017年度より新入社員教育において実施している実技合宿ではグループに分かれ、構造物の製作を行うことにより、計画から施工まで自分たちで考える力を養っています。また、2024年度より本店内に立ち上げた現場支援グループは、主に全国の繁忙現場の支援を通じ、現場業務の平準化を図るとともに、現場勤務の社員がコア業務に専念し、自らのスキルを高められる環境づくりを担います。

2030年の将来像に向けた取り組み

人口減少社会が到来する中ではあるものの、国内公共投資、海外建設投資はともに堅調な推移が見込まれます。土木事業部門は引き続き当社の業績を牽引する部門として、優位性を保有する分野で良質な受注を重ね、高い現場力で安定的な収益を確保しつつ、カーボンニュートラル関連事業など市場の拡大に期待が可能な分野で新たな柱を構築していきます。

一方、施工体制の逼迫、技術者の高齢化と若手社員の増加による二極化の進行など、人材の確保、技術の伝承は大きな課題となっています。現場支援体制の強化などを通じて社員が持てる力を発揮できる職場づくりを進めるとともに、他社とのアライアンスやM&Aなど、外部リソースも積極的に活用し事業拡大に向けた基盤を構築します。