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事業概況

2023年度の実績と中長期方針

2023年度、円安と物価上昇によりコスト増加が発生し、これが事業環境を不安定化させ、当社の海外事業に大きな影響を与えました。限られたリソースを効率的に運用するために「選択と集中」が必要であり、今後の計画では、多様な外国籍社員や現地スタッフの採用・教育を強化し、施工体制を充実させる計画としています。また、ODA案件やアフリカでの新規プロジェクト、日本国内での米軍発注工事、風力発電プロジェクトにも挑戦し、さらなる成長を目指します。

当社は「安全・究極品質」と「グローバルアイデンティティ」を基盤に海外展開を進め、各拠点の自立と持続的成長を図る「ローカライゼーション」を融合させ、変動する海外事業環境に適切に対応します。

事業の特徴と強み

当社の海外建設事業は、1971年のタイでの橋梁案件から始まり、50年以上の歴史があります。この期間に日本のODA案件で実績を重ね、各国の慣習や風土を学びつつ、日本の先進技術を展開し、組織体制を確立してきました。現在、フィリピンでは超大型鉄道案件に取り組み、日本の高品質な技術を用いて直営施工を行っています。また、インドでは多くの民間顧客に対して最適な設計・工法を提案し、さまざまな施工を実施しています。東南アジアや南アジアで、多国籍の社員が参加し、技術の深化と伝承が行われています。

今後も日本の技術を提供し、グローバルな視点で人材育成を進めるとともに、多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍できる環境を整えます。

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リスクと機会に対応した営業展開

1970年代からアジア地域で現地法人のネットワークと実績を築いてきた当社は、その情報を活用して受注を増やしています。2022年3月にAntara Koh社を買収し、同社の市場と技術を共有して複数の工事を進行中です。今後も買収シナジーを高める協働案件に取り組み、事業領域を拡大します。また、HDC日本を軸にアジア各国でD&I活動を推進し、合理的な施工体制を確立して目標達成を目指します。

事業のグローバル化を支える外国籍社員の活躍

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HDCフィリピン教育風景

当社は成長加速のため、海外事業で働く人材育成を重視し、各拠点の自立とネットワーク強化を図っています。優秀な人材の最適配置と強固なネットワーク構築が、グローバル化成功の鍵となります。グローバル人材の育成として、外国籍ローカル社員の中から管理職にふさわしい人材を「Management Member(MM)」として認定・登用。また、管理職をサポートする「Operation Member(OM)」や国際的に活躍できる「International Member(IM)」も育成しています。これらのメンバーはリーダーシップを発揮し、当社のビジョンを現地で実現する重要な役割を担います。MM、OM、IMが協力して拠点間ネットワークを強化し、グローバル展開をさらに推進します。

ODAインフラ整備工事におけるBIMへの取り組み

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3Dモデル ダンプトラックの手配の様子

インドネシアのジャカルタCP203工区の地下鉄駅舎およびシールドトンネル工事では、BIMの導入が必須条件となっています。BIMの運用により、3Dモデルを用いて設計から維持管理までのプロセスを一元化し、全関係者で共有しています。設計段階では2D図面の出力や干渉チェックが可能となり、施工段階では4Dシミュレーションや安全管理が行えます。維持管理段階では問題点の提示と解決が追跡できます。このBIM運用実績により、外国籍BIMオペレーターを日本のプロジェクトにリモートで活用することも検討しています。

2030年の将来像に向けた取り組み

当社が海外分野で目指す安全・究極品質および企業統治方針である「グローバルアイデンティティ」と、各拠点、現場が自立して持続的に成長していくための「ローカライゼーション」をさらに融和させ、各国における組織の強化を行い、昨今の急な変化に適時、適切に対応していきます。現在、東南アジア、南アジア地域を中心に事業展開していますが、急速な規模の拡大は行わず、当社が強みを活かせる国においてはさらなる発展を目指し、体制整備に努めます。また、日本人社員、外国籍社員の教育体系を充実させ、誇りをもって業務遂行できるよう当社の保有する知識、技術の継承を確実に行い、強靭な組織体制を構築していきます。