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事業概況

2023年度の実績と中長期方針

建築投資の状況は、製造業における設備投資が旺盛であり、今後も継続が見込まれます。住宅関連についても首都圏を中心とした再開発が全国へ広がっており、底堅い投資が継続しています。一方、今年度から建設業界においても時間外労働の上限規制が適用され、供給面での制約が高まっています。

国内建築においては、手持ち工事の消化を優先するために新規受注を抑制しています。一方で、採算重視の取り組みを徹底したことにより、2023年度の受注時採算は大幅に改善しました。今後もこの方針を堅持しつつ、施工体制の再構築を図り、手持ち工事の消化進捗に合わせた工事獲得に向け受注活動を展開し、利益水準の向上を図っていきます。また、時間外労働の上限規制に確実に対応するため、現場管理業務の内勤部門における集中支援の取り組みを推進していきます。

事業の特徴と強み

住宅分野では、高品質・短工期を実現する当社独自技術のスクライム工法を活かした超高層住宅で豊富な実績を持っています。現在施工中の超高層住宅においても、自社グループ工場における部材の製造から保管、現場への搬送、取り付けまでを一元的に管理するPCa(プレキャスト)技術を構築・適用しており、現場作業の省人化を実現しています。

また、倉庫、データセンター、大型工場等において、当社では鉄骨と鉄筋コンクリートのハイブリッド構法であるMIC構法を活用し、大空間を実現しつつ振動にも強い建物を提供しています。さらに、カーボンニュートラルの実現に向けてZEB/ZEH建築にも力を入れており、自社単身寮においては、ZEH-Mを取得し、エネルギー収支ゼロで運用しています。

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主力となる技術領域のデジタル化の推進

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PCaを採用した現場施工の効率的な一元管理を目的に、汎用のICTクラウドサービスと自社開発機能を組み合わせた、統合進捗管理システムを実物件へ導入し、約20,000ピースのPCa製品の管理を実施しました。

PCa工事の作図・製造・施工の管理情報をクラウド上で連携し、躯体工事の工程表、製品図の承認状況、製造状態、製品の位置座標、運搬予約など、これまで個別に行われてきた業務を統合管理することが可能となり、ICTを活用した「人をつなぐシステム」で効率的な施工管理を実現しています。(建築生産システムPAE)

収益力向上とリスク管理の強化

建築事業の業績改善に向けて、新規受注工事においては、採算重視の取り組みを徹底しています。協力会社も含めた施工体制の確保を前提とした受注活動と、取り組みの初期段階における取り組み審査とリスク管理を厳格に実施しており、2023年度は受注時採算が大幅に改善しました。

現状、物価上昇等の影響を受けた低採算の工事が一定割合ありますが、今後も完工能力に応じた採算重視の受注活動により、良質な案件への入れ替えを進めていきます。

適正な人員配置と若手育成への取り組み

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新入社員研修

施工体制逼迫解消後の計画的な人員配置を可能にするため、施工技術者の配置状況をシステム化した「施工技術者配置システム」を稼働させ、全店的な施工技術者の適正配置を実施しています。また、不足している中間層社員を補える若手技術者を早期育成するため、年次教育と併せて若手技術者の計画的な育成を図っていきます。設計技術者についても、従来のOJTを中心とした教育から、1年次からの集中的な教育に転換し、早期育成を進めるとともに独立した工事監理者の育成に向けたローテーションによる教育を進めています。

2030年の将来像に向けた取り組み

2023年度に開発・適用したPCa部材の統合進捗管理システムにより施工の効率化を図っていきます。また、将来的なPCa部材の製造の自動化を目指した研究・開発に注力し、一層の効率化と省人化により競争力を高めていくとともに、多用途展開、海外展開を進めます。

さらに、協力会社組織である真栄会各社の技術者育成支援等、連携の強化を推進します。また、グリーン電力の利用等による施工時の脱炭素はもとより、設計施工建物の運用時におけるCO₂排出量削減に向け、当社独自の住宅商品である「SuKKiT(スキット)」シリーズのZEH化など、脱炭素の取り組みを推進していきます。