#15 山生橋梁
前回からの続き、、、
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- 「ううっ!」(突然うずくまるささちゃん)
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- 「ど、どーしたの?!ささちゃん!」
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- 「お~な~か~が~~」
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- 「ま、まさか・・・」
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- 「な、なんですか、大丈夫ですか???」
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- 「減ったー!!」
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- 「やっぱりー!」
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- 「(ガクッ)」
"腹が減っては「お橋見」はできぬ"(ささちゃん格言)
ということで、一行は腹ごしらえ・・・

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- 「房総といえば海の幸でしょ!」
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- 「おお~、大きなカレイ!お刺身もおいし~」
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- 「さ・ら・にー、このお箸で食べるとさらに美味しくなるのだ!じゃじゃーん!!」

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- 「なにそれ?」
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- 「フフフ、これは選ばれし橋ガールしか持っていないマボロシの割り箸"橋ガール箸"だっ!!」
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- 「(思いっきりそのままじゃん!!)ス、ステキじゃないですか!ハカセも持ってるんですか?」
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- 「もちろんですとも、ガールではありませんがね。袋を取ってしまうとただの割り箸なんですが、でもこれが結構好評なんですよ。」
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- 「いやいや、これを持っているのが真の橋ガールの証!そこは気持ちの問題ですから!それにこうやって使うと、本当に美味しいんだから!」
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- 「そう、ですかね。では、ふふちゃんも今日から立派な橋ガール。さぁ、こちらを使ってください。」
ということで、とりあえずおいしいランチを満喫する3人。
お腹いっぱいになった一行は、鴨川に向けて車で移動します。

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- 「あ~、お腹いっぱいだ~。眠い~~。やっぱりあのお箸の威力すごいわ」
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- 「いやいやささちゃん、お箸のせいじゃなくて普通に食べ過ぎでしょ。ところでハカセ、次の橋はどんな橋なんですか?」
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- 「次の橋は山生(やもめ)橋梁といって、大正時代にできた御歳92歳のおじいちゃん橋なんですよ。」
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- 「え~、92歳!いやいや、さっきの美白命の美魔女みたいな橋が42歳だったわけでしょ?92歳じゃさすがにもうヨボヨボでボロボロなんじゃ・・・」
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- 「見てみれば分かります。」


橋の概要
- 名称
- 山生橋梁(やもめきょうりょう)
- 位置
- 千葉県鴨川市
- 橋長
- 9.14m×16連
- 形式
- 鉄筋コンクリート単純T桁橋
- 竣工年
- 大正13年(1924年)
- ※「土木学会土木遺産」選定
鉄道橋では日本初の鉄筋コンクリートT型梁形式の橋梁であり形式もアーチから桁・梁構造へと進化する記念碑的な意義を持つ構造物として2012年度に土木学会土木遺産に選奨された。
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- 「わー!すごいっ!橋!線路!海!」
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- 「山生橋梁って鉄道橋だったんですね!絵葉書みたいな景色...!」
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- 「そうなんです。この橋は、日本で初めてのT型の鉄筋コンクリート桁をつかった橋でなんと大正13年に竣工で未だに現役。鉄道橋の構造形式の発展に大きく寄与したことで2012年度年に土木遺産に認定されているんですよ」
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- 「どぼくいさんっ!!」
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- 「しかもなんとこの橋造ったのは、三井建設の前身である西本組なんです!」
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- 「会社の大先輩たちが作った橋が国の宝物に!!ちょっと感動・・・」

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- 「江見駅と太海駅の間の海岸線に緩やかなカーブを描きながら架かる鉄道の橋です。ロケーションもきれいで鉄道好きの方々の間でも結構人気が高いらしいですよ。」
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- 「なるほど、絶景だもんね。せっかくだから私たちも電車が通るところの写真撮ろうよ!」
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- 「うん!撮り鉄っていうやつでしょ、写真を撮る鉄道マニア。いや、そういう意味では私たちは撮り橋なんだけど・・・」

10分後、15分・・・電車はまったく来ず
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- 「ハカセー、電車来る気配ありませんね・・・」
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- 「ほんとにこの橋、まだ現役なんですよね???」
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- 「(ケータイで電車時刻を調べる)えーっと次の電車は・・・あ、この後50分後ですね。」
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- 「えーっ!!!」(※電車を見たい方は前もって調べましょう!)
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- 「電車のほうは残念でしたが、そこは橋ガール。この橋は下からもじっくり観察できますから、下に下りてみましょう。」

このあたり内房の富津岬から外房の太東崎までの海岸線が南房総国定公園に指定されています。



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- 「うわー、すごーい。下から見ると迫力がありますね。これ、本当に大正時代に作られたものなんですか?」
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- 「そうですよ。この橋は鉄道橋として日本で初めて鉄筋コンクリートT字型梁形式という形式を採用していることでも非常に意味のある橋なんです。」
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- 「鉄筋コンクリートって大正時代にもあったんだ...」
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- 「あったことはあるんですが、まだまだ一般的でなく、レンガや石積みによるアーチ橋が多かったんです。でもこの橋の出現で桁形式の鉄筋コンクリートの橋へと移行していったんですね。」

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- 「潮の満ち引きで橋の真下まで海水がきてるみたいだけど、塩で傷んだりしていないんですかね?」
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- 「いいところに気付きましたね。実は昭和58年に一度、調査が行われたんです。少し鉄筋は錆びていたところもあったんですが、大部分は健全だったそうです。当時の施工がいかに丁寧に行われていたかってことですよね。」
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- 「砂浜にこんな太くて立派な柱がたくさん、えーっと1、2、、、15本もある!!柱の色や雰囲気、周りのきれいな緑をまとって、まるでラピュタの世界みたい。」
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- 「うんうん、なんだか幻想的だよね~」
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- 「ロマンを感じるわー、大正ロマンってやつ!」
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- 「大正ロマンですか・・・(それってわかって言ってるのかなぁ)」


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- 「大正時代とはいえ、優れた土木技術によって造られたこの橋は、工事中の関東大震災にも耐え、大きな補修もなく今日まで鉄道橋として活躍してくれているのだそうです。そうは言っても高齢なので、こうやって小さな補修や点検は欠かせないかもしれませんが・・・」
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- 「うわ、あんな高いところで作業してるんだ。足場を組むのも大変ですよね。」
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- 「大正時代からずっとこうやって守られてきたんですね。」

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- 「ふふふ、これぞ千葉県代表の橋って感じだねっ!どうだ、参ったか!!」
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- 「(誰に対して言ってるんだろう?)う、うん、参った。橋って景色の一部だけじゃなくて、いろんな見方ができて奥深くて興味深いんだね。千葉にこんなステキな橋があるなんてちょっとびっくりした。」
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- 「やっと分かってきたようでうれしいわ、ふふちゃん」
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- 「ではとりあえずアレやっときますか?」
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- 「え?あ、海に向かってバカヤロ~ってやつですか?」
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- 「違います。(やったことあったっけ?)アレといったらアレでしょ!」



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- 「ふふちゃん、砂浜歩いて足が疲れちゃったりしてない?」
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- 「うん、ちょっと疲れちゃったかなぁ」
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- 「いきなりクイズです。近くの道の駅『鴨川オーシャンパーク』にステキなスポットがあります!ズバリそれは何でしょう?ヒントはこちら!」

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- 「足と温泉のマーク?あ、足湯だ!!」
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- 「ピンポーン、大正解」



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- 「くじらの口からお湯が出てる~。かわい~、まさかこんなところで足湯につかれるなんて~。お橋見も足湯も最高~。」
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- 「しかも温泉だって!足ツルツルになってるー。最後の最後にガールっぽい感じがめっちゃ出てるね」
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- 「ねえねえ、ささちゃん。埼玉にもステキな橋あるかなぁ?」
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- 「次は埼玉で『お橋見』だね!!ハカセ、よろしくおねがいしまーす」

ささちゃんの絵日記

2015年8月3日 行った場所:山生橋梁
千葉県代表!!
"単純T型大正ロマン女子~"
誰も追いつけないぜ。
―つづく