#41 新旅足橋
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- 「3・2・1 バンジー!!」
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- 「きやあああああああ!」
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- 「ハカセ――!!」
<話は数日前にさかのぼる...>
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- 「よこちゃん、さっきから何を調べているの?」
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- 「あ、ほんちゃん!そろそろ紅葉狩りの季節だなと思って」
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- 「それなら、新旅足橋(しんたびそこばし)はどう?山と山に架かる大きな橋で、雄大な自然を楽しむことができるよ。
あ、そうだ。この橋をつくったイケ所長に連れて行ってもらおうよ」
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- 「それいいですね。電話してみましょう!」
プルルルルル...
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- 「やあ、よこちゃん。今日はどうしたの?」
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- 「イケ所長、お疲れ様です!
ほんちゃんと、紅葉を見に新旅足橋にいきたいねって話していて。所長にぜひ案内いただきたいのですが、どうですか...?」
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- 「そういうことなら喜んで。
実はこの橋、有名な観光スポットにもなっているんだよ」
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- 「そうなんですね!楽しみにしています!せっかくなのでハカセも呼んでおきますね」
(電話を切る)
~ 今回の橋ガールはこの2人 ~
― お橋見当日 ―
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- 「おはよう。今日はお誘いありがとう」
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- 「おはようございます!はるばる岐阜県までありがとうございます!」
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- 「いえいえ。お橋見ならいつでもどこでも駆けつけますよ。ところで、紅葉が見たいって聞いてたけど...山が青々してるなあ。少し早かったかな...。まあ気を取り直して、お橋見しましょう」
橋の概要
- 名称
- 新旅足橋
- 位置
- 岐阜県加茂郡八百津町
- 構造形式
- PC3径間連続ラーメン箱桁橋
- 橋長
- 462.00m
- 架設工法
- 張出し架設工
- 竣工年
- 2009年
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- 「うわ!高くて大きい橋ですね」
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- 「この橋は新丸山ダムの建設によって水没する国道の付替道路として、国土交通省新丸山ダム工事事務所によりつくられた橋なんです。最大支間は220mで、連続ラーメン橋としては日本一なんですよ。橋脚の高さも100m以上あって建設当時は日本3位の高さでした。さっそく橋を見てみましょう」
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- 「ちょっと待って!ぜひ橋のことを知りたいところだけど...よこちゃん!そろそろアレの時間じゃない?!」
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- 「あ。本当ですね!さあ、ハカセ、いきましょう!お橋見はあとあと!」
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- 「え?どこに?!」
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- 「それはもちろん、バンジージャンプですよ!日本一高いブリッジバンジージャンプができるってイケ所長に聞いたので、せっかくだから予約しておきましたよ!」
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- 「と、飛ぶの...?!(まさか、ここに来た本当の目的は紅葉じゃなくてバンジーだった...?)」
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- 「ブリッジバンジージャンプは国内に8か所あって、この新旅足橋からの岐阜バンジーの215mは圧倒的な高さだね」
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- 「ハカセ!一緒に日本一の高さを体験しましょう!こっちこっち!」
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- 「まさかこんな展開になるとは。こ、心の準備が...」
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- 「私はお二人の雄姿を見守ってますよ!」
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- 「これが岐阜バンジーならではの「ウイングスーツ」だ!」
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- 「通称「ムササビスーツ」って呼ばれていて、これを着てうまく飛ぶと落下速度が下がって滑空することができるから、落ちるというより飛んでいる感覚で絶景を楽しめるんですって」
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- 「同じ時間帯に飛ぶ方が他にもたくさんいますね。平日なのにこんなに賑わっていると思わなかった。一人じゃないと思うと、ちょっと勇気がわいてきたな」
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- 「お、いいですね、ハカセ!じゃあ、その勢いで行っちゃいましょう!」
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- 「注意事項も教わって、ウイングスーツを着て、いよいよ順番がきましたね」
3・2・1 バンジー!!」
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- 「きやあああああああ!」
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- 「ハカセ――!!スゴイ!あっという間に落ちて行ったよ!次はよこちゃんの番だね」
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- 「私もいってきまーす!イエーーーーイ!」
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- 「2人ともきれいに飛んでましたよ~!」
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- 「はあ~楽しかった~!」
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- 「も、もう飛びたくない...(フラフラ)」
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- 「ハカセ、大丈夫ですか?!」
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- 「みんな、お疲れさま。遅れてすまないね。二人が飛ぶところはしっかり見ていたよ」
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- 「イケ所長?!」
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- 「ハカセはフラフラのようだから、すこし休憩していて。お橋見の続きは私が引き受けよう」
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- 「頼みます、所長...!」
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- 「ああ、ハカセ大丈夫かなあ?イケ所長、よろしくお願いします!」
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- 「ずっと気になっていたのですが、こんな深い谷のなかに、こんな大きな橋を、どのような方法で施工したんですか?」
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- 「このような深い谷では、地上から支保工を設けることはできないから、移動作業車をつかって橋脚から左右のブロックを同時につくっていくんだよ。
これは新旅足橋の建設当時のパンフレット(国土交通省新丸山ダム工事事務所)のイラストだけど、やじろべえみたいにバランスさせて施工するんだ。これを張出し架設工法といって、大きな支間長の橋を施工するときに使う方法だよ」
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- 「こんな施工方法があるんですね。でもこれだけでは橋のかたちにはならないですよね」
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- 「そうそう。実際にはこんな順序で施工したんだ。
まず、柱頭部を施工し、柱頭部の上部に移動作業車を設置して、次に張出し架設でブロックごとに施工するんだ。そして最後に両端と中央を繋げてさせて完成させるんだ」
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- 「こんな方法なんですね」
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- 「実際の写真はこんな感じ」
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- 「なるほど。この張出し架設の施工って支間が220mもあるから、とっても時間がかかるんじゃないですか?」
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- 「うん。よこちゃんの言う通り、普通に施工したらとても時間がかかるのだけど、この工事では工期短縮が必要だったから、張出し架設には超大型移動作業車というのを使ったんだよ」
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- 「超大型!って何ですか?なんか名前だけですごそう!」
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- 「超大型は、一般型に比べてすべての部材がほぼ2倍のサイズになっていて、一般型の2倍くらいのブロック長で施工ができるんだよ」
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- 「本当だ!大きさがまったく違いますね。それで何が変わるんですか?」
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- 「張出し施工するブロック数を少なくできるんだよ。ブロック割を比べるとこんな感じ。超大型はサイズが2倍だから、ブロック数が半分くらいになるんだ。
張出し架設の場合、1ブロックあたりの施工日数はブロック長が大きくなってもあまり変わらないから、ブロック数が減ると施工日数を大幅に短くできるんだよ」
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- 「すごーい!つながったときは、絶対感動ですね!」
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- 「うん。そうだね。ここはとても寒い地域だし、とても厳しい環境で、資材を運ぶだけでも大変だったんだ。そのような環境のなか難しい作業の連続だったから、橋がつながったときの感動は今でも忘れないよ」
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- 「施工の話を聞いてから改めて見ると、この橋がまったく違ってみえますね」
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- 「それはよかった」
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- 「ありがとうございました!!」
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- 「はあ~バンジーもして、お橋見もして、大満喫な1日でした!」
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- 「お腹すいてきちゃったね。何かおいしいものはないかなあ」
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- 「おいしい栗きんとんのお店があるよ。今日は1日、二人とも頑張ったから甘いものを食べて休憩しよう。新旅足橋の施工中によく家族へのお土産を買ったお店があって、今でもたまに買いに来るんだ」
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- 「栗きんとん?!行きましょう!!」
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- 「わっ!ハカセ復活した...!!」
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- 「ははは」
― 栗きんとん屋さんへ―
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- 「着いたよ。このお店だよ」
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- 「わーい。趣きがあって素敵な外観...!急げー!」
亀喜総本家
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- 「ははは。栗きんとんはお土産に買うとして、ここでは栗ぃむ大福を食べたらいいよ」
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- 「お餅とくりーむが柔らかほわほわで、栗も甘くておいし~」
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- 「今日は自分が携わった橋をみんなに見てもらえて嬉しかったよ。バンジージャンプの名所として賑わっているのも嬉しいね」
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- 「新しい発見がたくさんありました。ハカセ、またバンジーやりましょうね!」
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- 「バンジージャンプはごカンベンを...。でも橋があるところにはどこでも行きますよ」
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- 「じゃあ。ぼくはそろそろ帰るね」
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- 「イケ所長、ありがとうございました」
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- 「さて、我々も帰りましょうか」

2024年11月7日
行った場所:新旅足橋
雄大な自然にかかる橋!
飛び込んだら人生変わるかも!?
バンジー!
―つづく