『遠心力トンネル吹付け機』でトンネル内の低粉塵化を実証

― 立岩トンネルで常時1~2mg/m³ ―

三井住友建設株式会社(本社:東京都新宿区 社長:友保 宏)は、従来のエアー吹付け方式とは異なるメカニズムの『遠心力トンネル吹付け機』を立岩トンネル工事(静岡県熱海市)に導入し、低粉塵化(3mg/m3以下)を実証しました。

【背 景】
昨今、山岳トンネル工事の粉塵による労働災害が社会問題化しています。このため厚生労働省は、平成12年度に施工時の粉塵濃度を切羽から50m後方位置で3mg/m3以下とするガイドラインを策定しました。
通常、NATMトンネルの一次覆工に使われる「吹付けコンクリート」の施工には、エアー吹付け方式が用いられます。このエアー吹付け方式では圧縮空気で生コンクリートを圧送し、先端のノズル手前で急結剤を添加して高速度で吹付けるため、吹付け時の材料の飛散、不十分な材料混合に起因する粉塵の発生などが見られ、坑内環境の劣悪化を引き起こします。
こうした問題を解決するため、三井住友建設では、圧縮空気を用いることなくコンクリ-トと急結剤を混合攪拌し、かつ遠心力でコンクリ-トを投射する『遠心力トンネル吹付け機』を開発、このたび立岩トンネルの実施工に導入してその効果を実証しました。

【遠心力トンネル吹付け機の概要/特徴】
『遠心力トンネル吹付け機』は、本体内部の撹拌装置で急結剤とコンクリートを機械的に混合した後、高速回転する羽根を利用して吐出口から投射します。このため未混合の急結剤がほとんど発生せず、また、吐出口における吹付け材の拡散が少ないため、粉塵発生が非常に少ないという特徴があります。
また、遠心力トンネル吹付け機は従来の粉体急結剤を使用しても粉塵発生量が非常に少ない上、吹付け材料も一般的に行われているエアー吹付け方式の材料(生コンクリート)の使用が可能で、極めて経済的です。
さらに、材料の供給を止めても機内の材料は遠心力で全て吐き出されるので、吹付け機内部でコンクリ-トが固結して発生するトラブルを解消する他、作業後の清掃やメンテナンスが容易であるという特徴もあります。

[遠心力トンネル吹付け機による低粉塵の実証]
静岡県発注の道路トンネル(立岩トンネル、延長284m、断面約80m2)の現場に『遠心力トンネル吹付け機』を導入し、トンネル延長160mを対象に1200m3の吹付け施工を行いました。このときの発生粉塵濃度は切羽後方50mの位置で常時1~2mg/m3と、ガイドラインの値3mg/m3以下を確認しました。
(平成12年度のガイドライン策定以前の吹付け方式による粉塵濃度は10~15mg/m3 程度)

一般的にエアー吹付け方式の場合、粉塵濃度ガイドラインを満たすために粉塵低減剤の使用や換気設備の増設、特殊な液体急結剤の使用など種々の対策がとられますが、これらの対策はコストアップを招き、根本的な解決策に至っていませんでした。

[今後の展望]
今後、道路トンネルでの実績を重ねると共に、粉塵規制値3mg/m3以下をクリアする能力を利用して、十分な換気設備設置が難しく、粉塵濃度が高くなりがちな小断面トンネルにも導入していく予定です。

 

■吹き付け状況


遠心力吹付け機により吹き付け材を投射している状況


エアー吹き付け方式による粉塵発生状況(比較試験による)

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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