屋根散水技術が危険物倉庫を効果的に冷却
― 危険物取扱倉庫に屋根散水システムを適用し、室温を10℃以上下げる効果を実証 ―
三井住友建設株式会社（東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行）は、このたび、東洋インキＳＣホールディングス株式会社（埼玉県坂戸市）の危険物貯蔵施設に屋根散水システムを適用し、室温を10℃以上下げる効果を得ました。
屋根散水システムは、屋根に散水し、蒸発冷却効果を利用して屋根の温度を下げるシステムです。温度を下げることで、屋根からの熱負荷と放射熱がなくなり、少ないエネルギーで室内の熱環境を改善することができます。
散水状況
■ 適用の背景
危険物製造所や取扱所は、防災上様々な規制があるうえ、消防からも定期的な査察がなされ、施設の管理者にとっては重要な管理施設となっています。これらの施設で内部の建築設備に防爆仕様が求められる場合、溶剤の気化を防止するために室内を冷却しようとしても、エアコンなどは防爆仕様が必要となり、暑熱対策には多大な費用を要するという課題がありました。
このような課題をもつ危険物製造所や取扱所での冷却にあたり、屋根散水を実施・検討したいくつかの事例があり、屋根散水は、建物内部の加工が殆ど不要で防爆仕様にも対応できる点と、屋根の遮熱や断熱に比べて、より大きな冷却効果が得られることが評価されてきました。
屋根散水システムを設置した危険物貯蔵施設
屋根散水の効果
■ エネルギー自立型システムへの展開
今回のシステムでは、散水の水使用量を削減するために、間欠的な散水と天候や温度による制御を適用し、節水を図る専用の制御システムを開発・適用しました。従来は、制御盤を案件毎に設計、製作していましたが、このシステムは、制御をパッケージ化することで、工事費の削減や工期の短縮に貢献するとともに、制御に必要な電力を内蔵する太陽光パネルで供給することができます。制御盤だけでなく、散水の発停を行う電磁弁の動作も、この装置から供給することができます。太陽光発電を利用したシステムを適用することで、商用電力を使用せず、CO2を削減できるため、地球温暖化防止に貢献することができます。
更にこの制御システムは、大規模な屋根散水で必要となる「順次散水システム」※に適応することができ、工事費の削減や工期の短縮が可能です。今後はこのシステムの導入展開を図っていく予定です。
太陽光電源を利用した屋根散水制御システム
太陽光発電を利用したシステム
※順次散水システム
屋根面に散水ノズルを一定間隔に配置し、１列ごとに順次散水を行います。このため一回当たりの散水量が少なく、システムがコンパクトになり、設置コストを低減し水の使用量を節約できます。
<お問い合わせ先>
リリースに記載している情報は発表時のものです。