PC建築の解体工事に"PC鋼材中間定着工法"を初めて適用
― 解体部分の増築工事が竣工 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 則久 芳行)は、プレストレストコンクリート(以下PCという)構造の建物の解体工事において、建築分野としては我が国で初めて"PC鋼材中間定着工法"を適用し、引き続いて施工を進めてきましたが、このたび本工法を適用した解体部分の増築工事が竣工しました。
"PC鋼材中間定着工法"は、部分的に解体するPC構造物の解体部と残存部の境界において、 PC鋼材を切断する前にPC鋼材を中間部で定着しておくことで、残存部のプレストレスが失われることを防ぐ工法です。
当社では、環境負荷低減に貢献できる効果的なリニューアル工法として、今後もPC鋼材中間定着工法の適用拡大を図っていく計画です。
■ PC鋼材中間定着工法 とは
PC鋼材中間定着工法は、PC構造物を部分的に解体する場合に、PC鋼材を解体部と残存部の境界で定着しておくことにより、解体にともなってPC鋼材が切断されても、残存部のプレストレスが失われることなく、残存部の構造性能が確保できる工法です。
中間定着体は、鋼製の筒状治具とその中に注入される膨張材からなり、膨張材により発生する圧力でPC鋼材をつかんで固定するものです。
図-1 工法の概念
■ 技術開発の経緯
当社では、PC鋼材中間定着工法をPC橋を部分的に解体する際に適用する目的で技術開発を行い、川崎縦貫道路浮島橋架替え工事や名神高速道路石山高架橋補修工事などに適用してきました。このたびの工事は、プレストレストコンクリートのトップランナーである当社の独自技術を、建築分野におけるPC梁の部分解体工事に適用したもので、建築分野では我が国で初めての適用となりました。(当社調べ)
建築分野へ初めて適用するに当っては、当社技術開発センターにおいて、PC鋼材、定着具、充填モルタル、充填方法などについて実際の構造物と施工を再現して、中間定着体の定着効果などの検証実験を行い、本工法の妥当性確認を行っています。
■ 工事概要
PC鋼材中間定着工法を採用した工事は、建物の一部にPC梁を用いた建物を部分的に解体する工事で、解体する範囲と残存させる範囲との境界にあるPC梁に対してPC鋼材中間定着工法を適用しました。このたび本工法を適用した解体部分の増築工事が竣工したものです。
工事の概要は以下のとおりです。
用 途:学校
所在地:福岡県福岡市
規 模:地上4階地下1階、 延べ床面積約4,000m2
構 造:鉄筋コンクリート造
工 期:2010年10月~2012年1月
解体範囲とPC鋼材中間定着工法を適用した範囲は、図示のとおりです。
![]() 図-2 既設本館2F梁伏図 |
![]() 図-3 既設PC大梁の解体範囲 |
![]() 写真-1 セット前の中間定着体 |
![]() 写真-2 大梁のPC鋼材にセットした 中間定着体 |
■ 今後の展開
このたび、建築分野におけるプレストレストコンクリート部材の部分解体工事に、PC鋼材中間定着工法を適用することで、安全に工事を進め、かつ残存させる建物部分の構造健全性を保つことのできることが改めて確認できました。
環境負荷低減などの社会的要請もあり、今後リニューアルによる建物の長寿命化や用途変更などのニーズが高まると考えられ、当社では、これらのニーズに対応できる技術メニューとして、PC鋼材中間定着工法の適用を今後も進めていく計画です。
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