広範囲の地盤挙動を監視するクラウドシステム「GENESIS/FHQ」を開発・適用
― リアルタイムな斜面変状の見える化で土工事の高度かつ合理的な安全管理を実現 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 新井 英雄)は、土工事における広範囲な斜面の地盤挙動を監視するクラウドシステム「GENESIS(ジェネシス)(※1) /FHQ(Field Head Quarters)」を開発し、施工中の現場での導入を開始しました。
本システムは、監視が必要な複数の場所に設置した自立型地盤挙動監視局「GENESIS/FPS(Field Power Station)」(※2) から随時送信される各種計測情報(降雨量、地盤変位、地盤傾斜、地下水位、土壌水分量等)を、クラウド上で一元的にデータベース化するとともに、評価・分析して地形図上でリアルタイムに挙動を表示させるものです。
パソコンやスマホなどから常時確認が可能で、リアルタイムに変状を検出でき、土工事における高度かつ合理的な安全管理を実現します。
(※1) GENESIS(ジェネシス:Geo-Engineering Network Sensors and Intelligent Synthesis)は、当社が提唱するIT技術を活用した地盤モニタリング統合システム
(※2) 自立型地盤挙動監視局 GENESIS/FPS を実用化(2014年4月24日リリース)
【クラウドシステム「GENESIS/FHQ」のイメージ図】
■ GENESIS/FHQの特長
[1] 時系列表示から空間表示へ
一般的な地盤監視は各計測点の挙動データを時系列で把握していましたが、広範囲な地山全体の挙動を把握することは困難でした。本システムでは、各計測点情報の時系列表示に加え、挙動を地形図上に複数表示(最新、1時間前、1日前)して地山挙動の空間分布を可視化しました。
[2] クリギング法を利用した未計測点の挙動評価
地形図表示に加えて天気図などを作成する際に用いる「クリギング法」を採用することで、未計測点の挙動を平均法による評価から、局所的に特異な挙動を活かした評価が行えるようになりました。これにより、危険範囲の特定が容易になりました。
[3] 様々な計測情報の包括的で継続的なモニタリング
自立型地盤挙動監視局「GENESIS/FPS」から随時送信されてくる様々な計測情報(降雨量、地盤変位、地盤傾斜、地下水位、土壌水分量等)の一元的なデータベース化で、これまで困難であった地山全体の包括的で継続的なモニタリングが可能になりました。
【「クリギング法」による挙動評価の結果画面】
■ 開発の経緯
土工事における斜面を含めた地山全体の挙動監視は、監視網を設営するための電力網や通信網の構築に多大な労力と費用を要するだけでなく作業に危険が伴うため、これまで包括的なモニタリングができていない状況でした。そこで当社では、簡便に設置ができ、自家用発電機能とパケット通信機能を備えた自立型地盤挙動監視局「GENESIS/FPS」を活用し、各種計測情報を一元的にデータベース化するシステムを開発しました。
■ 今後の展開
今後は、計測されたデータは人工知能による変状予測の教師データとして蓄積し、予測精度の向上を目指します。
また、安全性の確保と施工管理の効率化のために積極的に「GENESIS/FHQ」を利活用するとともに、粉塵、水質、騒音等の環境モニタリング項目も追加し、環境負荷を低減する施工も実現してまいります。
<お問い合わせ先>
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