橋梁の出来形検測システム「SMC-スマートメジャー®」の完全自動化を実現

― 計測機の自動搬送により出来形管理業務の生産性が3倍に向上 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、開発した橋梁の出来形検測システム「SMC-スマートメジャー®」(※) において、3Dレーザースキャナー(計測機)の自動搬送装置を新たに開発し、計測作業から出来形の検測・帳票作成まで、一連の出来形管理業務の完全自動化を実現しました。

この度、施工中の橋梁建設現場で試験運用し、出来形管理業務における生産性が3倍向上することを確認しました。

(※) 3Dレーザースキャナーを用いた橋梁の出来形検測システムを開発(2018年8月9日リリース)

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【完全自動化した「SMC-スマートメジャー®」による検測作業の様子】

■ 完全自動化した「SMC-スマートメジャー®」の概要と特徴

[1] システムの構成

計測機によって三次元点群データを取得し、そのデータにより指定した箇所の寸法検測・帳票出力までを自動処理するソフトウェアと、新たに開発した点群データの取得を自動で行う計測機自動搬送装置のハードウェアとで構成されています。

[2] 新たに開発した計測機自動搬送装置

鉛直方向へ伸縮する鉛直ポストと水平方向へ伸縮・回転する水平ブームで構成され、移動作業車前方の横梁に取り付けます。この装置により、水平ブーム先端に設置した計測機を任意の箇所に自動で搬送・計測することができます。

[3] 検測作業の流れ

施工管理者が計測開始時刻と計測位置を予約入力するだけで、計測機は指定時間に自動搬送装置によって任意の指定箇所(複数)に搬送され、点群データを取得します。その後、取得した点群データから出来形寸法を自動検測し、帳票出力まで自動で行います。一連の作業完了時には管理者へ自動でメール通知されるため、出来形管理の完全自動化を実現するとともに、技術者のスキルに依存することなく効率的かつ高精度(検測精度は手動計測と同等レベル)の出来形検測結果を得ることができます。

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【自動搬送装置の構成】

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【自動検測した出来形寸法(イメージ)】

■ 完全自動化による効果

本システムの試験運用において、施工管理者の延べ労働時間を従来の計測手法と比較しました。従来手法では、発注者の検査を実施するための事前計測や帳票作成、また検査時の写真記録など1断面当たりの延べ労働時間が45分であるのに対し、完全自動化された本システムでは15分に短縮され、生産性が3倍に向上することを確認しました。また、将来的には遠隔での検査の可能性も期待できます。

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【従来手法との出来形管理業務時間の比較】

■ 今後の展開

建設業界では、高齢化と若年層の建設産業離れによる担い手不足が大きな課題になっており、 当社では建設現場における生産性の向上やICTを活用した働き方改革により省力化・省人化に取り組んでいます。

今後は、新たに開発した計測機の自動搬送装置の更なる改良に加え、本システムを他の構造物や工場プレキャスト製品などへの適用拡大を図ることで、更なる省力化・省人化を進めてまいります。

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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