プレキャスト床版の接合工法「サスティンジョイント®」を初適用
― シンプルな継手で、生産性向上・高品質・環境負荷低減を実現 ―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 近藤 重敏)は、プレキャスト(PCa)床版の接合工法「サスティンジョイント®」を、名神高速道路 長良川橋床版取替工事において初めて適用しました。
近年、建設工事において環境への配慮や生産性向上が求められている中、本工事では環境配慮型コンクリート「サスティンクリート®」(※)に、あき重ね継手を組合せたサスティンジョイントをPCa床版接合部に採用しました。サスティンジョイントは、従来工法のループ継手と比較して継手幅を半減でき、追加の補強鉄筋も不要で生産性が大きく向上します。また、収縮が少ないコンクリートでひび割れリスクを低減し、高品質な継手を実現しました。
(※) 材料に由来するCO2排出量を40%~最大90%削減する当社が開発した環境配慮型コンクリート
【関連リリース】
プレキャスト床版の接合工法「サスティンジョイント™」を実用化(2021年03月19日)
プレキャスト床版の新たな接合工法「サスティンジョイント™」を開発(2020年11月20日)
【初適用した「サスティンジョイント」のイメージ図】
■「サスティンジョイント」の特徴
本工法の特徴は以下のとおりです。
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生産性の向上
PCa床版の間詰め部に鋼繊維を配合した超高強度のサスティンクリート(超高強度繊維補強サスティンクリート)を使用することにより、従来工法のループ継手と比較し、橋軸直角方向の補強鉄筋が不要となり、現場での配筋作業を省力化。さらに、あき重ね継手としたことで、継手部の幅を約半分にすることができ、間詰めコンクリートの打設量を削減します。
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高品質化・高耐久化
使用する超高強度繊維補強サスティンクリートは、圧縮強度が160N/㎜2で、従来の超高強度コンクリートで発生する乾燥収縮や自己収縮が大幅に低減できます。また、硬化時の発熱(水和熱)は普通強度のコンクリートよりも小さく、ひび割れ発生リスクを低減し高品質で高耐久な継手を実現します。
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環境負荷低減に貢献
構成材料の約4割に産業副産物を用いる超高強度繊維補強サスティンクリートを用いることで、製造時のCO2排出量を従来の超高強度コンクリートの6割程度に低減できます。
■ 長良川橋床版工事での取り組み
本工事では、下部工基礎の補強を避けるため、床版取替え後の重量増加を抑えることが求められました。そこで、鉄筋の曲げ加工による床版厚の制限を受けない超高強度繊維補強サスティンクリートを用いたあき重ね継手構造である「サスティンジョイント」を採用し、床版厚を190㎜として軽量化を実現しました。また、あご付き構造により、継手コンクリート打設時の継手部下面の型枠設置・解体作業が不要となり、省力化も実現しました。なお、本工事で用いた超高強度繊維補強サスティンクリートは、打設サイクルに柔軟に対応するために現場近くに移動式のプラントを設置して製造しました。
【PCa床版の架設】 |
【サスティンクリートの打設】 |
■今後の展開
今後は、本工法の更なる現場適用を提案するとともに、今回の適用で得られた知見を活かし、環境負荷が少なくかつ生産性向上に資する技術として広く普及を目指してまいります。
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