SMC Tunnelingシリーズ「AI de 先ヤマ(発破編)」を開発

― AIによる自動化技術で効率的な発破作業を実現 ―

三井住友建設株式会社(東京都中央区佃二丁目1番6号 社長 柴田 敏雄)は、トンネル施工の生産性を向上させる技術であるSMC Tunnelingシリーズの新たな技術として、山岳トンネル工事における発破作業の効率化を目的に、AI(人工知能)を活用した発破パターンの自動選定技術「AI de 先ヤマ(※1) (発破編)」をユニアデックス株式会社の協力のもと開発しました。

本技術では、トンネル掘削時の爆薬配置計画である発破パターンの選定に、熟練トンネル特殊工(以下、熟練工)の暗黙知を活用し、発破孔の削孔や装薬時に得られる様々なデータをAIに学習させることで、地山状況に適した発破パターンを自動で選定・提案します。

これにより、熟練工の視点での発破作業が可能となり、担い手不足の解消、発破作業の効率化および安全性の向上が期待されます。

(※1) 先ヤマとは、トンネル掘削において、掘削作業を行うトンネル特殊工の中で切羽きりは(掘削面)状況を判断し、状況に応じた作業の指示をする熟練の作業指揮者。

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【AIによる発破パターンの選定イメージ】

■ 開発の経緯

山岳トンネルにおける発破作業では、熟練工が1サイクル手前の削孔パターンや装薬量、発破後の仕上り、削孔状況をもとに次の切羽(掘削面)状態を観察し、経験に基づいて最適な発破パターンを選定しています。しかし、これまではトンネル特殊工の技量によって発破後の仕上がり、削孔数、装薬量にばらつきが生じていました。さらに、熟練工の減少や高齢化が進む中、現場作業の暗黙知の継承と作業の効率化が喫緊の課題となっています。

これらの現状から、当社は、SMC Tunnelingシリーズ「きれいni発破」を開発し、ドリルジャンボの削孔データから適正装薬量を自動算定し、モニタ表示で「見える化」するシステムを導入しました。さらに今回、このシステムを大きく発展させ、熟練工の発破作業を再現するために、削孔・装薬作業の暗黙知をデータ化し、AIに学習させることで地山状況に適した発破パターンを提案するシステム「AI de 先ヤマ(発破編)」を開発しました。

■ 本技術の特徴

[1] AIによる発破パターン選定

掘削ごとに取得した削孔・装薬データを基に、次の切羽に適した発破パターン(削孔位置、削孔角度、削孔長、装薬量)をAIが選定します。選定後、ナビゲーション機能付きのセミオートドリルジャンボでは、モニタに表示されたパターンに合わせて手動で発破孔を削孔します。また、フルオートドリルジャンボでは、モニタへの表示とともに自動で削孔します。

[2] 現地条件に合わせた最適な発破作業

適切な発破パターンを提案することで、トンネル掘削速度の向上、削孔数・装薬量の減少、地山の緩みを最小化し、トンネルの変形や沈下を抑制、地山の損傷を最低限に抑え、肌落ち(※2) を防止し、安全な発破作業を実現します。また、切羽における余掘り(※3) や当たり(※4) の少ない、熟練工が行っている効率的な発破作業が可能となります。

(※2) 肌落ち:切羽の表面から岩塊が崩れたり剥がれたりする現象

(※3) 余掘り:所定断面以上に掘削された部分

(※4) 当たり:掘削が不足している部分

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【「AI de 先ヤマ(発破編)」アプリ画面イメージ】

■ 今後の展開

今後は、本技術を積極的に現場適用するとともに、引き続き、削孔・装薬時に得られる様々なデータを収集し、熟練工を超える削孔位置、最小装薬量の予測・提案を目指し、AIモデルの精度向上とシステム改良を図り、弊社のトンネル工事における生産性向上技術として確立していきます。

<お問い合わせ先>

本件についてのお問い合わせは、下記までお願いいたします。

三井住友建設株式会社
経営企画本部 広報室
〒104-0051 東京都中央区佃二丁目1番6号
TEL: 03-4582-3015 FAX: 03-4582-3204

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