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  4. #39 新接岨大橋

橋をつくり続ける会社の橋好き女子、
その名も「橋ガール」!
「橋好き女子」が勝手に橋の魅力を紹介しちゃう
プチプロジェクト。
『お橋見』のためなら日本全国、
いや世界の果てまでいってきまーす!

#39 新接岨大橋

~ 安倍川橋をお橋見した翌日 ~

キタちゃん
「さあ、今日は気持ちを切り替えてタカ先輩にオススメしてもらった大井川水系でお橋見ですよ!とっても良い天気!」
ツカちゃん
「良い天気というか...陽射しが強すぎませんか?」
キタちゃん
「確かに、橋の上は屋根も無いし日傘が欠かせないわ...あれ、あそこの日傘をさしてる人、ハカセじゃない?」

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ツカちゃん
「本当だ!ハカセ!こんにちはー!」
ハカセ
「こんにちは。安倍川橋のお橋見は楽しめましたか?」
キタちゃん
「はい、当社では珍しい鋼橋ということもあって、新鮮な気持ちでお橋見できました!」
ツカちゃん
「静岡市役所の堀井ハカセにたくさん説明をしていただいて、100年間市民の生活を支える偉大さをばっちり学んできました!」
ハカセ
「楽しまれたようで何よりです」
ツカちゃん
「ハカセも来ればよかったのに」
ハカセ
「私はコンクリート橋専門なので...と言いつつ今は木橋の上ですが。お二人とも、この橋で何か気がつくことはないですか?」
キタちゃん
「気がつくこと...木造なので歩くと少し揺れますね、えいっ(軽くジャンプする)」
ツカちゃん
「わっ、やめてくださいよ...。それもありますけど、かなり長い橋ですよね。向こう側がずいぶん遠くに見えます」
ハカセ
「そう、よく気がつきましたね。この橋は『蓬莱橋』と言いまして、全長897.4mの『世界最長の木造歩道橋』としてギネス世界記録に認定されているんですよ」
ふたり
「世界最長!」
ツカちゃん
「確かに、今まで歩きながら話していたけどやっと真ん中だって」

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キタちゃん
「ところでハカセ、もしかして今日のお橋見は蓬莱橋なんですか?大井川水系とは聞いていましたけれど」
ツカちゃん
「鋼橋の次は木橋ということ?」
ハカセ
「いえ、残念ながらこの橋は当社の施工では無いのですが、ぜひ紹介したかったので。それに、ここはお橋見スポットでもあるんですよ」
ツカちゃん
「えっ、橋からお橋見!?」
ハカセ
「ここから見える大井川橋は当社で施工したのですよ」

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ハカセ
「このように大井川水系には当社施工の橋がいくつも架かっています。今日のメインはここからもっと内陸に架かっているのです」
キタちゃん
「それなら早速お橋見に行きましょう!」

~ 移動中 ~

キタちゃん
「さて、見慣れない駅につきましたけど...千頭駅?」
ツカちゃん
「ここに橋があるんですか?」
ハカセ
「いえ、ここから更にこちらの電車に乗ります」

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キタちゃん
「おお!大井川鐵道ですね!」

ハカセ
「それではいざ、大井川鐵道に乗って!」
ふたり
「しゅっぱーつ!」

~ 乗車 ~

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ツカちゃん
「空調が無いって聞いてどうしようかと思ったけれど、走っていると窓から風が入ってきて気持ちいいね!」
キタちゃん
「蓬莱橋の上から見た大井川とは雰囲気が変わったね、どんどん水の色が青くなってる!」
ハカセ
「さすが絶景スポットとして取り上げられるだけありますね。さて、実はこれから通るトンネルに、当社施工のものがあるんですよ」
キタちゃん
「えっそうなんですか?」
ツカちゃん
「お橋見ならぬトンネル見ですね!」
キタちゃん
「と言っても、走る電車の中からわかるんですか...?」
ハカセ
「外に設置されている銘板に書かれているはずです...!あっ!ここですよ!」

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ふたり
「えっ!」

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ツカちゃん
「あっ!見えた!」

キタちゃん
「なんだか...普通に読めたね。ひらたトンネル?」
ツカちゃん
「なんだかスピードがゆっくりになっていない?私たちが銘板を見られるようにかな?」
ハカセ
「このトンネルは『平田(ひらんだ)トンネル』と言って、1988年に住友建設が施工しました。電車がゆっくり進んでいたのは、トンネル内部に飾られている沿線の写真をよく見てもらうためですよ」

キタちゃん
「なあんだ、てっきり『歓迎!橋ガール!』なのかと思った」

ツカちゃん
「フォトギャラリーになってるんですね。そうやってトンネルを通るあいだも楽しめるように工夫してくれるのは有難いですね」
キタちゃん
「トンネルも、いろいろな楽しみ方がありそうですね~」
ハカセ
「さて、次の駅がいよいよ目的地です」

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キタちゃん
「先ほどとは打って変わって、森の中ですね...」

ツカちゃん
無人駅だ...」
ハカセ
「ここから歩いてすぐですよ」
キタちゃん
「ねえ、さっき駅で見かけた貼り紙なんだけど...」

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ツカちゃん
「元気よくおしゃべりしながら向かいましょう!!!」

ハカセ
「熊よけには、ひとの居ることを教える方法があるそうですからね(元気だなあ)」
ハカセ
「着きましたよ、ここが今日のお橋見のメイン『新接岨大橋』です」
キタちゃん
「うわあ!大きい!」

橋の概要

名称
新接岨大橋
位置
静岡県榛原郡本川根町(旧)~ 静岡市
構造形式
RC固定アーチ橋
橋長
215.0m
架設工法
メラン併用張出し架設工法
竣工年
2000年

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ツカちゃん
「というか、開けた場所に来たからわかったけど、すごく山の中!!
ハカセ
「ここは接岨峡といって、新接岨大橋はこの渓谷を挟んだ140mというかなり広い支間が特徴のアーチ橋なんですよ」
キタちゃん
「ハカセ、こんなところにどうやってアーチ橋を架けるんですか?」
ハカセ
「このアーチ橋はメラン材を併用した張出し架設で施工されています。橋台上にある橋脚からPC鋼材で斜めに吊りながら移動作業車を使用してアーチリブを施工します。ある程度のアーチが出来たところで、軽量な鋼部材のメラン材を用いてアーチを閉合して、その後はアーチリブをコンクリートで巻き立てたらアーチリブの完成です。」

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ハカセ
「これが施工中の写真です。閉合部のメラン材を架設しているところで、左右に見えるアーチリブを吊っているのが斜吊り材です」

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キタちゃん
「こんな山奥ですごい施工方法で作られたのですね。普通にコンクリートを打つことだけでも難しそう」
ツカちゃん
「確かに。コンクリートで打つときは当然、固まってないじゃないですか。アーチリブの斜めのところはコンクリートを打っても流れてしまいそうだけど、どうやって作ってるんですか」
ハカセ
「それはですね、アーチの部分をよく見てください。アーチリブの上面に薄っすら線があるのが見えませんか?」

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ハカセ
「ところどころに線のようなものがあるのがわかりませんか?」

ツカちゃん
「あ、本当だ!」
ハカセ
「あの線はアーチリブの上側に型枠を使用した名残りです。打設するときのコンクリートは固まってないので、勾配が大きいアーチリブの施工では上側にも型枠を使って施工しています」

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キタちゃん
「あの線があるところは、上側に型枠を使ってたのですね」
ハカセ
「そうです。では実際に、橋を渡ってみましょう」
ツカちゃん
「うわー!いい眺め!」
キタちゃん
「あっ、この橋、市境でもあるんですね」

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ハカセ
「この橋は"新"接岨大橋と呼ばれているように、もともと「接岨大橋」があったんです。しかし、下流にダムが出来たことにより、接岨大橋が将来水没する可能性が生じました」

ツカちゃん
「ダムって、さっき電車の中から見えたところだよね」

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ハカセ
「はい、そして接岨大橋は、当時この静岡市井川地区と本川根町とを結ぶ唯一の道路でもありました」

キタちゃん
「それは無くしたらダメだ!」
ハカセ
「そこで、架け替えと同時に連絡時間の短縮をはかるバイパスルートとして整備されることになったんです」
キタちゃん
「なるほど、より多くの行き来を見込んでの大きさでもあるんですね」
ツカちゃん
「ところで、元の接岨大橋は本当に沈んでしまったんですか?」
ハカセ
「いえ、まだ残っているんですが、橋に向かう道自体が落石の危険があって通行止めになっています」
ツカちゃん
「どちらにせよ、新接岨大橋があって良かったんだ...」
ハカセ
「紅葉の絶景スポットだったそうなので、残念ですね」
キタちゃん
「紅葉と新旧接岨大橋のお橋見、したかった~!」
ツカちゃん
「でもこの橋の上からでも充分絶景だよ!」

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キタちゃん
「確かに、さっき下から見上げたときも緑とアーチ橋がよく映えてたね」

ハカセ
「新接岨大橋のかたちは、接岨峡が観光名所であることも考慮されたんですよ」
ツカちゃん
丈夫さと美しさを兼ね備えたのが新接岨大橋ということですね!」
キタちゃん
「100年現役の安倍川橋のこと、時代に合わせて進化した橋だと思いましたが、時代に合わせて架け替えられることもまた「進化」ですね!」
ハカセ
「そうやって、橋はさまざまなかたちで私たちのより良い暮らしを守っているんですよ」
ツカちゃん
「初めてのお橋見でしたけど、とっても勉強になりました」
キタちゃん
「私たちも進化していかないと!」
ハカセ
「それではそろそろ帰りましょうか」

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ツカちゃん
「そういえばこの辺り、温泉もあるんですね」
ハカセ
「はい、接岨峡温泉ですね。なんでも"若返りの湯"だとか...」
キタちゃん
「えっ!早く教えてくださいよ!」
ツカちゃん
「あ~~通りすぎちゃった~...」
ハカセ
「(進化するんじゃなかったのかな...)」

  • 今回登場した大井川鐵道井川線は2024年4月現在、鉄道施設点検のため閑蔵駅を含む接岨峡温泉駅~井川駅間の運転を見合わせ、千頭駅~接岨峡温泉駅間での折返し運転を行っております。
    運行情報などの詳細は大井川鐵道公式ホームページをご確認ください。

―つづく

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