高強度コンクリートの爆裂抑制技術(FPC工法)、(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得

―FPC工法研究会―

FPC※1 工法研究会(株式会社淺沼組、安藤建設株式会社、株式会社鴻池組、株式会社錢高組、鉄建建設株式会社、東亜建設工業株式会社、株式会社長谷工コーポレーションおよび三井住友建設株式会社 :事務局 安藤建設株式会社 技術研究所 049-267-3500)は、(財)日本建築総合試験所において平成16年3月2日付けで高強度コンクリートの爆裂抑制技術(FPC工法)の建築技術性能証明※2(GBRC性能証明 第03-15号)の認証を取得しました。
FPC工法は、鉄筋コンクリート造(以下RC造と略す)の柱部材に使用する設計基準強度が60N/mm2を超え、120N/mm2以下の高強度コンクリートにポリプロピレン樹脂粉末を1~3kg/m3混入して、部材の耐火性能を向上させる技術です。

■背景
近年、高強度コンクリートを用いたRC造部材が火災加熱を受けると、部材表層部分のコンクリートが爆裂により剥落する可能性が高いことは、周知の事実となってきています。
爆裂抑制あるいは防止のために一般にはRC造部材にモルタルや鋼板巻きなどの耐火被覆を施す工法があります。しかし、それらの工法では部材断面の増加といったデメリットもありました。
そこで、FPC工法研究会では、融点が比較的低いポリプロピレン樹脂粉末を高強度コンクリートに少量混入することによって、フレッシュコンクリートの性状変化も小さく、かつRC造部材の耐火性能を向上させることを目的に火災時の爆裂を抑制する技術を開発しました。

■FPC工法の特徴
FPC工法に用いるポリプロピレン樹脂粉末には、融点が約165℃、密度が約0.9g/cm3の粉末を使用しています。
また、粉末状であることからコンクリートへの練混ぜ影響も少なく、分散性に優れております。 FPCコンクリートは、通常の高強度コンクリートと同等な製造方法、あるいは現場におけるアジテータ車による撹拌で容易に製造することができます。
これらのことからFPC工法は通常の高強度コンクリートと同様の設計・製造・施工が可能であり、使用に際して特別な制約は有りません。
また、被覆工法と比べて部材断面の増加もなく、居住空間を有効に利用できるメリットがあります。

■開発実験
開発実験では、圧縮強度や耐久性および小型試験体による爆裂性状の確認などの基礎物性を把握した上で、実際の建物の柱を想定したモデル試験体を用い、(財)日本建築総合試験所において火災を再現した載荷加熱試験を実施しました。
その結果、FPCコンクリートを用いたRC造柱の設計荷重下の耐火時間は180分以上となり、ベースコンクリート※3を用いた部材より耐火性能が確実に改善されることが確認されました。
また、FPCコンクリートは、圧縮強度、ヤング係数、長さ変化および促進中性化試験において、ベースコンクリートと同等の性能を有していることも確認されました。

■特許その他
本工法に関する特許は、現在、出願中であります。
また、FPC工法は、「FPC工法設計・施工指針」に基づき、開発8社の責任において施工することとなっております。
今後、開発各社は高強度コンクリートを用いる超高層RC造建築物の受注を目指し、本工法の普及展開を図っていく予定です。

※1 FPC
Fire Performance Concrete の略称
※2 建築技術性能証明
新しく開発された建築技術の性能を第三者の立場から評価し、設定した認証基準を満たしていることについて性能認証書を発行する。または、その技術が達成している性能について性能証明書を発行する制度です。

※3 ベースコンクリート
FPCコンクリートからポリプロピレン樹脂粉末を取り除いたコンクリート

載荷加熱試験後の試験体状況


ベースコンクリート


FPCコンクリート

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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