東京都下水道工事の分岐トンネルで [JUC工法] によりシールドを坑内発進

―JUC工法 (Joints in Underground Conveniently)―

三井住友建設株式会社(本社 東京都新宿区 社長 友保宏)は、シールドトンネル内から安全かつ容易に分岐・接合トンネルの施工を可能にする『JUC工法』により、東京都の下水道トンネル工事で初めて坑内分岐シールドを発進しました。分岐シールドは昨年11月に、分岐部に設置されたJUC工法用特殊セグメントを直接切削して発進を開始した後、分割型マシンの組立と掘進を繰り返して本年1月に初期掘進を完了し、本工法の安全性および実用性を確認しました。

東京都下水道局発注、三井住友建設JV施工の「杉並区堀ノ内一、二丁目付近枝線工事」および「同工事その2」は、流域面積114haの雨水を大深度地下雨水貯留管(和田弥生幹線φ8,500㎜、総貯留量約120,000t)に収容するため、本管(φ2,400㎜、延長990m)とその中間に合流する枝管(φ1,350㎜、延長479m)の2路線の下水道管渠を泥水加圧式シールドにより施工します。

合流箇所の地上部は道路幅員が約5mの狭隘な生活道路の交差点で埋設物も輻輳しており、しかも、先行トンネルが半径15mの急曲線区間に位置しているため、立坑を必要とせず急曲線部にも対応可能な分岐・接合技術として、坑内発進方式による『JUC工法』が採用されました。

昨年度、先行シールドトンネルの施工時に、シールドマシンで直接切削可能なJUC工法用特殊セグメントを分岐予定位置に組み立てました。特殊セグメントには当初より開口補強部材が組み込まれており、エントランスパッキンと反力鋼材を設置すれば、坑内分岐シールドを発進することができます。

本工事では、先行シールドトンネルの一次覆工内径φ2,900mmから発進できる径としては最大級の掘進機(外径φ2,130mm)の坑内発進であり、分岐シールド機の先行一次覆工トンネル内搬送およびR=15mの急曲線部からの斜め発進を考慮して、全体を7分割の組立型としました。発進はシールドマシン前胴部にかぶせたエントランスパッキンを設置した後、順次シールドの掘進・組立を行いながら4回に分けて行いました。

施工にあたっては以下の検討および管理を行うことにより、当初計画通りの切削・発進ができ、採用したシールドマシン面板およびビット形状・配置の妥当性ならびにセグメントを撤去しない直接切削によるシールド発進の高い安全性が確認できました。

  • 特殊セグメント切削部の補強繊維入り高強度高靭性モルタル(170N/mm2)切削のためのシールドマシン面板およびビット形状・配置事前検討性
  • 三次元モデルによる切削シミュレーション
  • セグメントの計測管理
  • ジャッキの微少流量制御による掘進速度制御

 

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