ジョイ工法(機械式継手を内蔵した柱梁接合部工法)を開発-(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得-

■ 概要

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、従来より鉄筋コンクリート構造物における高品質・短工期・低コストなどの顧客ニーズに応えるべく、柱・梁などの主要構造部の施工法の研究開発に取組んでいます。

このたび、鉄筋コンクリート構造の新たな柱梁接合部工法として、「ジョイ工法※1(機械式継手※2を内蔵した柱梁接合部工法)」を開発し、2007年11月6日に財団法人日本建築総合試験所(理事長 森田司郎)の建築技術性能認証委員会(委員長 松井千秋九州大学名誉教授)において建築技術性能証明を取得しました。

今般取得した性能証明では、独自のジョイ工法設計指針に従って設計した機械式継手内蔵の柱梁接合部は、設計で要求される長期荷重時、短期荷重時および終局強度時の性能を満足することが認証されています。

■ 背景

集合住宅の構造形式としては、耐久性・造形性・経済性・音や振動に対する居住性といったさまざまな面で優位となる鉄筋コンクリート造が主流になっています。鉄筋コンクリート造では、鉄筋を接合することが必要になりますが、最近では種々のメーカーにより市販されている機械式継手が広く使われるようになってきました。

機械式継手は各々で適用範囲が定められており、梁主筋の接合に機械式継手を用いる場合には、地震時に変形性能が要求される梁の端部や、鉄筋とコンクリートとの付着応力の大きくなる柱梁接合部を避け、梁部材の中央部付近を継手部とすることが必要でした。
しかしながら梁の部材内で鉄筋を接合すると、その部分は現場での配筋作業、コンクリート打設が不可欠になることから、梁をプレキャスト※3とする場合でも、梁部材内に後打ちコンクリート部を設けており、1スパンの梁を一体のプレキャスト部材とすることができませんでした。すなわち、プレキャスト工法でも、現場での部分的な配筋・型枠作業、タイルの後貼りなどの仕上げ作業が発生し、施工計画や仮設計画に影響していました。

そこで三井住友建設では、2004年から2007年にかけて柱梁接合部に機械式継手を用いた柱梁架構に対するさまざまな構造実験を実施し、構造性能を検証してきました。これらの実験結果に基づき、このたび独自の設計指針を作成して建築技術性能証明を取得しました。

■ ジョイ工法とは

ジョイ工法は、梁主筋の接合用として柱梁接合部内に機械式継手を内蔵した、鉄筋コンクリート造柱梁接合部の工法です(図1参照)。本工法は、場所打ちRC造あるいはプレキャストRC造の梁の主筋を、図2で例示するようなモルタル充填式の「スリーブ継手」またはモルタル注入式の「カプラー継手」を用いて柱梁接合部内で接合し、コンクリートを場所打ちすることによって柱梁接合部を構築するものです。本工法によれば、梁部材内に鉄筋継手および打継ぎ部位が不要となり、高品質かつ施工性に優れた架構とすることができます。

■ ジョイ工法の特長

「ジョイ工法(機械式継手を内蔵した柱梁接合部工法)」は、以下のような特長を有しています。
(1) 柱梁接合部内で梁主筋を接合する工法であり、1スパンの梁部材全体をプレキャストとすることが可能となります。これにより、部材内に打継ぎ部のない、高品質の躯体構造とすることができます。
(2) 場所打ち部を柱梁接合部に集約させることにより、施工時の品質管理の重点部位を明確にし、品質確保を確実にすることができます。

■ 今後の展開

三井住友建設では、これまでにも柱梁の主要構造部材に場所打ちコンクリートによる接合部を設けない柱梁フルプレキャスト工法(スクライム工法)など種々のプレキャスト工法を開発し、すでに多くの適用実績がありますが、今般、建築技術性能証明を取得した「ジョイ工法」を新たなメニューに加え、さまざまな集合住宅に最適な構工法を適用することで、さらに高品質と短工期を実現する住宅を提供してまいります。

■ 説明図・写真


図1 ジョイ工法の概要

図2 機械式継手の例

図3 ジョイ工法の基本手順
(プレキャスト工法に適用した場合の例)

写真1 適用例
(スリーブ継手の例、柱梁接合部を上方から見た写真)

※1 ジョイ工法(JOI工法:JOints Inside of the panel zone)

※2 機械式継手:「スリーブ継手」と「カプラー継手」に分類される鉄筋を接合する継手。スリーブ継手は、内面に凹凸のついた比較的径の大きい鋼管(スリーブ)に両側から鉄筋を挿入し、スリーブ内に高強度の無収縮モルタルを充填して鉄筋を接合するものである。一方、カプラー継手は、ねじ節鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカプラーを用いて鉄筋同士を接合した後、カプラーと鉄筋のすき間にモルタルまたは樹脂を注入する方式と、カプラーの両端からロックナットを締め付けるトルク方式がある。
ジョイ工法では、柱梁接合部内で「鉄筋継手判定基準によるA級」※4以上の機械式継手を使用することとしている。

※3 プレキャスト:工場や現場構内で鉄筋コンクリート部材を製造すること。

※4 鉄筋継手判定基準は、「2007年版 建築物の構造関係技術基準解説書(監修:国土交通省住宅局建築指導課ほか)」に示されている鉄筋継手の判定基準である。継手の性能は、SA級、A級、B級、C級に分類され、各性能ごとに性能試験時の判定基準が定められている。ジョイ工法で用いるA級継手は、「強度と剛性に関して母材並みであるが、その他に関しては母材よりやや劣る継手」である。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

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