ミックPCa構法を開発し、短工期施工を実証-大規模物流倉庫に初めて適用-

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、物流倉庫などの建物において、工期短縮などの事業主のニーズに応えるべく、当社開発のミック構法のプレキャスト化をさらに進めて、柱仕口部を分割プレキャストとし高い品質を確保しつつさらなる短工期・施工性向上を実現する「ミックPCa構法」を新たに開発しました。このたび、本構法を大規模物流倉庫の工事に適用し、工期短縮の効果と良好な施工性を実証しました。

*ミック構法(Mitsui Sumitomo Integrated Composite System) :
  柱が鉄筋コンクリート造(RC造)、梁が鉄骨造(S造)のハイブリッド構造

■ 背景

鉄骨価格が高騰する中、従来の大スパン構造の主流である鉄骨造に代わる構法として柱をRC造、梁をS造とするハイブリッド構造が着目されています。物流施設など大規模な建物の需要が増加していますが、そのような中で、当社の開発したミック構法は、物流倉庫やショッピングセンターなど幅広い用途に適用できる短工期で低コストの構法として、多くの実績を重ねてきました。しかし近年の大規模物流倉庫では、事業工期が厳しく限定されるなど事業主のニーズは多様化・高度化し、それに応じて構法選択の幅を広げる要求から、ミック構法についてもさらなるバージョンアップが必要となっていました。

■ミックPCa構法の特長

  • コンクリート部分はオールプレキャストのため高い品質が確保されます。
  • 梁下部分と仕口部分の2分割プレキャストとすることで、フルPCa型の場合に生じる運搬上の問題(梁鉄骨ブラケットが4方向に出る)、重量加算によるクレーンの大型化などの問題が解消されます。
  • 仕口部分もプレキャスト化することにより、梁下PCa仕口部場所打ちの場合に比べて、躯体1フロアー構築当たり2日間の工期短縮ができます。

■大型物流倉庫への適用例

ミックPCa構法を、東京都品川区に計画された大型物流倉庫に適用し、工期短縮の効果を実証しました。本建物は、地上5階建てで建築面積約1万7千m2、延べ床面積約6万m2の大規模な物流倉庫で、着工は2007年1月、工期は10.5ヶ月でした。

1.工期の設定
全体工期10.5ヶ月という条件における各種工事の工期の設定については、諸条件を考慮すると上部躯体を4ヶ月(暦日)で実施することが必定となります。柱躯体のPCa化実施も必定になり、4ヶ月の工期の場合での実働日(作業実施日)は、休日・天候などによる作業不能日を考慮すると、80日になります。全体の施工ボリュームと工区分割、サイクル工程、仮設などを含め施工計画シミュレーションを行った結果、建物全体を4工区分割とし、各工区のフロアー当たりの施工日数を4日と設定(床コンクリートは後打設)しました。すなわち、基準階4日サイクル×5層=20日/フロアー(実働)による1工区/1ヶ月(暦日)の躯体システムとしました。

2.ミックPCa構法の採用 
本工事においては、工期を厳守(上部躯体工期4ヶ月)するため、以上の問題を解消すべく施工性・経済性を追究した結果、各工区のフロアー当たりの施工日数4日を実現できる構法として、ミックPCa構法による柱・仕口分割PCa施工法を適用しました。実施工は、各工区ともに図-3に示す4日サイクルで行いました。施工状況を写真-1に示します。

3.建逃げ施工法の採用
ミック構法の躯体構築法には、図-4に示す「積上げ方式」と図-5の「建逃げ方式」があります。「積上げ方式」では上部躯体に着手する段階で基礎工事がすべて完了していることが条件となり、短工期の場合には基礎工事の労務投入量が過大となるとともに、基礎工事の遅延が直接的に全体工期に影響を与える恐れがあります。また、「積上げ方式」では最上階の躯体の完了時期が遅れるために、屋根工事、外装工事等の早期着手が難しい状況などが発生します。
一方、「建逃げ方式」は適正な工区分割を行うことにより基礎工事段階の労務の平準化を図ることができ、また、部分的とは言え屋根工事・外装工事の早期着手も可能になります。例えば、計画建物の全体を4工区に分割した「建逃げ方式」の躯体工事では、「1工区-ミック躯体」、「2工区-埋め戻し・マット下捨てコン」、「3工区-基礎躯体」、「4工区-掘削工事」のように複数工種の併行作業が可能になります。
以上を踏まえ、本工事では、全体工程の短縮を図るうえで有利である「建逃げ方式」を採用する計画としました。

4.ミックPCa構法採用の効果
本物件は、5階建てで全体工期が10.5ヶ月という短工期でしたが、ミックPCa構法および建逃げ施工法を適用することにより、1フロアー4日(11工区当り4日×5階=20日→20×4工区=80日:実働)により、上部躯体を4ヶ月で完了することができました。

■今後の展開

ミックPCa構法の実績は、フルPCaによる案件を含め3物件あります。工期が許せば柱のRC部位を現場打ちにする工法が低コストとなりますが、事業主のニーズに応えるべく短工期施工を実現するうえで、今後PCa化による施工法採用も増加してくるものと考えられます。当社ではミックPCa構法を含めたさらなる技術開発を続け、事業者のニーズに応えるべく、高品質・低コスト・短工期・高機能を追究・展開していく方針です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

以 上


図-1 ミック構法仕口部の構成

図-2 ミックPCa構法のバリエーション


図-3 4工区分割の作業進捗状況

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