「サステナブルファクトリー」生産施設向けに提案・営業展開

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿七丁目5番25号 社長 五十嵐 久也)は、「サステナブルファクトリー」構想を構築し、生産施設を有する企業を対象として、積極的な提案・営業展開を開始しました。サステナブルファクトリーとは、企業にとっての事業継続性、省エネ・LCC縮減、更新容易性、生産性向上など近年求められているニーズに総合的に応えられる持続的発展可能な生産施設のことです。

■ 経緯

弊社では、これまで精密機械工場・食品工場など多種多様な分野の生産施設や、熱・振動・粉塵を発生させる工場など、さまざまな作業環境の生産施設を手がけてきており、生産施設に応じた企業のニーズを多角的に捉えて分析し、解決策を提供してまいりました。また、近年では、事業継続計画(BCP)や防災への意識の高まりから、事業継続に関する顧客のニーズに応えたさまざまな提案・営業展開を行い、支援業務の実績を積み重ねてまいりました。このような経験から、生産施設の持続的な発展を願う企業のニーズに応えることのできる「サステナブルファクトリー」構想をまとめ上げたものです。

■サステナブルファクトリーとは

企業にとっては、生産施設は建物そのものの持続性よりも生産活動の持続性の方がより重要です。すなわち、事業の持続的発展のためには、減災や環境問題だけでなく、迅速な新製品の投入のために生産品目の変更に柔軟に対応することも重要な要素となってきます。サステナブルファクトリーとは、事業継続性、省エネ・LCC縮減、更新容易性、生産性向上など近年求められているニーズに総合的に応えられる持続的発展可能な生産施設のことです。(図1参照)

■サステナブルファクトリーの特徴

弊社の提案するサステナブルファクトリーは、事業継続性、省エネ・LCC縮減、更新容易性、生産性向上の4つの要素から構成されます。これまで、各要素は独立して提案されることが通例でしたが、サステナブルファクトリーでは各要素が有機的につながって生産機能を推進することで持続的な発展を可能とします。(図2参照)

・事業継続性
施設計画の段階から、企業のBCP戦略に合わせた施設設計を提案します。ビジネスインパクト分析や目標復旧時間に応じた施設の仕様の選定、災害など事業中断が生じた際の支援体制や支援ツールの提供などを行います。(図3参照)

・省エネ・LCC縮減
生産施設のコストパフォーマンスを考えるとき、省エネさらにはライフサイクルにわたってのコスト(LCC)は、企業のもっとも大きな関心事のひとつです。弊社では、企業の既存施設や過去の類似施設の設計・施工実績などのエネルギー使用実態に関するデータに基づき、エネルギー消費予測システムを用いて、経済効果を明示しながら省エネ提案・LCC縮減できる環境配慮型生産施設の提案を行います。

・更新容易性
生産ラインの経済的かつ効率的な減災メニューを体系化するとともに、ライン生産方式のセル化変更計画や、その逆のセル生産方式のライン化変更計画、設備ユーティリティの可変計画などラインの更新容易性・可変性を有する工場建築システムを設計することによって、機能面で持続的である工場建築を提案します。

・生産性向上
工場建築の設計にあたり、通常は、生産量を効率的に最大化させる生産ラインおよび施設の計画に着目しがちですが、それだけでなく、作業環境の快適さなど人間工学的な側面から生産性向上に寄与する施設計画を提案します。作業従事者の不便を改善することは、作業の持続性、ひいては工場生産性の向上が図れ、顧客にとっての事業の継続性に貢献するものと考えています。

■今後の対応

弊社では、本年4月よりエンジニアリング本部を本格稼働させ、これを核として生産施設に関する技術提案営業力を強化し、戦略的営業展開の一元化を進めることとしました。設計・施工に関しては従来通り設計本部・各支店と連携して行う体制を整え、三井グループ・住友グループをはじめとしたさまざまなメーカーの固有のニーズへのこれまでの対応内容についての分析や事業継続性を中心にした詳細なヒアリングを行ってきました。これらに基づいて各種エンジニアリング技術をより顧客側の視点で再構築するに至りました。
今後は、それぞれの企業(製造分野)向けに最適なエンジニアリング技術の組み合わせでカスタマイズしたものを基本としたサステナブルファクトリーを生産施設向けの総合商品とし、生産施設を有する企業に積極的に提案・営業していく方針です。

【用語の説明】

減災
地震被害を完全になくすことではなく、合理的な判断基準に基づいて、企業にとっての事業継続計画(BCP)の本質を成立させるために効率的に被害軽減を図ろうとする考え方。

ビジネスインパクト分析
事業継続計画(BCP)において、主要業務が中断した場合のビジネスへの影響度を分析すること。ビジネス影響度分析、事業影響度分析、Business Impact Analysisを略してBIAとも言う。

目標復旧時間
事業継続計画(BCP)において、災害や事故などの不測の事態により主要業務が中断してから復旧させるまでの目標時間。RTO(Recovery Time Objective)とも言う。

エネルギー消費予測システム
実際に稼働している生産設備や建築設備機器の負荷をデータとして取得しながら、エネルギー消費量を計算するシミュレーションシステム。

ライン生産方式
作業者をライン状にひとつながりで配置し、次々と部品の組み立てや加工の工程をベルトコンベア等でつないでいく生産方式で、一般的に大量生産向けの流れ作業の方法を言う。 弊社のサステナブルファクトリーでは、コンベアに限らず、製品が一連の工程で受け継がれる概念全般を意味する。

セル生産方式
ライン生産方式の特別な形態で、組み立て製造業において、1人ないし数人の作業員のチームが部品の取り付けから組み立て、加工、検査までの全工程(1人が多工程)を担当する生産方式。部品や工具をU字型などに配置したセルと呼ばれるひとかたまりのライン(作業台)で作業を行う。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

以 上


図1 サステナブルファクトリーのイメージ


図2 サステナブルファクトリーの4要素


図3 ビジネスインパクト分析による目標復旧時間算定のための生産フローの例

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