「ジオ・フロント・ホール」~地中・海中火葬施設

― 自治体向け提案・営業展開へ ―

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿七丁目5番25号 社長 五十嵐 久也)は、地中および海中の火葬施設「ジオ・フロント・ホール」構想を構築し、建て替え時期を迎える火葬施設を有する自治体を対象として、積極的な提案・営業展開を開始しました。ジオ・フロント・ホールとは、基本方式としては火葬施設を都市部の地中に埋設するタイプと、都市周辺部の丘陵部に埋設するタイプからなり、施設上部を公園や緑地、森林とするなど自然に溶け込むように構成した施設です。

■はじめに

火葬施設は、地域社会に不可欠な社会基盤施設ですが、都市部を中心として近年ひっ迫状況にあり、今後急速に増えると思われる需要に対して、急いで整備する必要があるといわれています。一方、その建設にあたっては、迷惑施設として周辺住民等の強い反対の的となることが常であり、都市部ほどその立地が困難なのが現状です。

三井住友建設では、建設エンジニアリングの観点から、火葬施設の立地に苦慮されている関係機関の皆様方に、新たな施設のあり方をご提案申しあげることにしました。

■「ジオ・フロント・ホール」とは

三井住友建設がご提案する地中または海中に建設する火葬施設です。

人口10~30万人程度の都市(または地域)を対象に、火葬炉10基程度の施設を想定し、立地条件に応じて、以下の3タイプをご用意いたしました。

Aタイプ: 都市部平坦地における地下型
Bタイプ: 都市近郊丘陵地におけるトンネル型 
Cタイプ: 都市沿岸部における海底設置型(C-1)または洋上浮体型(C-2)

■「ジオ・フロント・ホール」の特長

  • ほとんどが地中(または海中)にあるため、施設そのものの存在が目立ちません。
  • アプローチを工夫することにより霊柩車の出入りが目立ちません。
  • 地中構造物のため、地震に強い構造物となります。
  • 地中熱を有効に活用することにより、省エネが可能です。

■タイプ別の構造と特徴

Aタイプ: 都市部平坦地における地下型火葬施設

公共用地等の比較的浅い地下部分に火葬施設を建設するタイプです。

  • 建て替え期を迎える既設火葬場の敷地内に再整備する場合などに最適です。
  • 既存の公園など一定の広さを有する公共用地の地下空間利用も可能です。
  • 地上部分は庭園や公園など緑地として利用するほか、駐車スペースの増強や式典場の建設など、利用者の利便性を高める利用方法も考えられます。

Bタイプ:都市近郊丘陵地におけるトンネル型火葬施設

都市近郊の丘陵地にトンネル工または深礎工によって地下空間(横坑または立坑)を設け、火葬施設を山の中に建設するタイプです。

  • 都市部にある既存施設を都市周辺の丘陵地などへ拡張移転する場合に適しています。
  • 周辺環境に出来るだけ手を加えず、森林資源を保全し、自然に溶け込むような空間デザインが可能です。
  • 丘陵地を構成する地盤そのものが構造体となるので、建築部分の構造部材を削減することができます。

C-1タイプ:都市沿岸部における海底設置型火葬施設

公共港湾等の比較的浅い水深部に沈埋工法等を用いて火葬施設を建設する方式です。

  • 都市部にある現施設を都市周辺の沿岸部などへ移転する場合に適しています。
  • 沿岸部護岸の延長として設置し、最少の表面積になるように空間構成をしています。
  • 海中アプローチによって厳かな空間演出が可能です。

C-2タイプ: 都市沿岸部における洋上浮体型火葬施設

都市部に近い沿岸部に浮体構造による人工地盤を構築し、その上に火葬施設を建設する方式です。

  • 浮体構造物は2,000トン級の貨物船の大きさとし、国内によく見られる水深5m程度の港湾施設に係留できるものとします。
  • 本設の完成までの臨時の施設としても計画できます。本設完成後は、他の自治体の港湾施設に曳航し係留すれば再使用も可能です。
  • また、火葬施設としての役目を終了した後は、本浮体構造物を防災施設など多目的な活用もできます。

■持続可能な社会システムエンジニアリングの思想

現代における火葬施設のように、これまで築かれてきた社会基盤が価値観の多様化に伴いさまざまな角度から変化を求められるようになっています。ところがこれまでの方法やデザインでは解決できない問題もあり、必要な社会機能、文化的な仕組みの存続が難しくなっている場合が見受けられます。

そのような社会システムの課題を建設エンジニアリングの手法で解決し、多くの方々の幸福を提供し続けることが、持続可能な社会システムエンジニアリングであると考え、今後これをシリーズ化していく方針です。

■今後の対応

弊社では、本年4月よりエンジニアリング本部を本格稼働させ、これを核としてエンジニアリング企画機能を強化し、戦略的営業展開の一元化を進めることとしました。

今後は地中あるいは海中火葬施設に関して、関連企業との技術提携を視野に入れて、積極的に提案・営業していく方針です。

また、本計画のように、土木技術と建築技術を融合させるエンジニアリングの試みを通じ、大規模な社会基盤システムを持続可能なものにする商品をシリーズ化していく考えです。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。


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