次世代型超高層住宅システム「LEAF TOWER(リーフタワー)」の提案を開始

― プランとデザインの自由度、高度なサスティナビリティを同時に実現 ―

■概要

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、集合住宅分野における「三井住友建設ブランド」の確立を目指し、今年度より「住宅高品質・高機能化委員会」を設立し活動を推進しております。当委員会は、(1)施工プロセス全般にわたる構造改革による高品質化の追求、
(2)集合住宅に求められる次世代の社会ニーズに応える高機能化の追求、
を目的としております。

この度、当委員会における成果のひとつである次世代型超高層住宅システム「LEAF TOWER(リーフタワー)」の提案を開始します。

「LEAF TOWER(リーフタワー)」は、(1)Long Life (2)Ecology & Economy (3)Advanced Amenity (4)Free Plan & Free Facadeの4つのキーワードの頭文字をとり、「樹木」の構成をコンセプトとした超高層タワー型マンションのプロトタイプです。

■市場性

大手不動産会社7社のマンショントレンド調査(2008.2.発表)では、近年高まっているマンション購入検討理由として、(1)より広い住まい(40.5%)、(2)安全・安心(14.7%)、(3)緑の多い場所(13.5%)があげられています。
これらに加え理想とするマンションのタイプとして、(4)間取りの可変性、(5)日照や採光などの基本性能、(6)耐震性能の高さ、(7)セキュリティの充実、等が挙げられています。

LEAF TOWERは、高い居住性、快適性、安全性に加え、高度なサスティナビリティ、環境性能、プランやデザインの自由度を同時に実現する画期的な商品企画として極めて高い市場融合性を備えています。

図1, 2 リーフタワーイメージパース

■LEAF TOWERの思想

LEAF TOWERは、住棟中央に主構造体となるリング状の壁柱「トランクウォール」とそれに内包された設備系の主幹線である「ライフサイクルボイド」を有し、樹木の幹に相当する「TRUNK SHAFT」を形成します。

「TRUNK SHAFT」には、将来的な更新性にも配慮し、水やエネルギー(ガス、電気)の供給と排気や排水の処理のための設備系統を全て集約することにより各住戸への必要な養分を供給する樹木の幹や枝として機能します。幹の周囲に広がる居住ゾーンはまさに「LEAF」として木の葉のように自由な平面形の外壁で自由な向きに配置することが可能です。幾重にも重なるゆとりある自由な住戸空間は全体で光にきらめくファサード(外壁面)を形成することができます。


図3 リーフタワーイメージアイソメ図

LEAF TOWERは地上20m程度までの低層部(ベース部)と、ベース部の上に乗せた環境のよい高層部(タワー部)から構成され、ベース部には業務施設や駐車場を、タワー部には住宅を配置します。切り替え部分となるベース部の屋上には第二の地盤を築いて緑化する等、風環境や地球温暖化にも配慮した設計とします。

LEAF TOWERは全体で大地の上に立つ大樹をイメージさせるエコロジカルな設計思想の超高層タワー型マンションです。

■LEAF TOWER を実現させる3つの技術

「LEAF TOWER(リーフタワー)」を実現化させるため、三井住友建設の長年の超高層住宅開発技術に基づいた3つの技術を新たに開発提案します。

[1] 自由な平面と立面を実現できる構造形式「ビームインスラブ構法」(特許出願中)
[2] 住棟の長寿命化と快適な居住空間を確保するための「ライフサイクルボイド」
[3] 環境保護型立体街区「エア・トープ」(特許出願中)

施工面では、三井住友建設が開発し長年の実績を有する短工期システム工法「HI-DOC工法」を用い、マンション建設に伴う環境影響を縮減する事と事業主の早期資金回収の実現を同時に目指します。

■技術の特徴

[1] 自由な平面と立面を実現できる構造形式「ビームインスラブ構法」(特許申請中)

これまでの国内の超高層タワー型マンションの多くは、[1]建物外周を柱梁フレームが取り囲むアウトフレーム構法、[2]外周をバルコニーが囲む外周バルコニー構法、のふたつが主流でした。LEAF TOWERで提案する「ビームインスラブ構法」は、柱、梁フレームと切り離した外壁を外周に配置することにより自由な平面形状を作ることができる従来にない第三の構造形式です。


図4 超高層構法比較

「ビームインスラブ構法」は、住棟平面中央のリング状の壁柱(トランクウォール)と外周部の柱梁フレームおよび段差スラブにより構成されます。外周部の柱梁フレームは、タワー部を免震化する中間免震構造を採用することにより、高さ450mm程度の扁平梁とすることができます。壁柱と柱梁フレームは厚さ250mm~300mmの段差スラブ(フルPCa)で接続します。外側フレームが扁平であるため、室内の天井高さへの影響をほとんど感じることなくフレームの外側の自由な位置に外壁を配置する事ができます。


図5 住戸断面図

主な効果は次のとおりです。

  • 外壁面の位置が柱梁フレームと切り離して自由に設定できるため、リーフ状の多面採光の住戸を多く作れる。
  • 商品性の高いコーナー住戸をたくさん作れる。東西向き住戸も南面化できる。
  • セットバックなどの形状を作れる。
  • 室内は無梁空間となり、大開口サッシュが可能。プランの自由度が高い。
  • 多面体の外壁形状によりビル風の拡散・緩和が可能。
  • ファサードは構造体に拘束されないため、多面体のみならず自由な形状、デザインが可能。
  • 商品価値の高い高層階の面積を低層階より増やすなども可能。

また外装では維持管理がしやすく、仕上材の剥落事故などを防げるカーテンウォールなどの乾式部材を中心に構成します。

[2] 住棟の長寿命化と快適な居住空間を確保するための「ライフサイクルボイド」

「TRUNK SHAFT」の内部は設備系の供給、処理、搬送、メンテナンスを全て行うサスティナブル空間「ライフサイクルボイド」として提案します。ボイドの内側には奥行き1.0~1.5m程度のキャットウォークを設け、従来、パイプスペース内に設置されていた各種供給系配管や排水管、バルコニー内に設置されていたボイラーや空調室外機、住戸からの換気ダクトなどを全てこのキャットウォークに設置し、メンテナンス性を高めると共に居住空間の質を向上させます。

ボイド内はリフォーム時の揚重スペースとしても活用でき、将来の予測不能な新設備システムのスペースとしても十分な拡張性を有します。高度なサスティナビリティを実現する骨格となるスペースです。


図6 ライフサイクルボイド概念図

[3] 環境保護型立体街区「エア・トープ」(特許申請中)

LEAF TOWERでは、地上15m~20m部分に自走式駐車場、店舗などを配置したベース部を構築し、その上にタワー部を乗せる立体街区構成とし、全体で環境負荷を低減するシステム「エア・トープ」を提案しています。

「エア・トープ」の最大の特徴は駐車場壁面のルーバーや屋上庭園部分からビル風を呼び込み、ボイド内の上昇気流に変換する仕組みを採用している点です。新たな立体的な風の通り道をタワー内に作る事によってビル風を緩和します。また、駐車場壁面や屋上庭園を緑化することにより、ヒートアイランド現象の緩和に貢献します。


図7 エア・トープ概念図

図8 気流シミュレーション結果

■今後の展望

LEAF TOWERは、自由な平面・自由な立面が実現でき、プランとデザインの自由度を追及できる無限の可能性を秘めたこれまでにない超高層タワー型マンションのプロトタイプです。さらに、超長寿命化、環境保護、防災性向上、サスティナブルでエコロジカルなコンパクトシティの実現にも大きく貢献する技術を採用しています。今後当社では、本システムの実現に向けてさらに技術開発を進めるとともに、都市開発事業や設計施工物件において本構想を積極的に提案してまいります。

「住宅高品質・高機能化委員会」では"健康"、"安心"、"環境"、"超寿命"といった集合住宅に求められる次世代の社会ニーズに応えるべく、更に高機能化を追求した次世代マンションの開発を進め、「三井住友建設の次世代マンション」として今後、提案してまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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