環境共創マンション「E-Comfort(イー・コンフォート)」の提案を開始

― 集合住宅の本格的な環境配慮時代を牽引 ―

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、集合住宅分野における「三井住友建設ブランド」の確立を目指し、今年度より「住宅高品質・高機能化委員会」を設立し活動を推進しております。当委員会は、(1)施工プロセス全般にわたる構造改革による高品質化の追求、(2)集合住宅に求められる次世代の社会ニーズに応える高機能化の追求、を目的としておりますが、この度、当委員会における成果のひとつである環境共創マンション「E-Comfort(イー・コンフォート)」の提案を開始します。

「E-Comfort(イー・コンフォート)」は、Environment(環境)、Ecology(エコロジー)、Earth(地球)の"E"と、Comfort(快適、楽しみ、安心)を組み合わせた造語で、"生活の豊かさ"と"環境配慮"の両立をコンセプトとした環境配慮型マンションのプロトタイプです。

■"量"から"質"へ、そして"環境"へ

わが国における温室効果ガス排出量は、産業部門ではほぼ横ばいで推移しているのに対し、住宅を含めた民生部門では近年大幅に増加しており、住宅分野における温室効果ガスの抑制は喫緊の課題として強く認識されています。環境に配慮した暮らしへの関心の高まりを背景に、CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)やマンション環境性能表示制度が普及するなど、集合住宅の購買行動にも環境性能が意識されるようになってきています。

現在、国民の環境意識が急速に高まる中、集合住宅への社会的要求や消費者意識は、「"量"から"質"へ、そして"環境"へ」と、大きく変化しようとしています。


図-1 環境共創マンション「E-Comfort(イー・コンフォート)」イメージパース

■三井住友建設の環境配慮型マンションへの取組み

当社は、毎年7千戸以上の集合住宅を施工しており、その累積は約20万戸に達しています。また、環境に配慮した集合住宅にも、これまで積極的に取り組んでまいりました。代表的な施工実績には、太陽光発電・太陽熱給湯・風力発電システムなどを活用した省エネルギー型マンション、屋上菜園・立体花壇・雨水再利用・ビオトープなどを採用した環境共生型住宅などがあります。当社は、これらを通じて多くの環境関連のノウハウを蓄積するとともに、これからの環境配慮型マンションへの要求事項を検討してまいりました。


図-2 三井住友建設の環境配慮型マンションの実績例

■これからの環境配慮型マンションへの要求事項

ストック重視の住宅政策への転換が叫ばれる中で、建物躯体そのものの耐久性は十分にその要求に応えられる技術的水準に達しているといえます。一方で、太陽光発電装置をはじめとした省エネルギーなどの環境要素技術は、「物理的な機能劣化」のほか、技術革新や法改正などに伴う「社会的な機能劣化」もあり、建物躯体よりも短いライフサイクルで更新し続ける必要があります。

これからの環境配慮型マンションには、竣工時はもとより、将来にわたって高い環境性能を維持し続けることが求められます。そのためには、環境要素技術の更新を容易にする建築計画への配慮と、それを実現するための経済的な仕組み、そして入居者の理解が必要になると考えました。

■環境共創マンション「E-Comfort(イー・コンフォート)」のコンセプト

環境共創マンション「E-Comfort(イー・コンフォート)」は、"生活の豊かさ"と"環境配慮"の両立をコンセプトとし、竣工時のみならず、将来にわたって高い環境性能を維持し続けることを目指します。そのための仕組みとして「E-Comfort(イー・コンフォート)」は、高い耐久性を備えコンセプトを支える基盤となる「サステナブル・プラットホーム」、交換容易性に優れた環境要素技術ユニット「エコ・モジュール」、居住者の環境意識の向上とエコ・モジュールの適切な更新を促す仕組み「暮らしとの共創」、の3つの要素から構成されます。これらの仕組みにより、2050年までに建物全体の二酸化炭素排出量を80%削減可能とすることを目指します。


図-3 「E-Comfort(イー・コンフォート)」コンセプト図

(1)サステナブル・プラットホーム

「E-Comfort(イー・コンフォート)」を支える基盤は、十分な耐久性を確保した"建築躯体"と、変化への受容性を確保した"住棟設備インフラ"で構成される「サステナブル・プラットホーム」です。建物としての基本的な環境性能(断熱、採光、通風への配慮)を確保し、安心・安全・快適という入居者の普遍的な要求に応えます。また業務用電力の一括受・配電システム(※1)などの住棟設備インフラは、環境要素技術と暮らしとを結ぶインターフェイスとして機能し、高効率なエネルギー供給を実現することで、確実な環境負荷低減をもたらします。

サステナブル・プラットホームは、建物東西面に垂直ルーバーを設置することで冷房負荷を軽減する「バーティカルルーバー」、外部環境との緩衝帯となり温熱環境制御に効果のある「コンサバトリー(サンルーム)」、建物外壁に設けたボイドを活用し住戸内の自然換気を促す「風の道」、太陽光発電パネルを設置するためのキャットウォークと日射制御の庇としての機能を兼ね備えた支持フレーム「スキン・サポート・フレーム」、メンテナンス性や更新性を考慮し設備用PSを共用廊下側に集約するといった工夫などの要素技術により構成されています。

※1:業務用電力の一括受・配電システム
通常、各入居者が個別に電力会社と契約している電力を、管理組合が業務用電力として一括で受電し、各入居者へ配電、計量、課金を実施する方式。新エネルギー等を住戸専有部に供給することを容易にするほか、電力会社に支払う電力コストの低減も実現する。


図-4 「サステナブル・プラットホーム」を構成する要素技術 (1)


図-5 「サステナブル・プラットホーム」を構成する要素技術 (2)

(2)エコ・モジュール

「エコ・モジュール」は、太陽光発電パネルなどの環境要素技術をユニット化したもので、サステナブル・プラットホームに容易に組込むことができます。時代と共に変化する環境性能への要求に応えるため、定期的な更新(新陳代謝)を必要とする環境要素技術をユニット化することによって、更新を容易にします。これは、資産価値の維持、向上にも貢献します。

エコ・モジュールには、太陽光の入射角に合せて角度を変更し発電効率を最大化するとともに、ダイナミックなファサードを形成する「太陽光発電パネル」、スキン・サポート・フレームに設置し日射の遮蔽と癒し効果の期待できる「壁面緑化ユニット」、自然エネルギーの活用を視覚化し、共用電力の一部をまかなう「風力発電装置」などで構成されます。また、将来的には「次世代型太陽光発電(薄膜/軽量/高効率/安価)」などが考えられます。


図-6 「エコ・モジュール」を構成する要素技術

(3)暮らしとの共創

「暮らしとの共創」は、住まい手の環境意識の向上と、暮らしと技術との調和を支援する仕組みです。
例えば、住棟設備インフラから供給されるエネルギーの"戸別計量・課金システム"で、省エネルギーを実践した記録を"入居者専用コミュニティサイト"で確認することで、「省エネの見える化」を図り、環境意識の向上に貢献します。また、エコ・モジュール更新の入居者出資によるファンド化、グリーン電力証書(※2)の活用により、資産価値の維持・向上を促す経済的な支援と、環境に対する居住者の意識変革を両立する仕組みを提案します。

更に、コミュニティサイトを通じたエコサークル活動や近隣商業施設との提携によるエコポイントの発行など、建築を超えたソフトサービスも考慮に入れた計画を推進していきます。

※2:グリーン電力証書
太陽光発電などの再生可能エネルギーによって発電された電力について、「電力そのものの価値」とは別に、「二酸化炭素排出量の少ない電力であることの環境付加価値」を証書化し、市場取引を可能にしたもの。

■今後の展開

環境共創マンション「E-Comfort(イー・コンフォート)」は、"生活の豊かさ"と"環境配慮"の両立をコンセプトとし、竣工時のみならず、将来にわたって高い環境性能を維持し続けることを目指した環境配慮型マンションのプロトタイプで、無限の可能性を秘めています。また、当社は、得意分野である超高層タワー型での環境配慮型マンションの提案も行っています。今後、当社では、これらの構想の実現に向けてさらに技術開発を進めるとともに、都市開発事業や設計施工物件において積極的に提案してまいります。

「住宅高品質・高機能化委員会」では"健康"、"安心"、"超寿命"といった集合住宅に求められる次世代の社会ニーズに応えるべく、更に高機能化を追求した次世代マンションの開発を進め、「三井住友建設の次世代マンション」として、引き続き提案してまいります。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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