高生産性と汎用性を実現するフルプレキャスト工法- 「スクライム-H工法」を開発、実用化 -

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐久也)は、超高層鉄筋コンクリート構造物における高品質・高機能・高効率など、事業主のニーズに応えるべく、従来の柱梁一体型フルプレキャスト工法を大幅に進化させ、より経済的で自由度の高い施工法「スクライム-H工法」を実用化し、東京都武蔵野市の超高層マンション2棟(28階建1棟・31階建1棟)(「武蔵野タワーズ」)の新築工事で初採用しました。

■背 景

近年、建築物の超高層化がすすむ一方、構造形式としては耐久性・造形性・経済性・対風揺れ性能などにおいて、優位性を有している鉄筋コンクリート(以下RC)造が増加しています。超高層RC造建築物では、柱・梁で構成されるラーメン構造が多く、高品質・短工期の確保のためにプレキャストコンクリート(以下PCa)工法が盛んに取り入れられています。
従来の超高層建築物に採用されるPCa工法では、柱と梁の接合部まで含めたフルPCa工法技術が多くのゼネコンで模索されています。

従来の柱梁一体型フルPCa工法では、大梁と柱梁接合部を一体化して、柱PCa部材を梁下で分割する方法が一般的でした。当社では、これに加えて柱梁接合部だけでなく、大梁中央部などにも一切現場打ちコンクリートを打設しない特許工法「スクライム工法(SQRIM=Sumitomo Mitsui Quick Rc Integration)」を開発し、他社の追従を許さない数多くの実績を有しています。


従来型のフルPCa工法の一例>

スクライム工法取付写真

スクライム工法取付手順の一例

しかしながら、柱梁接合部と大梁が一体化されたフルPCa工法では、以下のようなPCa部材生産工程における課題があります。

  • PCa部材の形状が複雑化する。
  • PCa製作工場でのコンクリート強度別の打分けが発生する。

また、施工性・経済性の課題としては、以下のような仮設工事機械の制約や資材物流における課題があります。

  • 柱梁接合部と大梁が一体化されたフルPCa部材の重量が柱PCaと比べ重くなるので、工事現場で使用する仮設機材(クレーン等)が大型化する。
  • 4方向から梁が取り付く柱の場合には、公道を運搬できるサイズ内に部材の大きさを納めることが出来ないため、フルPCa化が困難となる場合がある。

■本工法の特徴

このたび当社が開発した、「スクライム-H工法(=SQRIM-Horizontal)」は、柱PCa部材に、梁主筋の貫通孔を設け、反対側の梁PCa部材に埋め込まれた鉄筋継手へと接続します。これにより、柱は柱として、梁は梁として独立した部材として製作することが可能となり、部材形状が非常にシンプルになります。

本工法の採用メリットは以下の通りです。

  • 柱と梁部材それぞれを、別個の独立した部材としますので、形状が簡素化されます。これにより製造時の作業が単純化・平準化し、個々のPCa部材は構造上必要なコンクリート強度別に打設ができるため、生産性・品質精度の向上及び経済性の改善に大きな効果があります。
  • 柱と梁のPCa部材重量がほぼ均等となり、工事現場で使用する仮設機材(クレーン等)の小型化が可能です。また、運搬効率が向上します。
  • 4方向から梁が取り付く柱など、従来の柱・梁接合部と大梁が一体化されたフルPCa工法では困難であった箇所にも採用できるなど、汎用性が大幅に向上しました。建物の構造フレーム形式に左右されずフルPCa化が可能となり、品質確保・工期短縮に効果を発揮します。

■技術の特徴


スクライム-H工法の取付手順図

■技術の実施例

現在、新しく開発されたスクライム-H工法を用いて、東京都武蔵野市に超高層マンションを建設中です。 物件の概要は以下の通りです。

●物件名   武蔵野タワーズ
●事業者名   野村不動産(株)、三菱地所(株)、NTT都市開発(株)、(株)ランド、オリックス不動産(株)
●設計施工   三井住友建設(株)
●建設地   東京都武蔵野市
●敷地面積   約7,366m2
●建設概要   31階建・28階建の高層住宅棟各1棟・570戸(予定)
付帯施設として店舗・診療所・スポーツ施設
●竣工予定   2010年3月

住宅棟は、北棟(地上31階、地下3階)・ 南棟(地上28階、地下3階)の超高層塔状住棟2棟からなり、北棟・南棟ともに現在、各棟を1フロアー4日の標準サイクルとし、全体工期29.5ヶ月で施工中です。


構造体加力試験状況

鉄筋貫通孔部付着実験状況

組立実験状況

実物件での施工状況

実物件での施工状況

実物件での施工状況

■今後の展開

当社は、これまで数多くの高層・超高層RC造建築物の実績があり、高層・超高層建築物における高品質化・高機能化・居住性能の向上などは、今後とも高い社会ニーズを保持すると考えております。今回実用化したスクライム-H工法は、スクライム工法とともに、特異性の高い高機能の工法であるため、特許として保有し、ますます多様化する要求への一つの回答として位置付けております。
本工法は大規模RC造施設やRC造オフィスビルなどへの展開も可能です。当社では、今後も様々な社会的要求に応える構工法のヴァリエーションを追求していく方針です。

※スクライム・スクライム-H工法はLRV・LRV-H工法(大林組)との工法統一を行い、両社共同にて特許を保有・出願)

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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