東北地方(官公庁)で初めての「免震レトロフィット建築物」

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、「免震レトロフィット構法」を採用した仙台第3地方合同庁舎耐震改修工事における免震化工事を完了いたしました。本工事は、官公庁の庁舎、宿舎、病院や民間の事務所、共同住宅など、免震レトロフィットの設計、施工の実績を活かして総合評価制度により受注したもので、東北地方の官公庁では初めての免震レトロフィットとなり、2009年竣工を目指して耐震改修工事が進められています。

発注者: 国土交通省 東北地方整備局

設計・監理: 国土交通省 東北地方整備局営繕部
株式会社梓設計

建築工事: 三井住友建設株式会社 東北支店

建物規模: 地上10階・地下2階・塔屋3階

構造: 鉄骨鉄筋コンクリート造

■概 要

仙台第3地方合同庁舎は、昭和57年に竣工した鉄骨鉄筋コンクリート造10階、延べ床面積約18,000㎡の建物です。本建物は、大地震時における重要な情報発信を行う防災拠点としての機能を果たすために、高い耐震性能を求められていることから、「免震レトロフィット構法」による耐震改修が採用されました。本工事では、建物の地下1階の柱頭部分およびエレベータコア壁を切断し、計44基の積層ゴム免震装置を設置することによって建物を免震化します。

本構法の採用により、建物を使用しながらの施工を短工期で行うことを可能にし、改修後は高い耐震性を実現することで使用者のニーズに応えられる耐震改修となっています。

■工法の特徴

当社の免震レトロフィット工事は、高度な解析・施工技術と共に豊富な経験と実績により、既存建物の機能を維持しながら、執務空間への影響を最小限に抑え、建物を使用しながら耐震性を向上させることができるものです。

本工事では、柱切断時の軸力を仮受けする方法として鋼製治具を採用しています。柱切断時は既存柱の両側からPC鋼棒を用いたプレストレスにより治具を締め付けて柱と一体化し、柱軸力を既存柱から鋼製治具に移行させて下階(地下2階)の柱へ伝達させます。その後、柱を切断して免震装置を設置し、治具から装置側に軸力を移行させます。そのため下階での仮受け支柱の設置および補強工事などは不要となり、工事範囲を免震化フロアのみに限定することができます。これにより、免震化工事を行うフロア(地下1階)以外では、通常通りの執務が可能となります。

高軸力の柱(最大軸力:約10,000kN)と治具間の圧着性・接着性および力の伝達機構は、FEM解析とともに実大実験を行うことによってその安全性を確認しています。また、免震化工事が進む各段階において、上部構造部材が変形によって損傷することを防ぐため、解析による事前検討により許容変形量と管理値を決定するとともに、施工中の建物全体の変形、柱切断工事を実施する対象柱の変形・荷重の計測を24時間体制で実施し品質を確保します。

さらに、施工期間中の各段階における免震工事階の地震時耐力を事前に検討し、免震階に適切な耐震要素(耐震壁の仮設補強プレート・免震装置仮設耐震プレート・その他)を設けることによって、免震化工事が完了するまでの耐震安全性を確保しています。

■今後の展開

当社は、基礎免震、中間階免震など、免震レトロフィット工事の豊富な実績を保有しています。新築と比較して低コスト、短工期のうえ建物を使用しながら耐震性を飛躍的に向上させることが可能な本構法は、今後一層の需要が見込まれます。当社では、さらに技術の高度化、高品質を追及し、事業者のニーズに応えるべく営業展開していく考えです。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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角型免震装置
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断面図
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免震装置仮設耐震プレート
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耐震壁の仮設補強プレート
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側面図-1
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側面図-2

柱切断施工状況図

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柱切断時の軸力移行図
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鋼製治具(柱軸力の仮受けと伝達)

 

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