劣化したRCドーム屋根を我が国で初めて断水させずにアルミ屋根に架け替え ~平成21年度エンジニアリング功労者賞を受賞~

■概 要

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、奈良県生駒市東生駒配水池ドーム改修工事に我が国で初めて"ウォーターラッピング工法"を適用し、水道施設の配水池を稼動させたまま、劣化した鉄筋コンクリート製ドーム屋根をアルミニウム合金製屋根に架け替えるリニューアル工事を完了させました。

ウォーターラッピング工法は、水道用タンクの老朽化した鉄筋コンクリート製ドーム屋根を、タンク内の水道水を特殊な遮蔽シートでラッピングして外部と遮断し、タンクを稼働させながらアルミニウム合金製屋根に架け替えることのできるリニューアル工法です。

このたび、本工法を適用したプロジェクトにおいて、当社の開発・施工チームが、平成21年度エンジニアリング功労者賞(財団法人エンジニアリング振興協会)を受賞しました。

■背 景

コンクリート製配水タンクのドーム屋根内面は、貯留している水道水中の塩素の揮散などにより劣化が進み、早急な更新が求められる事例も多数確認されています。しかし、配水池が一池しかない場合、更新には長期間の断水を伴い住民の生活への影響が大きいことから、その多くで改修の進んでいないのが実情です。

こうした背景を踏まえ、既存の配水タンクを稼動させながら、タンク貯留水の水質に影響を与えることなく鉄筋コンクリート(RC)製ドーム屋根をアルミニウム合金製屋根に架け替える工法として、ウォーターラッピング工法を開発しました。

■ウォーターラッピング工法とは

ウォーターラッピング工法は、水道用タンクの老朽化したコンクリート製ドーム屋根を、タンク内の水道水を特殊な遮蔽シートでラッピングして外部と遮断し、タンクを稼働させながらアルミ製屋根に架け替えることのできるリニューアル工法で、既存コンクリート製ドーム屋根を改修する際に生じる粉塵や濁水によるタンク貯留水の汚染を防ぐための遮蔽システムと、タンク内部での作業を可能にする旋回式伸縮足場に特徴があります。

遮蔽システムは、タンク内の水道水の汚染防止のために水面全体を覆う遮蔽シート、シート端部とタンク側壁との隙間をシールする養生シート、遮蔽シートを一定の高さで保持するメインロープ・ハンガーロープ、遮蔽シートを落下物から保護する保護ネットなどから構成されています。

旋回式伸縮足場は、折り畳んだ状態で小さな開口から挿入可能で、遮蔽システムの上に載らずに空中で屋根内面の作業を可能とする足場装置です。

工法の概念
工法の概念

■ ウォーターラッピング工法の主な特徴

  • 断水させずに施工できる
    遮蔽シートを用いて水道水を外部と遮断することで、タンクを稼動しながらの架け替えができます。
  • 既存のタンクへの負担がない
    使用する回転式伸縮足場は、仮設の架台に支持されているため、屋根に負担をかけません。
  • 配水池のライフサイクルコストを縮減できる
    アルミ製屋根に架け替えることで、タンク屋根の内面防食塗装および外面防水塗装の必要がなくなり、タンクのライフサイクルコストが低減されます。

■ウォーターラッピング工法によるドーム屋根改修工事の施工

本工法の施工は、以下の5段階で行います。

STEP-1 仮設架台の設置
旋回式伸縮足場を設置するための架台を、タンク外部に設置します。

STEP-2 遮蔽システムの設置
遮蔽シートを水面上に展開し、気室に空気を入れて側壁に密着させ、メインロープを緊張して遮蔽シートを懸垂します。

STEP-3 旋回式伸縮足場の設置
RCドーム中央から折り畳んだ旋回式伸縮足場を挿入し、内部で伸張します。旋回式伸縮足場を使って端部の養生シートを設置します。

STEP-4 RCドーム屋根の解体
既存のRCドーム屋根を中央から端部に向かって、ウォールソーやワイヤーソーを用いて撤去します。

STEP-5 アルミ屋根の構築
ブロックごとに組立てを行ったアルミ屋根を、支保工を使用せずに構築します。

■ 奈良県生駒市水道局 東生駒配水池ドーム改修工事への適用

[奈良県生駒市水道局東生駒配水池]

場 所: 奈良県生駒市
構 造: (側壁)プレストレストコンクリート (屋根・底版)鉄筋コンクリート
内 径: 20m
有効水深: 5.6m
有効容量: 1,740m³
建設年: 1971年(昭和46年/築後38年)
改修工事工期: 2008年10月 ~ 2009年4月

着工前の配水池
着工前の配水池

改修後の配水池

■ 今後の展望

このたび東生駒配水池において"ウォーターラッピング工法"の遮蔽システムの機能や水質に対する安全性、また実用化工法としての施工性などが実証されたことにより、配水池が一池しかないために更新を手控えていた多くの水道施設においても、老朽化したRCドームを軽量で耐食性に優れたアルミ製屋根に架け替えるリニューアル計画が進展し、今後本工法が広く採用されていくことが期待されます。

弊社は、本工法を活用したアルミニウム合金製屋根への架け替えを積極的に提案し、配水池のライフサイクルコストの縮減に貢献していく方針です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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