"低弾性高じん性セメント系複合体"を開発、新しい床版連結構造を現場で実現

― 第二京阪道路田辺パーキングエリア工事に適用 ―

■ 概要

三井住友建設株式会社(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐 久也)は、住友大阪セメント株式会社(東京都千代田区六番町6-28 社長 渡邊 穰)と共同で、"低弾性高じん性セメント系複合体"を開発し、西日本高速道路株式会社が事業を進めている第二京阪道路田辺パーキングエリア工事において新しい床版連結構造に適用し、現場での施工を通して実用化しました。

"低弾性高じん性セメント系複合体"は、高いじん性とひび割れ分散性を付与するとともに、所定の強度を確保しながらヤング係数を小さく抑えることにより、部材の変形性能を大幅に向上させ、"場所打ち"にも適用できる施工性に優れた材料です。

このたび、"低弾性高じん性セメント系複合体"をPC連結桁橋にはじめて適用し、桁同士を一体化させる一般的な構造に対して、床版のみを連結させる新しい構造を実現し、構造の合理化と施工の省力化を可能としました。

■"低弾性高じん性セメント系複合体"とその特徴

"低弾性高じん性セメント系複合体"は、高いじん性とひび割れ分散性を付与するとともに、所定の強度を確保しながらヤング係数を小さく抑えることにより、部材の変形性能を大幅に向上させ、"場所打ち"にも適用できる施工性に優れた新しい材料です。

"低弾性高じん性セメント系複合体"は、以下のような特徴を有しています。

  • 所定の強度を確保しながら、極めて高い変形性能を有する材料です。
  • 高い流動性と適度な材料分離抵抗性をもち、振動・締固めを行わなくても密実に充てんできます。
  • 一般のコンクリート製造工場で、容易に製造することができます。
  • 通常のコンクリート用運搬機械で工場から現場まで容易に運搬することができます。

外観イメージパース
低弾性高じん性セメント系複合体打設状況と曲げ試験状況

■ 田辺パーキングエリア工事における適用

"低弾性高じん性セメント系複合体"は、西日本高速道路株式会社が事業を進めている第二京阪道路田辺パーキングエリア工事におけるPC連結桁の新しい床版連結構造に、はじめて適用されました。

同工事は、既に供用されている第二京阪道路の上空に3~4径間のPC連結桁橋を複数連(上り線10連、下り線8連)横に並べ、広い範囲の面を構築してパーキングエリアとするものです。

通常、PC連結桁橋では、一般に架設した隣り合う径間のPC桁同士を橋脚上で横桁と一体化しますが、同工事で採用した床版連結構造は、隣り合う径間のPC桁の"桁"同士は直接連結せずに"床版"のみを連結するものです。これにより、PC桁同士を柔らかく繋げて、連結部に作用する断面力を低減できます。

このたびの"低弾性高じん性セメント系複合体"の開発・実用化により、この構造を実現することができました。

外観イメージパース

■ 田辺パーキングエリア工事

架橋位置 :
自)京都府京田辺市松井栂谷
至)京都府京田辺市山手南1丁目
構造形式 :
(上り線):3~4径間PC連結プレキャスト中空床版橋10連
(下り線):3~4径間PC連結プレキャスト中空床版橋 8連
橋 長 :
(上り線):59.481~81.960m
(下り線):62.108~75.745m
支 間 :
(上り線):13.550~28.250m
(下り線):11.445~26.656m
幅 員  :
(上り線): 9.300~23.300m
(下り線):20.000~22.600m

外観イメージパース
田辺パーキングエリア工事 (平成22年2月25日 竣工予定)

■ 今後の展望

当社は、これまでも橋の一生を見据えた、品質や性能に関する技術の高度化を目指し、さまざまな材料や構造の開発を行ってきました。

このたび適用した"低弾性高じん性セメント系複合体"を用いた新しい床版連結構造は、材料面と構造面の双方の新技術により新たな付加価値を創出し、構造の合理化や施工の省力化を実現しました。また、新設工事のみならず既設橋梁のリニューアル工事に対しても適用可能であることから、今後積極的に提案し、幅広く展開していく方針です。

 

<お問い合わせ先>

三井住友建設広報室【お問い合わせフォーム】

リリースに記載している情報は発表時のものです。

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